若い時に外国で暮らす意義




若い時に仕事や留学で外国で暮らすことには、人生においてとても大きな意義があると考えます。

私自身、20代のときに仕事で台湾に赴任し過ごしました。

そのときの経験はいまでも、自分自身にとって、とても大きな部分を占めています。

若い時に仕事や留学で外国で暮らすことの意義を簡単に説明します。

1. 視野の拡大と多様な価値観の理解

異なる文化・宗教・生活習慣の中で生活することで、「当たり前」が相対化されます。

2. 語学力だけでなく「生きた言語感覚」の習得

現地での生活は教科書では学べない言語の運用力、ニュアンス、スラングなどを自然に身につける絶好の機会です。

3. 自己理解の深化とアイデンティティの確立

異文化の中で自分の文化や考え方を問われる経験を通して、「自分は何者か」を深く考えるようになります。

4. 挑戦と成長の場

慣れない環境での生活や仕事は大きなストレスにもなりますが、その分、対応力・自立心・問題解決能力が鍛えられます。

5. キャリア形成への好影響

外国での経験は、履歴書に書くだけでなく、実際に仕事の現場でも価値を発揮します。特にグローバル化が進む現代では、異文化での対応力は大きな武器になります。

6. 一生ものの人間関係が築ける

世界各地の人々と交流することで、人生の財産となる友情やネットワークが築かれます。

まとめ

若い時の海外経験は、語学力や知識を超えた「人生の資本」になります。

困難もありますが、それを乗り越えることで得られる成長と気づきは、今後の人生において計り知れない価値を持つと考えます。
(M&C編集部 蓬田修一)




Posted on 2025-08-04 | Category : コラム, 生きる指針 | | Comments Closed

芥川賞のメリットと課題




今年(2025年上半期)の芥川賞は「該当作なし」となりました。

文学賞が果たす役割や意義、そして問題点について、「芥川賞」に焦点を当てて、メリットとデメリットを具体例を交えながら書いてみます。

芥川賞を実施するメリット

① 新人作家の発掘と登用

芥川賞の最大の意義は、新人・中堅作家の発掘と社会的認知にあります。

たとえば村上龍(1976年『限りなく透明に近いブルー』)や綿矢りさ(2004年『蹴りたい背中』)など、芥川賞受賞をきっかけに一気に文壇で名が知られ、幅広いメディアに登場するようになりました。

文藝春秋社が主催することで、選考過程や結果も広く報道され、作家がメディアに乗るチャンスにもなります。

② 文学界全体の活性化

話題性が高いため、受賞作が多くの読者に読まれやすくなります。
たとえば、2015年に又吉直樹(お笑い芸人)が『火花』で受賞した際は、文芸書としては異例のベストセラーになりました。

普段は文学に触れない層にまで届くことにより、純文学の読者層の拡大という効果も期待できます。

③ 出版産業の経済的効果

受賞作は書店で大きく展開され、売上が伸びる傾向にあります。
例:2001年の金原ひとみ『蛇にピアス』なども受賞後に大きな商業的成功を収めました。

芥川賞受賞作が映像化されることも多く、書籍だけでなく映像メディアとの連携による利益も見込まれます。

芥川賞を実施するデメリット(および課題)

