Home > コラム, ワンランク上の文章へ > 意外と効果的 文章を書き写す訓練

意外と効果的 文章を書き写す訓練


[text:蓬田修一]

少しだけでOK 気分転換にもなる
私は書道が好きで、書の展覧会によく出かけます。書道では「臨書」といって、書道史上の優れた作品をお手本にして、字の形や筆遣いなどをそっくりまねて書いていく練習方法があります。

お手本を半紙の右に置いて、一字一字じっくりと見ながら、できるだけそっくりそのまま書いていくのですが、見ていたときには気付かないことを、いろいろと発見します。例えば、横棒が意外と短かったり、文字の形が思った以上に縦長だったりという具合です。臨書を繰り返すことで、古典となっている作品の優れた点を、体に覚え込ませることができます。

文章の場合も、書道の臨書と同じように、文章をそっくりそのまま写してみる訓練は有意義です。例えば、ビジネスレポートを書くのであれば、これまで読んでとても読みやすかったビジネスレポートの一部分を書き写してみます。エッセイに挑戦しようというのであれば、評価が高いエッセイ作品や、自分の好きな作品を書き写してみます。

すると、読んだときは短いと思っていた文章が意外と長かったり、読点が思いもよらない場所に打たれていたりと、新たな発見がたくさんあります。

書き写す作業は思いのほか時間がかかりますので、時間がなければ、ワンパラグラフくらいの少ない分量でも効果があります。経験上、文章を書き写す訓練は、執筆の「基礎体力」につながるというのが実感です。気分転換にもなりますので、ときには文章の「臨書」を試してみてはいかがでしょうか。


Posted on 2014-12-11 | Category : コラム, ワンランク上の文章へ | | Comments Closed
関連記事