「である調」と「ですます調」 どっちがいい?


[text:蓬田修一]

文章を書くとき「である調」にするか「ですます調」にするかは、とても大きな問題です。「である調」とは、例えば「A社は円高に苦しんでいる」、「ですます調」とは「A社は円高に苦しんでいます」と語尾が違うだけなのですが、読み手が受ける印象はまったく違います。「である調」はスピード感があり切れ味よく明快な印象、「ですます調」は柔らかく語りかけられているようで親近感のある印象です。

以前は「である調」の文章が多かったのですが、最近は「ですます調」で書かれた文章も大分増えてきました。特に、ブログやSNSが普及してからは「ですます調」の文章が増えている傾向にあると感じます。

「である調」にするか「ですます調」にするか、明確な判断基準はないのですが、ジャーナル的・レポート的な文章のときは「である調」、プライベートな内容のときは「ですます調」で書く傾向はあると思います。ただ、この傾向も今は崩れてきています。固い内容でも「ですます調」で書かれることは大変増えています。

このように今は「である調」でも「ですます調」でも、基本的にはどちらでも問題ないような状況なのですが、「である調」で書くときに気をつけたいとがあります。それは「である調」はえらそうな印象を与えてしまう可能性があることです。「である調」は文体上、「えらそう」「上から目線」になりがちですから、書くときは気をつけたほうがいいです。

書きやすさという点からいうと、「ですます調」のほうが断然書きやすいです。文章が書いたそばから、次から次へと出てくる感じです。文章を書くとき、誰かに話しかけるように書くと筆が進みやすいでのですが、「ですます調」は話し言葉なので、そのあたりが関係しているのかもしれません。短時間に大量の文章を書くには「ですます調」のほうが圧倒的に便利です。

(2014年12月16日)


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メモの取り方

[text:蓬田修一]

リサーチ、取材、読書などで得た素材情報をどうメモするかについて書いてみます。

私はこれまでメモの取り方について、いろいろ試行錯誤を繰り返してきました。そしてたどり着いたのは、ページに罫のないコクヨB5キャンパスノートに縦書きでメモするという方法です。

縦書きにするのは、私にとって横書きより縦書きのほうが書きやすいからです。数字や英文字が多い場合は横書きにすることがありますが、ほとんどのメモは縦で書きます。

無罫のノートを使うのは、縦に書きやすいようにです。本当は縦罫のノートを使いたいのですが値段が高いので、罫がないノートを使っています。

コクヨのB5キャンパスノートにしているのは値段が安いからです。今30冊目くらいですが、これからも大量に使う予定ですので安いほうが経済的です。1冊当たり80円くらいです。

書き方ですが、基本的に内容には関係なく、時系列でノートにメモしていきます。テーマごとにノートを使い分けたことがありましたが、書きたいときにノートを探さなくてはいけないため非常にわずらわしく、時系列で書くという今の方法に落ち着きました。

著名な方はメモをどうとっているのかというと、月平均300冊、多いときは500冊という大量の読書を行う作家・元外務省主任分析官の佐藤優氏は、コクヨのキャンパスノート横罫を使って、「記録」「学習」「仕事」についてのメモを時系列で1冊にまとめて書いています(佐藤優『読書の技法』)。

アイデアを生み出すための新コンセプトノート「マバタキノート」を考案したアーティストの鈴木康広氏は、B5ツバメノート無罫を使っていたと、商品サイトだったと思いますが、そこで述べています。

私の「無罫ノートで時系列に縦書き」というメモの方法は、こうした「メモのプロ」の方の方法とも重なるところがあるのを知りました。もしかしたら効果的なメモの取り方には一定の法則があるのかもしれません。

(2014年12月15日)


Posted on 2014-12-15 | Category : コラム, ワンランク上の文章へ | | Comments Closed

煮つまったらプリントアウト

[text:蓬田修一]

調子よく執筆していたのに、急に文章が書き進められなくなったり、書く内容を思いつかなくなったときに効果的な方法があります。それは、原稿をプリントアウトすることです。

プリントアウトした文章を軽く読んだだけで筆が進むことは、経験上よくあることです。文章を読まなくても、プリントアウトした紙をさっと眺めただけで筆が進むことも結構な頻度であります。