① 過剰な話題性と「文芸ショー化」

特に話題性のある作家(芸能人、若年女性作家など)が候補に上がると、「売れる作家を選ぶのではないか」という批判が起こります。

例:2015年の『火花』は大衆文学的とも評され、「純文学か?」という議論が巻き起こりました。

② 「賞狙い」の作品傾向

芥川賞に選ばれやすいテーマや文体があるとされ、作家がそれに合わせた作品を書く傾向があります。

たとえば「現代的テーマ(アイデンティティ、貧困、家族)」を題材にし、短中編で語りの多い小説が多くなる傾向にあるといわれます。

その結果、文学の多様性が損なわれる危険があります。

③ 「該当作なし」の影響

今回(2025年上半期)のように「該当作なし」になると、作家・読者・出版関係者の間で落胆や混乱が生じます。

「選考基準が厳しすぎるのでは」「賞の権威を保ちたいだけでは」といった批判や疑問が起こります。

特に候補作家にとっては「作品が全否定された」と感じられ、創作意欲に影響を与える可能性も考えられます。

④ メディアの過剰報道と受賞者への重圧

芥川賞の受賞後、メディアの取材攻勢や過剰な報道が、作家自身に大きなプレッシャーを与えることがあります。

例:綿矢りさや金原ひとみなど、若くして受賞した作家は「次作を書くことへの重圧」を公言しています。

「一発屋」と呼ばれることへの恐れもつきまといます。

芥川賞の存在意義と今後の課題

芥川賞は、日本の現代文学におけるもっとも注目される新人賞であり、若手作家の登竜門として今も大きな影響力を持っています。

しかしその一方で、「文学とは何か」「選考の透明性」「商業主義との距離感」といった問題が年々浮き彫りになってきています。

「該当作なし」が出るほどの厳格さを保つことで賞の権威は保たれますが、その一方で、新しい文学や挑戦的な作風をどう受け入れていくかという柔軟性も求められています。
(M&C編集部)




Posted on 2025-08-04 | Category : しあわせマーケティング, コラム, 文学の談話室 | | Comments Closed

『古今和歌集』における撰集方針と天皇中心の新秩序 ――王権の文化的正統性と国風和歌の確立――

はじめに

『古今和歌集』(以下、古今集)は延喜五年(905年)、醍醐天皇の勅命によって撰進された最初の勅撰和歌集である。

その背景には、律令国家から王朝国家への移行という大きな時代的変化があり、古今集の撰集は単なる歌の編集作業ではなく、天皇を中心とする新たな文化的・政治的秩序の構築作業であった。

本稿では、古今集の撰集方針とその中に見られる天皇制との関係について、具体的な作品や制度的背景をもとに考察し、和歌がいかにして王権の文化的正統性を支える装置となったのかを明らかにする。

一、勅撰和歌集の制度化とその政治的背景

『古今和歌集』は、天皇の命令により国家的事業として和歌を撰集する「勅撰集」の最初の事例である。

それ以前の和歌集、たとえば『万葉集』や『伊勢物語』は個人や集団による自発的な編纂であったが、古今集は国家権力、すなわち天皇の意思によって企画された。このような和歌の制度化には、当時の政治情勢が深く関与している。

9世紀末から10世紀初頭の日本は、藤原氏を中心とした摂関政治の成立と、律令制の弛緩という時代であった。

こうした中、天皇の文化的権威の再構築が求められ、王権の神聖性を支えるために「日本固有の文化」である和歌が再評価されていった。

すなわち、古今集の成立は、漢詩を中心とした中国的教養から脱却し、天皇を中心とする新たな国風文化の創出というイデオロギー的要請によって支えられていたのである。

二、撰集方針に見る「王権的秩序」の反映

古今集の撰者は、紀貫之、紀友則、凡河内躬恒、壬生忠岑の四名であり、いずれも歌壇における実力者であるとともに朝廷に仕える文人であった。

彼らは、約1100首に及ぶ和歌を収録し、それを四季・賀・離別・恋・哀傷などの部立て(部類分け)によって整然と分類した。

これは、和歌に秩序を与え、天皇を中心とした儀礼や感情の体系を可視化し、序列化する行為であった。

【事例:賀歌における天皇賛美】

賀歌の部に収められた和歌の多くは、天皇の寿命・国家の繁栄・四季の循環といったテーマが中心であり、これは儒教的・道教的な皇帝賛美の型を踏襲しながらも、和歌という日本語の形式で表現されている。たとえば、紀貫之の賀歌に次のような一首がある。

世の中を
まもるしるしに
なりぬべし
神の御代より
いでし宝は
(巻第六・賀歌)

この歌は、「神の御代」=天皇の治世が「宝」であると詠んでおり、天皇の存在そのものが世界の秩序を保つ象徴であるという世界観が表れている。ここには、和歌を用いた文化的な王権正当化の装置としての意識が見て取れる。

三、和歌と天皇を中心とした儀礼の接続

古今集の撰集とほぼ同時期、宮中の年中行事や儀礼における和歌の使用が制度化されていく。たとえば「屏風歌」や「歌合」などの形式において、和歌が儀礼的な場面での必須の要素となっていく。

