【第5回】大阪大学「教育・産業界と密接連携 地域に最先端科学を公開」 ICTキャンパス 2014年5月5日
大阪大学は、学内外の情報基盤を支える組織として、「サイバーメディアセンター」を平成12年度に設置した。同センターは、大阪大学内の大型計算機センター、情報処理教育センター、図書館(一部)を再構成して組織されたものだ。ここでは、同センターの最新活動について紹介する。
新教育用計算機システム
サイバーメディアセンターでは、VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ=Virtual Desktop Infrastructure)とBYOD(持ち込みパソコンの活用=Bring Your Own Device)の仕組みを活用した、新たな教育用計算機システムを今年9月に導入する予定だ。
これまでは、授業を受けたり自習したりするには専用端末が必要なため、端末の導入および運用にコストがかさんでいた。また、経年による端末の老朽化で、サービスの質が相対的に低下するという問題もあった。
VDIとBYODとを併用することで、端末や場所を問わず、同センターが提供するのと同一の計算機環境が利用できるようになる。
ダイナミック教材
従来のインターネット教材は、修正が困難という課題があった。同センターが開発を進めている「ダイナミック教材」は、教材の共有・再利用・パーツ利用を前提としているもので、修正が容易に行えるのが特徴だ。
操作性を極限まで追求し、若干の訓練で、コンピュータに不慣れな人でも教材作成が可能。プロトタイプはすでに完成している。同センターでは「教材作りに苦労している教職員の方々には、デモや情報提供など、可能な限り応じたい」と話す。
eラーニング用辞書
外国語教員と連携し開発したデスクトップ端末用のウェブ辞書をベースとして、タブレット端末環境での操作性や機能を備えたiPad用辞書アプリを開発し公開している。今後は、対応言語の拡大や操作性の向上を目指す。また、辞書データの開発を行う外国語教員へのサポート機能を開発する予定だ。
可視化サービス
スーパーコンピュータや大規模計算クラスタで解析された計算結果は、情報の欠損なく、しかも直感的に分かりやすく可視化されなければならない。
そのため、高精細立体表示装置をサイバーメディアセンターうめきた拠点と豊中データステーションに構築中だ。
可視化により、スーパーコンピュータや計算クラスタを用いた産学連携研究機会の創出だけでなく、一般の人にも科学研究への理解が深まることが期待されている。
ODINS運用戦略
大阪大学では、学内における多種多様な情報通信の利用を支えるICT基盤「大阪大学総合情報通信システム(ODINS)」を備えている。
ODINSの特徴は、ネットワークシステムの運用・管理面だけでなく、ネットワークの規模や通信速度も含め、利用者の声を直接的に反映させたネットワーク構成を目指していること。たとえば、授業中にネットワークが必要な教室などに、優先的にアクセスポイントを増加させたりしているのは、その一例だ。
☆ ☆
大阪大学サイバーメディアセンターは、こうした取り組みを通じ、教育機関や産業界と密接な連携を図っているとともに、地域に開かれた組織として活動している。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2014年5月5日号掲載
(執筆 蓬田修一)
【第4回】愛媛大学「教育デザイン室を設置 トータルでサポート」 ICTキャンパス 2014年4月7日
教員のICT活用をワンストップで支援
愛媛大学は教育デザイン室を設置し、ICT活用における科目担当教員の授業改善や、教育改革にともなう学部のカリキュラム改善に関わる支援などを行っている。
これまで教員向けにはICT活用に関する研修会を実施していたが、受講しただけでは、授業改善上の問題解決に充分な専門的知識の獲得は難しい面があった。
「担当教員は授業『内容』の専門家であり、授業『設計』については、不慣れなまま改善に取り組むことになってしまい、それが時間的・心理的負担となっていました。そこで、授業設計の支援組織による、設計・開発から実施、運用サポート、研修までのトータルなワンストップ支援が有効であると考え、教育デザイン室を2013年に設置しました」(愛媛大学総合情報メディアセンター教育デザイン室長 仲道雅輝氏)