さらには、プリントアウトした原稿をまったく読まず、紙が印字されている音を聞いて、印刷が終了し、まだ排紙トレイに原稿が残っているままでも、今まで煮詰まっていた部分をどうしたらいいのかアイデアが思い浮かび、執筆が再開することも少なくありません。プリントアウトには、煮詰まっている状況をリセットする効能があるのかもしれません。

PCの画面を見ていても手が動かなくなったら、一度プリントアウトしてみたらいいかもしれません。

(2014年12月15日)


Posted on 2014-12-14 | Category : コラム, ワンランク上の文章へ | | Comments Closed

はしゃぎ過ぎない

[text:蓬田修一]

強く心を動かされたことなどを文章化するとき、気を付けたいことがあります。それは「はしゃぎ過ぎない」ことです。

素敵なコンサートに行った、スポーツの試合を見て興奮した、展覧会で感性に訴えかけてくる作品に出会ったなど、日々の生活の中で感動することは少なくないと思います。

ただし、その気持ちに素直に文章を書くと、ちょっと困ることが後で読み返したとき、文章が「はしゃぎ過ぎ」ていて、読んでいてはずかしく、書き直しになることがほとんどです。執筆にあたっては、気持ちのテンションを維持することは大切ですが、はしゃぎ過ぎるのは禁物です。

感動したことを文章化する際は、一旦冷静になって自分を見つめ直すこと。もうひとりの自分が自分自身を見つめているようなイメージを忘れないようにしたほうが宜しいと思います。

(2014年12月12日)


Posted on 2014-12-12 | Category : コラム, ワンランク上の文章へ | | No Comments »

意外と効果的 文章を書き写す訓練

[text:蓬田修一]

少しだけでOK 気分転換にもなる
私は書道が好きで、書の展覧会によく出かけます。書道では「臨書」といって、書道史上の優れた作品をお手本にして、字の形や筆遣いなどをそっくりまねて書いていく練習方法があります。

お手本を半紙の右に置いて、一字一字じっくりと見ながら、できるだけそっくりそのまま書いていくのですが、見ていたときには気付かないことを、いろいろと発見します。例えば、横棒が意外と短かったり、文字の形が思った以上に縦長だったりという具合です。臨書を繰り返すことで、古典となっている作品の優れた点を、体に覚え込ませることができます。

文章の場合も、書道の臨書と同じように、文章をそっくりそのまま写してみる訓練は有意義です。例えば、ビジネスレポートを書くのであれば、これまで読んでとても読みやすかったビジネスレポートの一部分を書き写してみます。エッセイに挑戦しようというのであれば、評価が高いエッセイ作品や、自分の好きな作品を書き写してみます。

すると、読んだときは短いと思っていた文章が意外と長かったり、読点が思いもよらない場所に打たれていたりと、新たな発見がたくさんあります。

書き写す作業は思いのほか時間がかかりますので、時間がなければ、ワンパラグラフくらいの少ない分量でも効果があります。経験上、文章を書き写す訓練は、執筆の「基礎体力」につながるというのが実感です。気分転換にもなりますので、ときには文章の「臨書」を試してみてはいかがでしょうか。


Posted on 2014-12-11 | Category : コラム, ワンランク上の文章へ | | Comments Closed

夜は執筆しない

[text:蓬田修一]

1日のうち、いつ執筆するのが効率的かというのは人によるでしょうが、私の経験では朝が向いています。朝、起きたときは、気分がすっきりしていますし、頭も冴えています。生活リズムに無理が出ないようにしながら、できるだけ早起きするようにしています。

私は朝5時くらいに起床します。もっと早く起きるときも結構あります。7時に朝食を取りますので、それまで読書と執筆を行います。

早朝の時間は頭が冴えていますから、少し難しい内容の本を読むようにしています。頭が冴えた時間を有効に使いたいからです。「少し難しい」というのがポイントで、背伸びして今の自分の実力よりもかなり高いレベルの本を読んでも理解できず、結局時間のムダになってしまいます。

夜は執筆しないようにしています。作家の佐藤優氏も同様のことを述べていました。『読書の技法』242ページに「夜は、極力、執筆活動は行わない」と書いてあります。夜は感情が高揚していて、文章の論理性が崩れてしまいがちです。そのことは佐藤氏も指摘しています。