これにより、天皇や貴族が和歌を詠むことが、政治的・社会的な「パフォーマンス」として機能するようになる。

【事例:昌泰の変と和歌文化】

また、古今集の成立時期には、藤原時平と菅原道真の対立(昌泰の変)など、宮廷内の権力争いが激化していた。こうした時代において、和歌は政治的中立性を保ちながら、天皇を中心とする秩序回復の象徴として活用された。

歌壇の世界においても、和歌の技巧や教養が忠誠心や礼節の象徴とみなされ、官人の人事評価にも影響を与えたことが記録されている(『江談抄』などを参照)。

四、古今集の構成と「日本」意識の形成

古今集では、『万葉集』以来の古典的歌から、当代の新作歌に至るまでの和歌が体系的に編纂されている。これにより、和歌という形式が持つ歴史性と連続性が明示され、日本文学における「伝統の創出」が図られた。

このような編集方針は、天皇の統治が過去から未来へと連なる正統な系譜であるという思想と重なっている。

【事例:柿本人麻呂と和歌の祖】

仮名序では、古代の歌人・柿本人麻呂が「歌聖」として言及され、和歌の歴史を支える祖として顕彰されている。これは、和歌の歴史を天皇を中心とする歴史に接続する意図であるといえる。

五、和歌における「統制」と「自由」の交錯

古今集の撰集方針は、和歌にある種の典型性・様式性を強く要求している。たとえば、季節感、詞の綾(掛詞、縁語)、恋の段階的表現などが一定のパターンに沿って構成されており、それが儀礼的な場での使用に適した言語秩序を形成している。

これは、和歌を文化的表現としてだけでなく、制度化された言説装置とする国家的意図の反映である。

一方で、撰者たちはその中で個性や感情の表現を工夫し、和歌の「自由」や「創意」を保とうとしていた。その最たる例が、紀貫之による仮名序である。

仮名序は、和歌を「人の心の発露」として定義し、天皇を中心とする新たな枠組みの中でも文学が個人的感情の表現であることを忘れてはならないと訴えているとも解釈されうる。

おわりに

『古今和歌集』は、日本における勅撰和歌集の嚆矢として、その後の文学・文化に多大な影響を与えたが、その成立の背後には、天皇制の文化的正統性を確立・可視化しようとする明確な政治的意図が存在していた。

撰集方針における部類構成、歌の選定、文体の統一、そして儀礼との接続といった編集方針は、すべて天皇を中心とした秩序ある社会の演出に寄与している。

和歌はこの時代、「詩」としての美的実践であると同時に、「政治」としての秩序装置であった。古今集の撰集方針と天皇を中心とする新秩序との関係を理解することは、和歌を単なる文学作品として見るのではなく、国家的文芸政策として捉える視点を持つことに他ならない。

(M&C編集部 2025/8/3)