他大学でも同様の支援を行うケースはあったが、ワンストップで支援できる仕組みを整えたのは愛媛大学が日本初だったという。
■インストラクショナル ・デザイン手法を重視
教育デザイン室の業務は大きく次の4分野に分かれている。
(1)授業科目担当者へICTを活用した教育支援
インストラクショナル・デザイン(ID/教育設計)の手法をもとに、ICTを活用した授業構成の見直し、および授業をより効果的・効率的・魅力的なものにするための授業設計の支援を行う。
(2)教材の開発・作成
シラバスや講義資料などをもとに、資料の効果的な提示方法の提案、教材のブラッシュアップ、講義の撮影・編集など、eラーニング教材の作成支援を行う。
(3)eラーニング運用サポート
eラーニングコンテンツの使い方などにおいて、スムーズに運用できるためのサポートを行う。
また、事例の紹介や研修会の開催などを通じて、担当教員のスキルアップを支援している。
(4)ICT研修会の開催とICT活用教育の普及
ワード、エクセル、パワーポイントなどの使い方に関するICT研修会の開催、ICT活用教育事例の紹介などを行う。
■569コース(科目)でeラーニング活用
eラーニングを取り入れているコース数(科目数)および利用教員数は大きく増えている。2007年には7コース・6名だったのものが、教育デザイン室の設置以降(準備段階を含む)は2012年には410コース・123名と大幅に増加。2013年度は、569コース、177名となっている。
今後は、これまで制作してきたeラーニング教材コンテンツの他者評価を実施し、質の向上に努めていく考えだ。
「eラーニング教材の授業全体における位置づけや効果的な活用方法のコンサルテーションを通して、『授業をデザインする(授業設計)』という視点をさらに広める必要性を感じています。そうすることで、eラーニングをツールとして活用していきながら、学習成果を蓄積し、ポートフォリオ(教育・学習成果の可視化)の実現や、さらなる教育展開へつなげていきたいと考えています」(仲道氏)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2014年4月7日号掲載
(執筆 蓬田修一)
【第3回】金沢大学「理系・文系問わずノートPC必携」 ICTキャンパス 2014年3月3日
学生・教職員に生涯ID ポータルサイトも整備
金沢大学は、平成18年度から学生にノートPCを必携としている。理系・文系を問わず「高度情報化時代に対応できる情報処理の基礎能力・総合力を持った人材育成」が不可欠との考えからだ。
PC必携化にともない、ノートPCを学内で安全安心に使えるように無線LANネットワークを整備するとともに、ICT活用ためのポータルサイト「アカンサスポータル」を整備した。このアカンサスポータルは、学生および教職員にワンストップのICTサービスを提供している。
学生は、大学からの各種連絡、個別連絡、時間割の表示、学生証を使っての出席管理(各教室には端末が設置)、休講・補講通知、スケジューラー、SNS、LMS(学習管理システム)や学内の各種サービスへのリンク(履修登録、Webシラバスなど)が用意されている。
教職員には、学生との連絡、学生への情報掲載、学内の各種サービスへのリンク(成績入力、シラバス入力、給与明細や年末調整、予算執行支援、電子職員録など)が提供されている。
メールアドレスをアカンサスポータルに登録することで、学籍番号だけ連絡を取ることが可能だ。
「アカンサスポータル」のトップ画面
生涯IDを使い シングルサインオン
金沢大学は学生と教職員に対して、生涯IDである「金沢大学ID」を発行している。学生と教職員は金沢大学IDを使い、アカンサスポータルにログインすることで、同大学が提供するほぼすべてのICTサービスを利用できる。
アカンサスポータルでは、シングルサインオンを採用しているため、学生・教職員は金沢大学IDを用いてリンク先の各サービスを利用することができ、サービスごとに異なるIDを使う必要はない。