佐藤氏は、夜は執筆しないということをドイツの神学者ディートリヒ・ボンヘッファーの著作から学んだと言います。ボンヘッファーは「夜は悪魔の支配する時間なので、夜中に原稿を書いてはいけない。夜中に原稿を書くことを余儀なくされた場合、翌日太陽の光の下でもう一度その原稿を読み直してみること」と述べていると同書にあります。

ボンヘッファーの意見について、佐藤氏は「確かにその通り」だと言っていますし、私もこの考えとまったく同じです。過去の経験を思い出しても、夜中に執筆した原稿は、翌朝読み返してみると、論理の展開も文章の流れも悪いことが多いです。

夜は感情が高ぶっていますので、文学的な文章、例えば緻密な論理構造がさほど必要でない、俳句、短歌、詩、歌詞などの散文を書いてみるのは面白そうです。私はこれまで文学的な文章はあまり書いていませんが、感情が過剰な夜に書いてみると、どんなものが書き上がるか興味あります。今度、試してみたいと思います。

(2014年12月9日)

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知りたいことは、必ず本に書いてある

[text:蓬田修一]

執筆するにあたり情報のインプットをするとき、いちばん効率的な方法は読書ということを以前書きました。きょうはそのことに関連するかもしれませんが、「自分が抱く疑問に対する答えはすべて本に書いてある」ということをお話ししようと思います。

日々の生活の中で、ニュースに接したり、ほかの人と話したりして「なぜ?」「どうして?」と疑問を感じることがあると思います。

また、仕事上でも次から次へと疑問が湧いてくるものです。特に初めて取り組む事業では、基本的に手探り状態で進めていくわけですから、分からないことだらけです。

そういうときは、上司や同僚、知り合いなどに相談したり、セミナーに参加したりするなどいろいろな方法がありますが、いちばん時間的・費用的コストを低く抑えられ、しかも体系的に情報をインプットできるのが読書だと思います。

経験上、自分が抱く疑問に対する答えは、必ず本に載っているものです。これまで日本語だけでも何万タイトルもの書籍が発行されていると思いますが、これだけの量の書籍の中には、自分が抱く疑問に対する答えを書いた書籍があるはずで、本を読んで疑問が解決していないのなら、答えが書いてある本にたどり着いていないだけだというふうに私は捉えています。

実際、読書を通じて、これまで何度も、自分が抱いていてた疑問が解決しました。読んでいて、「こういうことだったのか!」と膝を打つ文章に出会うことが数々ありました。

もちろん、自分の頭で考えることも大事です。考えると同時に、近くの本屋、ネット書店、図書館などをフルに活用して、たくさんの本に接してみるのが宜しいと思います。

(2014年12月9日)


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読書でインプット

[text:蓬田修一]

文章と書くという行為はアウトプットです。書くことに限らないと思いますが、アウトプットするには、その前にある程度の量のインプットが必要です。

書くためのインプットには、いろいろな方法があると思います。例えば、現場に出向いて自分の目で確かめる、人に会って話を聞く、自分の手を動かして実際に試してみる。ほかにもあると思いますが、もっともコストパフォーマンスの高い方法は読書だと思います。

本には、知識や知見が体系的に述べられています。読みやすい内容の新書ならば、始めから終わりまですべて読んでも1~2時間程度でしょう。

インプットのための読書は、本の最初から最後まで全部を読む必要はありません。自分の仕事にとって必要な部分を拾い読みすれば宜しいと思います。もちろん面白い内容だと感じたら、始めから終わりまですべて読んでも構いません。メリハリを付けて読むことが大事です。

家族が起き出す前の早朝、電車での移動中、寝る前など、自分の都合に合わせて、読書する時間をできるだけ作り、たくさん本を読むことをおすすめします。

ちなみに私が年間に読む本の量は、仕事用とプライベート用を合わせて600~700冊程度です。もちろん、すべての本について、始めから終わりまで全部読んでいるわけではありません。本によって拾い読みしたり、少し読んでみたところ、内容が難しすぎて歯が立たずに読むのをやめてしまった本も含まれています。