参考文献

久保田淳『古今和歌集全注釈』角川書店、1999年

鈴木日出男『古今和歌集の世界』岩波新書、2002年

小松英雄『和歌の構造と展開』笠間書院、1990年

佐佐木恵子「古今集撰集と天皇制文化の形成」『日本文学研究』第87号、2015年

岩佐美代子『古今和歌集と平安文学』明治書院、2007年








Posted on 2025-08-03 | Category : コラム, 和歌とともに, 日本の文化 日本のこころ | | Comments Closed

40代・50代が心安らかに過ごすために




40代・50代になると、仕事・家庭・健康など様々な変化に直面しやすくなり、心の安らぎを保つことが難しくなる場面も増えてきます。

しかし、この時期を「人生の充実期」として豊かに過ごすための心構えがあります。以下に、いくつかの視点からそのヒントをご紹介します。

「手放す」ことを恐れない

若いころのようなスピードや成果主義にこだわるよりも、「これまでの自分にできたこと」「これから自分に必要なこと」を見極めて不要なものを手放していく。

役職、物欲、人間関係など、しがみつくより「余白」を作ることで心が軽くなります。

「比較」をやめる

年齢を重ねるにつれ、周囲の成功・健康・家庭などと自分を比べてしまうことがありますが、他人との比較は心を疲弊させます。

比較するなら「過去の自分」と。昨日より少し穏やかに過ごせたなら、それが大きな進歩です。

「いま・ここ」を味わう

過去の後悔や未来の不安ではなく、「今」の風の音、食事の味、誰かの笑顔を意識して感じる習慣を。

マインドフルネスや瞑想も、心の平穏に役立ちます。

「役割」から「存在」へ

「親として」「上司として」「働き手として」などの役割に自分を縛りすぎず、「ただ自分として生きる」ことも許してあげてください。

誰かに必要とされることも大切ですが、「自分が自分を認める」ことはもっと大切です。

「ゆるやかなつながり」を大切に

何かあったときに連絡できる友人や、日常で挨拶を交わせる人がいるだけで、人は心強くなれます。

無理に深くつながらずとも、温かい一言のやりとりが人生を支える土台になります。

「変化を受け入れる」勇気

身体の変化、親の老い、子どもの自立、社会の変化…どれも抗えないもの。

「変わってしまった」と嘆くより、「だからこそ何ができるか」と視点を転換する柔らかさが、心を守ります。

「感謝」を忘れない

どんな一日にも、ありがたいことが一つはあります。

毎晩、寝る前に「今日ありがたかったこと」を一つ思い出すだけでも、心は整います。

「自分を後回しにしない」

他人のために動いてきた40代50代だからこそ、自分を癒やし、自分に優しくしていい時期です。

趣味、休息、自然とのふれあい、音楽、読書など、「自分のためだけの時間」を確保するようにしましょう。

最後に

この年代は、「第二の思春期」とも言える、人生の再構築期です。だからこそ、自分を見つめ直し、心を整えるのにふさわしい時期でもあります。

あなたの40代・50代が、穏やかで実りある時間となるよう、心から願っています。

(M&C編集部 2025/8/3)







Posted on 2025-08-03 | Category : コラム, 生きる指針 | | Comments Closed

スルガエレガントでやわらかピール砂糖漬けをつくってみた《料理つくってみた》#1




静岡名産「スルガエレガント」を妹からもらったのですが、それがとても立派で美しくて。オレンジピールにチョコがかかったオランジェットや、鹿児島の文旦漬とか好きなので、できるんじゃないかと思って、砂糖漬けを作ってみました。

「甘夏よりも糖度が高く、酸味が少ない」スルガエレガント

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直径13cmくらいの大きさで持つとずっしり。
酸味が少ないということでしたが、私的にはやはり、それなりにすっぱいです。でも砂糖をつけて食べるほどではない。
さわやかな後味で、食後にぴったりだと思いました。
このたびの主役はこの果肉ではなく、皮です!!!
この食べ終わった後残った皮を捨てずに集めておきます。

苦いの好きだからゆでこぼしは1回で

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今回は3つ分の皮で作りました。
作り方を検索して研究したところ、普通3回くらいゆでこぼすようですが、苦いの好きなので、ゆでこぼしは1回にしました。
それから食べやすい大きさに切り、水をひたひたに加え、やわらかいのが好きなので、圧力鍋で10分加圧調理しました。

砂糖を加えて煮て水気をとばす

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やわらかく煮えたので、今度は砂糖を足して、煮ながら水気を飛ばそうと思いました。砂糖がまぶせる程度にドライに仕上げたいけど、乾燥させすぎると硬くなるからどれぐらいまでやるかなあなんて考えながら。
でも、圧力鍋で煮てやわらかくしたのが仇となり、ドライになる先にぐずぐずしてきたので、ちょっと水気が多すぎだけど、よしとしました。

グラニュー糖をまぶして出来上がりです

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水分が多いからこんな感じ。

小分けして冷凍保存

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まぶした直後は砂糖が白いのですが、水分が多いからだんだんママレードみたいになってしまう。なので、すぐに食べない分は砂糖は入れず、ジップロックに入れて冷凍することにしました。解凍して、そのつど、砂糖をまぶして食べるのだ。

妹へのおすそ分けも冷凍保存

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花見糖をまぶして冷凍しました。こうしておけば、いつ来ても渡せる。
妹が気に入って、来年はもっとたくさんスルガエレガントをくれるといいな♪

ソフトで甘くてお茶請けに合います

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1回のゆでこぼしでしたが、苦すぎることはなく、甘くておいしい。やわらかいので食べやすいです。

思った以上にやわらかくなったので、次回は加圧時間を減らしてみようと思います。

ピール好きな方、お試しください!