「学生・教職員は、アカンサスポータルの稼働により、大学からの情報を取得する場所が分かりやすくなりました。また大学側でも、シングルサインオンによって、各部署でIDやパスワード発行などの業務を行う必要がなくなりました」(金沢大学総合メディア基盤センター 森祥寛氏)
ICT関連の相談 専用カウンター設置
金沢大学では学生のPC活用をサポートするため「パソコン相談カウンター」を平成25年4月に設置した。同大学に関するICT関連のトラブルや質問であれば、どのような内容であっても受け付けている。
「ICTで分からないことがあれば、まずはパソコン相談カウンターに相談すればよいというスタンスです。重要なのは、学生や教職員がどこに聞けばいいか分からず、あちこちの窓口に問い合せをしたり、たらい回しにされるのを避けることです」(森氏)
このように、金沢大学では、学生・教職員のICT活用環境整備を積極的に進めている。
今後、新システムの導入あるいはシステムを更新する際は、アカンサスポータルと連携させていく考えだ。
「連携は、各システムの導入や開発という面から考えると、余計な手間がかかるように見えますが、大学全体としては、経費の削減、業務の見直し、サービスの向上などに、非常に効果があると考えています」(森氏)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2014年3月3日号掲載
(執筆 蓬田修一)
【第2回】明治大学「Suicaと学生証一体化 学内施設で電子マネー」 ICTキャンパス 2014年2月3日
決め手は利便性とセキュリティの高さ
明治大学(本部・東京都千代田区)は、学生証とJR東日本のSuicaとを一体化させた「Suica付き学生証」を、全学生を対象に導入している。
同大学で、学生証のセキュリティ向上を図るため、従来の磁気カードからICカードへの変更を検討していた同時期に、社員証や学生証と一体化させたSuicaのサービスが開始された。
「SuicaのICカードとしてのセキュリティの高さと学生の利便性を考慮して、導入を決定しました」(明治大学教務事務部教務事務室)
学食や売店で電子マネー決済
こうして「Suica付き学生証」は、2008年11月に導入されることになった。これは、国内初の「Suica付き学生証」の導入ケースである。
Suicaと学生証が一体化したことにより、これまで駅窓口で購入する必要があった通学定期券が、通学区間に変更がない継続購入の場合は、自動券売機で購入可能となった。
また、Suica機能の大きなメリットのひとつである電子マネー決済サービスも、導入以降、学内で利用できるよう順次、整備を進めてきた。
現在では、Suicaの電子マネーで、在学証明書など各種証明書を自動発行機で取得できるのをはじめ、学内の食堂や売店などの施設においても、Suicaの電子マネーで決済ができる。
学生証とSuicaとが一体化したことにより利便性が高まった一方で、学生や大学にとって手間が増えた面もある。
Suicaと一体化した学生証
表(上)と裏(下)
紛失の再発行手続き 従来より手間増える
そのひとつが紛失した際の再発行手続きの煩雑化だ。旧学生証では学内での発行が可能であったため、紛失等による再発行を即時に行うことができた。
しかし、Suicaとの一体化により学内での発行が不可能となったため、再発行に時間を要するようになった。
また、学生証を紛失した際は、学生は大学とJRの両方の窓口に届け出なければならず、手続きが煩雑化した。
利便性高める サービス開発へ
教務事務室では「学生証とJRの通学定期券とが一体化したことが、学生にとって最大のメリットだと認識しています」と話す。
しかしながら、明治大学の4キャンパス(駿河台、和泉、生田、中野)のうち、和泉と生田の2キャンパスは私鉄沿線にある。学生によっては私鉄しか利用しないため、学生証と一体化することができない。
学生からも「SuicaだけでなくPASMOとの一体化も実現させてほしい」という要望が出ている。
ほかにも学生からは「Suica一体化学生証による割引サービスがあるといい」「学生証と定期券が一体化していることは、別々に持つよりも便利でスマートな反面、紛失や壊れたときのリスクが大きい」といった声が寄せられているという。
