ギター上達の鉄則:自宅での練習は立った姿勢で
[text:蓬田修一]
家でギターを練習するとき、皆さんはどういう姿勢で練習しているだろうか。
私はアコギ、エレキ両方弾くが、かつては床にあぐらをかいた姿勢で練習していた。
私はオヤジバンドを組んで、オリジナルのブルースやロックを楽しんでいる。
いつものように、家であぐらをかいてギターを練習し、スタジオリハに臨んだある日のことだ。
家ではうまく弾けていたのに、スタジオでは思うように弾けない。
理由は、ギターの位置が家で練習していたときと、スタジオでリハやったときとでは違うからだ。
家では、あぐらをかいて太ももの上にギターを乗せた姿勢だ。
一方、スタジオでは立って演奏するので、ギターの位置が家での練習のときよりもかなり低くなる。
左手の手首の角度が家での練習のときとは全然違って、満足に指板を押さえることができなかった。
さらに、立ってギターを持ったときの“体の構え”も落ち着かず、演奏に集中できない。
結局、その日のリハは大変に不満足な演奏であった。
それ以来、家で練習するときも、立ってやることにした。
リハやライブでの演奏のときの姿勢をイメージして練習することにした。
こうすると、家での練習とリハでの演奏とのきの姿勢のギャップがなくなって、リハでもストレスなくギターに集中できた。
皆さんも、家で練習するときは、リハやライブのときと同じ姿勢で練習することをお勧めします。
演奏を聞く人がいると、空間の意味が変わり、演奏レベルが上がる
[text:蓬田修一]
私は友人とユニットを組んでオリジナル曲を演奏して楽しんでいる。先日、スタジオに入ってリハーサルしていたとき、面白い体験をした。
その日は、私たちの演奏を聞いてもらおうと、友人たちを呼んだ。演奏を始めた瞬間、いつもとは自分のテンションがまったく違うことに気がついた。
「どうだ、俺たちの曲はなかなかいいだろう」とか、「いい演奏を聞かせてあげよう」とかいう気持ちがわいてきて、そうした感情がまじりあった、普段味わったことのないテンションだった。
リハーサルスタジオはいつもと同じなのに、空間の「意味」が、演奏を始めた途端にがらりと変わったのも実感した。
ひとりでも聞く人がいるとく非日常の空間へと変化した。
同時に、こうした非日常の経験を重ねることで、自分の音楽のレベルが上がっていくことも演奏中に実感した。
これからも、友人や家族の前で演奏する「非日常の体験」を積んでいきたいと強く思った。
音楽を楽しんでいる人は、ぜひ友人や家族の前で演奏してみることをおすすめしたい。それまでとは違う音楽の世界が広がっていくのが実感できると思う。
テルミンを超えた!? 不思議な楽器 Slime Synthesizer
[text/photo:蓬田修一]
私はシンセサイザーが好きで、高校の頃、バンドを組んで演奏していた。
その後、音楽からは離れてしまったが、平成23年くらいにおやじバンドを作って、それ以来、音楽に接する時間が増えてきた。
かつて演奏していたシンセサイザーへも関心が復活し、今、どんなシンセがあるのか、情報収集や楽器屋での試奏を楽しんでいた。実際にエレピを1台、シンセを2台を購入した。
音楽を再開して以来、シンセのことを改めていろいろ勉強してきたが、こんな不思議はシンセは初めて出会った。
それは「Slime Synthesizer」だ。
東京・六本木の国立新美術館で開催されていた「平成26年度[第18回]文化庁メディア芸術祭」に出品されていた作品だ。
スライムが上から下へ太い糸のようになって落ちていく。刻々と形状が変化するそのスライムに触れることで音が出る。触れる位置や触れ方によって、音は変化する。
下へと落ちてくるスライムは台座にたまっていく。たまっていくスライムの形状も刻々と変化し、一定の形を留めることはない。たまっているスライムに触れても音が出る。
変化する音は楽めるが、音程のコントロールは事実上できないので、これでメロディラインを奏でることはできなさそうだ。しかし、リズムを刻むことは可能だ。
だから、これは新しい「楽器」だ。
しかもこの楽器の新しいところは、「楽器の形状」が刻々と変化するところにあると思う。これまでにもテルミンのように不思議な楽器はあったが、楽器自体の形状は変化しなかった。
新しい楽器に接するのは楽しい。
スタジオのアンプを使いこなしたい人へ マーシャルで歪んだ音を出す
[text/photo:