(M&C編集部 宮川由紀子)




Posted on 2025-04-07 | Category : コラム, 料理つくってみた | | Comments Closed

【第10回】徳島大学附属図書館蔵本分館「学生のタブレット端末と大型タッチディスプレイを連携」 ICTキャンパス 2014年10月6日




ディスカッションが 円滑かつ効率的に

徳島大学附属図書館は、本館と蔵本分館の2館で構成されている。今回紹介する蔵本分館は、医学・歯学・薬学・栄養学・保健学分野等に関する学術資料を所蔵する生命科学系の専門図書館。教育・研究者のみならず病院および地域医療従事者の教育・研究活動を支援している。

蔵本分館では、2012年5月のリニューアルオープン時に、学生の主体的学習を支援する観点からラーニングコモンズ(学生が集まり蔵書や情報機器などを活用して学習できるスペース)を設置するとともにグループ学習室を大幅に増設、ICT環境も整備した。

「生命科学系の教育研究分野では、X線画像、CT・MR画像、人体の3次元構造、病理組織像、生体分子構造モデルなどの画像情報をいかに利活用できるかが重要になってきます」(徳島大学図書館蔵本分館 蔵本利用支援係・国見裕美氏)

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タッチディスプレイを使用してのグループ学習風景

手軽な情報共有でグループ学習の形が一新

そこで、学生のタブレット端末に保存されている情報をグループ学習室に設置した大型タッチディスプレイへ表示し学生間で情報を共有して、ディスカッションやグループワークを円滑かつ効率的に行えるようなICT環境を整えた。

機器を設置するだけでなく、利用する学生に、職員が操作方法を説明したり、無線LAN設定の相談にのるなど、きめ細かく支援している。昨年度におけるグループ学習室の利用者数は延べ2万人を超え、入館者数はリニューアル前と比べて約2倍に増えている。

タブレット端末とタッチディスプレイとを連携したことのメリットを国見氏は次のように話す。

「簡単な操作で共有・保存でき、ディスカッションの流れを止めることなく内容を深められるようになりました。また、ペーパーレスでディスカッションできることもメリットのひとつです」

学生の利用方法は多彩で、タッチディスプレイのホワイトボード機能を用いてディスカッションを行ったり、文書作成ソフトを使い共同で資料を作成したり、プレゼンの練習を行ったりと様々な用途で用いられている。

「手軽、情報共有、ワンストップという3つの点が、グループ学習の形を一新したと思っています」(国見氏)

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テーマ展示の様子。写真は第10回「先人たちに学ぶこと」。「Molecules」(分子模型の回転)のアプリを紹介している

iPadアプリの デモ展示が好評
蔵本分館の1階エントランスホールでは「テーマ展示コーナー」を2012年11月から展開している。同コーナーは、教員監修のもと、旬のテーマや学際的なテーマを取り上げ、関連する図書とiPadアプリを展示するものだ。

iPadと80型タッチディスプレイとを連携させた医療系iPadアプリのデモ展示では、iPad画面を大画面で見ることができるため、アプリの動きがとても分かりやすいとデモを体験した人からは好評だ。

今後は直接利用者のタブレット端末同士で画面共有ができるようにしていくことを検討中だ。利用者が「いつでも・どこでも・手軽に」ICT機器を使えるような環境整備を行い、学生の自主的・主体的な学びの支援を目指していく考えだ。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2014年10月6日号掲載

(執筆 蓬田修一)




Posted on 2025-04-07 | Category : コラム, 大学教育 | | Comments Closed

【第9回】中京大学「翻訳支援ソフト活用で実務翻訳者を育成する」 ICTキャンパス 2014年9月1日




「TRADOS」の授業 日本で初の開講

中京大学(名古屋市)国際英語学部国際英語キャリア専攻が今年4月、新たに開設された。同専攻では、高度な英語運用力に学問的裏付けを与え、さらに実践的授業や海外経験による自信を学生に付けさせて「言葉のプロフェッショナル」の育成を目指す。

こうした目的を達成させるため、同専攻では翻訳支援ソフト「TRADOSSTUDIO」(以下、TRADOS)を使った授業を、2015年度に日本で初めて開講する。TRADOSとは、英国に本社を構えるSDL社製のプロ仕様の翻訳支援ソフトで、翻訳実務業界では圧倒的なシェアを誇る。