現状ではキャンパスによって一体化のメリットを受けられない学生もいるので、今後はすべての学生が享受できるサービスの開発を検討していく考えだ。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2014年2月3日号掲載
(執筆 蓬田修一)
【第1回】神奈川歯科大学「自動的に授業を録画・配信 従来工数4分の一で実現」 ICTキャンパス 2014年1月1日
教員に負担をかけず リアルな動画を収録
神奈川歯科大学は、1910年(明治43年)に東京・神田で創立。100年以上の伝統を持つ歯科専門大学だ。現在は神奈川県横須賀市にキャンパスを持ち、歯学部、大学院歯学研究科、短期大学部を併設。横須賀市と横浜市には付属病院がある。
同大学の大学院では、ICTを活用した授業配信の新システムを導入し、2013年5月から本格稼働させている。
歯学研究者・教育者教育コース、高度先進臨床歯科医療養成コース、高度診療協力専門職養成コースを持つ同大学院の学生は、授業だけでなく研究、臨床研修などさまざまな形で学習しており、横須賀キャンパスの教室だけでなく、横浜にある付属医療施設などで講義を見る機会も多い。
そのため、空き時間を有効に使って復習・再履修ができる授業配信はニーズが高かった。こうしたことから、すでに2011年には学生への教育支援の一環として授業映像の配信をスタートしていた。
今回、新たに導入したのはパナソニックインフォメーションシステムズの「ArgosView 授業配信システム」。新たな授業配信システムの導入にあたっては、次のふたつの課題を解決することを目指した。
ひとつは、講義を行う教員に負担をかけないで授業配信を行うこと。もうひとつは、従来の“音声付き動画”ではなく、よりライブ感のあるリアルな講義風景を配信していくことだ。
授業配信を行うには、まず収録したい講義を録画システムのカレンダーに予約するとともに、授業で使用する資料もアップロードする。予約と資料アップロードいずれも学内のどのPCからでも可能だ。
新システムは、授業の収録・配信にかかる負担が軽減、スマートデバイスへの配信やライブ配信といった幅広い配信方法が可能になった。教室に必要な機材は天井に設置したネットワークカメラとマイクのみの構成のため比較的安価にシステム構築ができたという。
また、学内のPCからスケジュールを登録するだけで自動的に収録・配信が行えるため、導入前に比べ教員・事務職員の工数は約4分の1に削減された。現在、約80人の大学院の学生が利用している。
講義の録画は、カレンダーに予約したスケジュールに従って自動で行われる。自動で録画がスタートするので、教員が授業を始めるときに、いちいち録画ボタンを押す手間がない。撮り忘れという事態も避けられる。
教室の天井に設置されたネットワークカメラが教員の講義の模様を撮影。このとき音声も同時に収録される。
上、神奈川歯科大学大学院ICT講義室の様子。
下、授業配信システムの利用イメージ。 学生の中には、仕事を持つ人もいる。 PCやタブレット端末で講義を見ることができ、好評だ。
空いた時間に講義を見る
録画された授業コンテンツはサーバーにアップロードされ、学生はPCおよびiPadなどのモバイルデバイスを使って、自分の都合のいい時間と場所でダウンロードし閲覧できる。また今回のシステムでは講義のライブ配信も実現した。
学生の中には社会人もいる。普段は病院などで働きながら、大学院に通いキャンパスでは実験や論文検索などキャンパスでしかできないことを行っている。録画された授業コンテンツは学生の都合にあわせダウンロードできるため、多忙な学生には好評だ。
動画配信システムを活用するようになって、移動などのすき間時間にタブレット端末で学習するなど、学生の時間マネジメント能力も向上しているようだ。
教育家庭新聞 新春特別号 2014年1月1日号掲載
(執筆 蓬田修一)
春の名歌10選
和歌を読むと、日本の文化、美意識、日本人の気持ちがとてもよく分かる。
奈良時代という遠い昔に詠まれた歌も残っている。
それからずっと今に至るまで、人々は歌を詠んできた。
この偉大な文化財産に触れないのはもったいないと思う。
わたしの和歌アンソロジーである。
☆ ☆
春の野に
すみれ摘みにと
来(こ)し我ぞ
野をなつかしみ
一夜(ひとよ)寝(ね)にける
山部赤人
●現代語訳
春の野に
すみれ摘もうと来たわたし