(2014年12月7日)

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取材インタビュー 4つの方法

[text:蓬田修一]

文章を書くにあたっては、取材が欠かせません。今回はインタビューの方法について、お話ししてみようと思います。

1.対面インタビュー

まずひとつ目は、対面インタビューです。話を聞いてみたい人と実際に会って取材する方法です。この方法の良い点は、相手の発言内容に応じて、臨機応変に取材できること。相手の発言で理解できないところを確認しながら進めたり、面白いと思った発言内容を深く突っ込んで聞いてみたりできます。

また対面取材は、取材相手の事務所や店舗などを訪れて行うことが多いと思います。取材に行く前には、ある程度、取材相手の方をリサーチしますが、事務所内にある置物や壁にかかっている写真、店舗のディスプレイなどから、事前リサーチでは知ることができなかった新たな情報を得ることもしばしばあります。

逆にデメリットとしては、相手先を訪問するため時間がかかることです。また、取材アポを取るための手間と時間もかかります。

2.書面インタビュー

ふたつ目の方法は、書面インタビューです。4つから5つくらいの質問項目をメールやFAXで相手に送り、回答を書いてもらってメールやFAXで返信してもらう方法です。

メリットは、相手先に出向く必要がありませんので、取材時間が節約できることです。取材相手が遠方の場合、取材予算によっては交通費が捻出できないケースもあります。書面インタビューならメールでのやり取りですから、どんな遠方の相手でも取材が可能です。

デメリットとしては、あらかじめ用意した質問への回答しか得られませんので、仮にもっと面白い情報を相手が持っていても、その情報を得ることは基本的にできません。また、取材される方によっては、「対面ならば対応できるが、書面の場合は回答を書く時間がない」という理由で辞退するケースもあります。

3.アンケートインタビュー

3つ目の方法は、書面インタビューと似ていますが、アンケートインタビューというやり方です。取材方法は書面インタビューと同じです。書面インタビューとの違いは、質問項目が多かったり、細かい聞き方をするときにアンケートインタビューと呼ぶことが多いようです。メリットとデメリットも、基本的には書面インタビューと変わりません。

4.電話インタビュー

最後、4つ目の方法として電話インタビューがあります。電話で質問して回答をもらうという方法ですが、30分以上かけて比較的しっかりとインタビューする場合と、数分のやり取りで、ひとつまたはふたつの論点について、短いコメントをもらうという、大きく分けて2通りのやり方があります。

メリットは、相手先に出向きませんので、取材時間と取材予算の節約が図れることです。また、取材相手は書面取材のように回答を書く必要がありませんから、負担が少ないという点もあります。対面ではないものの、言葉を直接交わしながらインタビューできますので、相手の回答内容にあわせて臨機応変に対応することができることもメリットです。

一方デメリットは、長時間の電話インタビューの場合は、対面インタビューと同様に取材アポが必要で、そのための手間と時間がかかることです。

これら以外にもインタビュー方法はありますが、この4つが基本的な方法です。どれで進めるかについては、取材内容、予算、締め切り時期をよく考えて決めることになります。



Posted on 2014-12-05 | Category : コラム, ワンランク上の文章へ | | Comments Closed

思いついた内容で、とにかく書き進める

[text:蓬田修一]

文章を書き進めるとき、いろいろな方法があると思いますが、おすすめは書きたいテーマについて思いついたら、とにかくどんどん書いていくという方法です。

あまり深く考えないで、執筆テーマに関することであれば、頭に思いついたことをとにかく文章化します。すると、今書いた文章の内容にインスパイアされて、次の文章が出てくるものです。

もし出てこないようであれば時間をかけて悩まないで、次に思いついた内容を文章化していきます。あまり前後の脈絡にとらわれることなく、ポンポンとテンポよく書いていきます。この段階では思いついた内容をはき出すような感覚です。

文章化することによって、頭の中が整理され、文章全体の構成も固まっていくことが多いです。ある程度の分量を書き出したら一旦書くのをやめます。そして、ざっくりとした全体構成を考えてみるといいと思います。

あまりうんうん唸って考えずに、気軽な心持ちでどんどん文章化して書き進めることに集中してみてはいかがでしょうか。

(2014年12月5日)


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