翻訳業界の必須条件

「翻訳といえば『文芸翻訳』を思い浮かべる人が多いと思いますが、市場規模から言うと、製品マニュアル、ホームページコンテンツ、特許申請書などビジネス現場での翻訳である『実務翻訳』のほうが大きいわけです。しかも実務翻訳の世界では、翻訳支援ソフトTRADOSの使用を条件とする翻訳案件が飛躍的に増えており、このソフトを使いこなせることが実務翻訳者の必須条件になりつつあります」(同専攻中川直志准教授)

海外の大学では、TRADOSの使用法を学ぶ授業や、それを活用し、どのように翻訳するのかといった実践的な授業が数多く開講されている。中川准教授は「翻訳」を掲げる専攻として、TRADOSなしの授業は考えられなかったという。

授業は、SDL社公認トレーナーの資格を有する実務翻訳者がTRADOSの使用方法を教える「翻訳とIT」と、翻訳の実務を教授する「ビジネス翻訳実務」の2科目を開講する。

「翻訳とIT」の授業では、単にソフトの使用方法を教えるだけでなく、TRADOSを使った翻訳を通して技術的な応用力も鍛える。講義を終了した学生には、SDL社による試験を経て、認定証が授与される。
7月5日には、国際英語キャリア専攻の開設を記念して、名古屋キャンパスにおいて、真の国際人を育成する教育のあり方などをテーマに、実務翻訳者らを招いたシンポジウムが開催された。

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今年7月に開催されたシンポジウムの様子

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「TRADOS」を使った授業(イメージ)


ソフトへの習熟通じて

輩出人材を差別化 「高校の関係者らに、TRADOSの翻訳業界における圧倒的な地位について理解してもらうことも目的の一つでした。参加された方々は、TRADOSや当専攻の内容について、強い関心を持ってくれたようです」(中川准教授)

現在、授業開始に向け、SDL社と緊密に連携を取りながら、準備を進めている。中川准教授はTRADOSを活用した授業および同専攻の今後の展開について「言うまでもなく、当専攻はTRADOSだけを学ぶのではありません。『言葉のプロフェッショナル』をキーワードに英語教育者や、国際ビジネスパーソン、さらには研究者の育成までをも視野に入れています。TRADOSの技術を、翻訳を志す学生だけのものにするのではなく、トータルな英語力の一部として位置付け、当専攻が輩出する人材の差別化を図っていきたいと考えています」と語る。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2014年9月1日号掲載

(執筆 蓬田修一)




Posted on 2025-04-07 | Category : コラム, 大学教育 | | Comments Closed

【第8回】広島大学図書館「プリントオンデマンドで 研究成果の海外発信強化」 ICTキャンパス 2014年8月4日




学術機関で日本初 電子書籍から印刷・製本

広島大学図書館は、日本の学術機関としては初めて、米国製のプリントオンデマンドシステム(POD)である「エスプレッソ・ブック・マシン(EBM)」を導入し、電子書籍から1冊単位で冊子体の印刷・製本ができる体制を整えた。

EBMは、世界各国の大学や図書館など60機関で導入されているシステムだ。特徴はサイズがコンパクトなことで、事務用複合機の2~3台分しかない。PDFデータを活用することで、必要部数だけを印刷・製本することが可能となる。

広島大学では2012年11月にEBMの本格運用を開始。試行期間を含め、すでに4タイトルを出版している。

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プリントオンデマンドシステム「エスプレッソ・ブック・マシン(EBM)」

電子化の進展と同時に印刷物が必要な場合も

PODに取り組んでいる背景には、研究論文などの電子化が急速に進む一方で、研究や教育の現場では、印刷物が有効な状況も依然として多いという現状がある。

これまで、1部から印刷・製本できるEBMの特徴を活かし、研究で使用するマニュアル本の1部印刷、会議で使用する回覧資料の3部印刷など、少部数のニーズにも対応してきた。教職員の海外出張時に、電子ファイルとは別に持参する冊子を3時間で10部作製したケースもある。

在庫数を最小に抑え 有償出版が可能

一方、広島大学出版会でも大学図書館に設置されたEBMを活用し、書籍を刊行。例えば「英語の冠詞(増補版)」は、同会が2009年に出版し絶版となっていた書籍を、PODで増補版として刊行したものだ。