野辺の様子があまりに美しく
一晩を野で明かしてしまった
●語句
・なつかしみ
美しい、心惹かれる
●鑑賞
春先に野に出て若菜を摘むのは、大地のエネルギーに触れる神聖な儀式とでもいえるものであった。
☆ ☆
梅の花
今盛りなり
おもふどち
かざしにしてな
今盛りなり
筑後守葛井大夫(ふぢゐのだいぶ)
●現代語訳
梅の花は
今が盛り
親しい皆様
髪に挿しましょう
今が花盛り
●語句
・おもふどち
気の合った人、親しい人
●鑑賞
春になると、男女は野に出て、咲く花を摘んで髪に挿して飾った。
植物の生命力を自身に取り込もうとしたのだ。
万葉集以前の古代人の話である。
この時代になっても、その風習は残っていた。
大地のエネルギーを取り込もうとするより、風流な遊びとしてであるが。
☆ ☆
ひさかたの
光のどけき
春の日に
しづ心なく
花の散るらむ
紀友則
●現代語訳
日の光がこんなにも
のどかに照っている春の日
桜の花はどうして落ち着かない様子で
散っているのだろう
●語句
・光のどけき
「のどけき」は、のんびりとしている様子。
・しづ心
漢字で書けば「静心(しづごころ)」で、「落ち着いた心」という意味になる。
●鑑賞
柔らかな春の日差しの中、桜の花びらはせわしなく散っていく。
眼前に情景がぱっと広がるとてもビジュアル的な歌である。
同時に、散り行く桜への哀愁や、人生の無常観も感じられる。
☆ ☆
おもふどち
春の山べに
うちむれて
そこともいはぬ
旅寝(たびね)してしが
素性法師(そせいほうし)
●現代語訳
仲の良い友人同士
春の山辺に
連れだって
どこということもなしに
旅寝をしたい
●語句
・おもふどち
仲の良い友人同士。
・そこともいはぬ
どこということもなく。
・旅寝(たびね)
旅に出て寝ることだが、遠くへ旅立つだけでなく、近所に行って自宅以外で寝ることも旅寝といった。
・しが
願望を表す。
●鑑賞
仲の良い友人同士で、春の山辺に連れだって行って、場所も特に決めずに行った先で、楽しくひと晩を明かしたいものだ、という内容で、特に深い意味は込められていない。
内容は深くはないが、素直な情緒が込められていて、当時の貴族の雰囲気がしのばれる。
☆ ☆
春の夜の
夢の浮橋
とだえして
峰にわかるる
横雲の空
藤原定家
●現代語訳
春の夜の
儚い夢から
目覚めると
山の頂から
横にたなびく雲が離れていく
●語句
・夢の浮橋
夢の中に出てきた、浮橋のようにあぶなっかしい渡り道。
あるいは、浮橋のように揺れる、はかない夢。
わたしは、この「夢の浮橋」のように、言葉の意味をぎゅっと凝縮したような語句が、とても和歌らしく思えて好きなのだ。
・峰に別るる
解釈が分かれる言葉である。
ひとつは「峰から雲が離れていく」という意味。もうひとつは「雲が峰によって分断され、左右に別れていく」という意味だ。
どちらにしても「離れ離れになる」というイメージである。
・横雲の空
横にたなびくように広がる雲。これも「横」「雲」「空」というみっつの言葉が凝縮して意味を作り上げている、とても和歌らしい言葉であり、わたしは好きなのだ。
●鑑賞
一見すると、朝起きて、目の前にある山と雲の様子を詠んだだけの歌だ。
しかし、この歌には、恋しく思う人と離れ離れになって会えない苦しさや切なさが表現されている。
「春の夜」「夢の浮橋」「わかるる横雲の空」などのフレーズは、はかなさ、頼りなさなどを思い起こさせ、幻想的、夢幻的な雰囲気を漂わせている。
わたしは、こういう幻想的な歌が好みである。
☆ ☆
さくら花
ちりぬる風の
なごりには
水なき空に
波ぞ立ちける
紀貫之
●現代語訳
桜の花が散っていく
その風の“なごり”には
まるで水が無い空に
波が立っているようだ
●語句
・なごり
桜の花が散ったあとの「余韻」と考えれば、少しは分かりやすいと思います。
風が吹いて花びらを散らせた。風はやんだが、枝から離れた花びらは、ひらひらと空(くう)を舞っている。
その状況を、風がやんだあとにも残っている波のようだと表現しているのだ。
●鑑賞
この歌の鑑賞ポイントは、花が散っている状態を「水がない空に波が立っている」状態に見立てていることに気づくかどうかだ。
もう少し細かくいうと、空を海に、花びらを波に見立てている。
「見立て」とは何か?
「比喩」とはどう違うのか?
比喩とは、あるものを別のものになぞらえることだ。
例えば「君は僕の太陽だ」が比喩である。
見立てとは、あるものが別のものであるかのごとく表現することだ。
柳を糸としてみたり、雪を花としてみたり、これらは日本文学を大いに発展させた。
文学だけでなく、落語でそばを食べるとき、扇子を箸として演じるのも見立てである。
見立ては、日本の文学と文化には欠かせないものなのである。
☆ ☆
春ごとに
花のさかりは
ありなめど
あひ見むことは
命なりけり
●現代語訳
春が来るごと
見事な花を咲かせるのだろう
それに比べて
花を見る人のほうは
毎年咲く花に出会うことは
生きているからこそ
●語句
・ありなめど
あるだろうけれど
●鑑賞
春になると花は咲き誇るけれど、それを愛でることができるのは命あってこそだ。
作者自身、間もなく訪れる死を感じ取っていたのであろうか。
☆ ☆
鶯の
声なかりせば
雪消えぬ
山里いかで
春を知らまし
藤原朝忠
●現代語訳
もしも鶯が
鳴かなかったら
雪が消え残る山里は
どうして春の到来を知ろうか
●語句
・春を知らまし
直前の「いかで=どうして」と呼応して、春を知ることはないでしょう、という反語の表現。
●鑑賞
山では、春の季節になったといっても、雪がまだ残っているほど寒い。
そんなところでは景色を眺めても春の兆しは感じられない。
でも鶯の声を聞けば、春の到来を実感できる。
視覚は冬、聴覚は春を感じているのである。
☆ ☆
春の鳥
な鳴きそ鳴きそ
あかあかと
外(と)の面(も)の草に
日の入(い)る夕(ゆうべ)
北原白秋
●現代語訳
春の鳥よ
そんなに鳴かないでおくれ
外の草原(くさはら)に
あかあかとした夕日が
沈もうとしている
●語句
・な鳴きそ鳴きそ
鳴かないでおくれ、という意味。
「な」~「そ」で禁止を表現する。
●鑑賞
わたしは春が嫌いである。
どうしてか。
春の温かい風を感じると、理由は分からないが不安になり、死にたくなるのである。
特に夕焼けを見ると、胸が張り裂けそうになり、いたたまれなくなる。
だからこの歌は、実感を伴って鑑賞できる。
☆ ☆
いたつきに
三年こもりて
死にもせず
又命ありて
見る桜かな
正岡子規
●現代語訳
病気となって
三年間もこもっていたけど
死ぬこともなく
また命がつながり
見ることができた桜よ
●語句
・いたつきに
病気で
●鑑賞
子規は結核を患い、徐々にほかの病気にもなり、晩年は寝たきりになった。
寝たきりの自分が、死にもせずまた桜が見られたと、自虐的に詠っているけれど、それでいてどこかユーモア味もある。
令和七年建国記念の日に寄せて
本日2月11日は建国記念の日です。
この日、神武天皇が奈良・橿原の地で初代天皇に即位されました。
昭和20年に占領されるまでは「紀元節」と呼ばれておりました。
今年は、日本のオリジナルカレンダー皇紀2085年です。
日本建国に思いを馳せ、日本の国柄について、改めて考えてみる良い機会だと思います。
株式会社M&Cメディア・アンド・コミュニケーション
代表取締役 蓬田修一
弊社は19期を迎えました。
2024年8月、当社は新しい事業年度19期をスタートさせることができました。
これもひとえに皆様のおかげでございます。
心よりお礼を申し上げます。
In August 2024, we were able to start 19th fiscal year.
Very Thanks to all of you.
株式会社M&Cメディア・アンド・コミュニケーション
代表取締役 蓬田修一
リーダーの心構え
リーダーの心構え
指導者としての実力と徳があるものには、組織の高い地位に付ける。
功績を挙げたものには、金銭で報いる。
組織のトップの仕事は、人間の仕事ではない。
天の仕事である。
Leader’s Mindset
Leader’s Mindset
Those who have the ability and virtue as leader are given high positions in the organization.
Those who achieve good results are rewarded with money.
The job of the top of the organization is not Human’s Work.
It is God’s Work.