また、広島大学学術情報リポジトリで公開していた教材の中で、ダウンロード数が多く、冊子での発行が望まれていた複数の教材を「物理化学Monographシリーズ」という上下巻の教科書としてまとめ、PODで刊行したという例もある。各巻が400ページ以上と分量が多いにも関わらず、価格はそれぞれ1700円と1800円(共に税別)と安価に設定できた。発行3か月で、各約50部ずつの販売実績がある。

研究分野にもよるが、一般的に学術図書においては、発売後3年を過ぎると販売数が見込めない傾向にある。オフセット印刷の場合は販売単価を下げるため、やむを得ず印刷部数を増やし在庫を生む要因となっていた。EBMでは、その都度の印刷・製本が可能なので、在庫数を最小限度に抑えることができる。

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EBMで印刷・製本した教科書や学術書など

クラウドサービスで世界中に提供可能

EBMでは、作製した冊子体の書籍データを専用クラウド「エスプレッソネット」にアップロードすることも可能だ。こうすることで、世界中のEBMで書籍の印刷・製本できるようになる。これは海外の大学図書館などに直接、図書を提供できることを意味する。

国際的にみると、人文社会科学系の研究分野では、冊子体のニーズが依然として高い。今後は、学術情報の海外発信力を高めるためにも「エスプレッソネット」を積極的に活用していく方針だ。

また、広島大学では13年4月、図書館内にライティングセンターを設置し、学生の論文作成のサポートを開始した。ここでもEBMを活用し、研究成果の国際発信を強化させていく考えだ。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2014年8月4日号掲載

(執筆 蓬田修一)




Posted on 2025-04-07 | Category : コラム, 大学教育 | | Comments Closed

【第7回】玉川大学・玉川学園「ARスマホアプリで学園の魅力を体感訴求」 ICTキャンパス 2014年7月7日




児童・生徒・学生 入学志望者らが対象

玉川大学・玉川学園は独自のスマートフォンアプリ「TAMAGAWA」を開発し、今年4月から提供を開始した。

同アプリはAndroidとiOSに対応。コンテンツは、玉川学園の児童・生徒・学生をはじめ、卒業生・学校関係者・入学志望者などに向けて、同学園の教育活動や研究内容などを伝えるもの。

アプリの特徴は、コンテンツにAR(拡張現実)を導入していることだ。AR導入について滝田宣宏氏(玉川学園教育企画部キャンパスインフォメーションセンター)は「スマートフォンやタブレットの普及によって、AR技術が容易に提供できるようになりました。アプリでは『体感』と『情緒面への訴求』をキーワードに、ARを活用して本学の魅力を表現しようと試みました」と話す。

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端末を学内などに提出されている新図書館の完成予想図に向けると、建物の様子が立体で表現される

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新設予定の英語教育学科を紹介する

建設中の新図書館をARで立体表現

ARを活用したコンテンツは、2つ提供されている。

1つは2015年4月の利用開始を目指して建築中の図書館・講義室・研究室を含む「大学教育棟2014」の紹介だ。

新図書館の建築工事が正門付近で大規模に行われているため、通学時に正門を通る児童・生徒・学生は新図書館への関心が高い。そこで、建物の完成イメージをいち早く伝えたいという思いから作られた。

アプリでは、建物の完成イメージの3Dモデル、実写とコンピュータグラフィックとの組み合わせによる外観と内部の360度パノラマ表現、マーカー(任意の図形)を読み込むことで現れる建物の立体画像を見ることができる。

「アプリのAR機能は、教職員や学生から非常に興味深く注目していただいています。また、AR活用の今後の発展性にも関心を持つ人も少なくありません」(滝田氏)

もう1つのARコンテンツは、2015年4月に開設予定(2015年4月設置届出中)の2学科(文学部英語教育学科、工学部エンジニアリングデザイン学科)の紹介だ。

新学科を紹介するパンフレットの表紙や本文の見開きページに、端末をかざしてマーカーを読み込むと関連動画が端末画面に再生される。

学生と協力しながら新コンテンツを開発

今後は、コンテンツを随時更新していくことに加え、「大学教育棟2014」の工事進捗に合わせて、実写映像への切り替えも可能とさせていく考えだ。

また、新しいコンテンツの追加も検討中だ。

「学生と協力しながら参加型のARコンテンツづくりを行うことも想定しています。現在、実現に向けて、学生にヒアリングを行っているところです」(滝田氏)

玉川大学・玉川学園では、2013年4月にHPをリニューアルした。新しいHPでは、全ページでレスポンシブ・ウェブデザイン(1つのファイルでPC、スマートフォン、タブレット端末など多様なデバイス画面に同じコンテンツを表示させる手法)を導入し、ユーザーにとっての「見やすさ」「使いやすさ」を追求している。
滝田氏は「HP、学校案内の冊子、そしてARアプリを併用することで、本学の魅力を一層、楽しく分かりやすく表現していきたい」と話した。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2014年7月7日号掲載

(執筆 蓬田修一)




Posted on 2025-04-07 | Category : コラム, 大学教育 | | Comments Closed

【第6回】東京大学「大規模オンライン講座 グローバルな展開へ」 ICTキャンパス 2014年6月2日




オープンコースウェアとは異なるMOOC

東京大学は、大規模公開オンライン講座(MOOC=Massive Open Online Course 通称ムーク)への取り組みに力を入れている。

MOOCとは、ネット上で無料公開されているオンライン授業のことだ。これまでもオープンコースウェア(OCW)と呼ばれる講義コンテンツの無料公開サービスはあった。MOOCがOCWと異なるのは、掲示板やSNSを活用した講師と受講者間とのやり取りや、履修認定などが行われる点にある。

東京大学は日本で初めてのMOOCの試みとして、2013年9月、米国・コーセラ社が提供するMOOCプラットフォームにおいて実証実験を開始した。

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コーセラの東大ページ

世界150か国以上 8万人以上が登録

開設した講座は、村山斉氏(カブリ数物連携宇宙研究機構機構長・特任教授)による「ビッグバンからダークエネルギーまで」と、藤原帰一氏(大学院法学政治学研究科教授)による「戦争と平和の条件」の2講座。

英語で配信し、2講座あわせて世界150か国以上から8万人以上が登録、約5400人が修了した。

講座は4週間のコースで、受講者は1本約10分の講義ビデオを毎週10本閲覧し、課題に回答する。講義ビデオはスライドの前で講師が解説を加えるスタイルが基本で、必要に応じてCGアニメーションや動画などを加えて構成した。

2014年度は新たに「インタラクティブ・コンピュータグラフィクス」と「ゲーム理論」をテーマにした講座を開設する。

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エデックスの東大ページ

世界初の3大学共同によるMOOC

東京大学では、MOOCの取り組みをさらに発展させるため、今年に入って、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)の出資によるMOOCプラットフォーム「エデックス」と配信協定を締結した。

エデックスは2012年5月にサービスを開始。米国を中心に世界トップクラスの31大学が参加し、140以上の講座を公開。登録者数は約200万人以上にのぼっている。

東大ではエデックスにおいて今年秋から、ハーバード大学およびMITと協力し、近現代の日本に関する連携講座シリーズ「ビジュアライジング・ジャパン」を提供する。

同シリーズでは、ハーバード大学のアンドルー・ゴードン教授、MITのジョン・ダワー教授が講座を担当。東大からは副学長・大学院情報学環吉見俊哉教授が「ビジュアライジング・ポストウォー・トーキョーPart1/2」の2講座を担当し配信する予定だ。

今回の連携にあたり、東大の江川雅子理事は「ハーバード、MITとの連携によって魅力ある教育プログラムを開発することで、東京大学の国際化がさらに進むことを確信しています」とコメントしている。

また、オープンエデュケーションの第一人者であるMITの宮川繁教授(東京大学総合教育研究センター特認教授・オンライン教育統括ディレクターと兼任)は「今回のビジュアライジング・ジャパンは、世界初の3大学共同のMOOCであり、グローバルなコラボレーションの新しいモデルとして注目されています」と述べている。

東大では今後、MOOCでの取り組みを活かし、学内キャンパスの授業におけるオンラインコースの活用を検討していく。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2014年6月2日号掲載

(執筆 蓬田修一)




Posted on 2025-04-06 | Category : コラム, 大学教育 | | Comments Closed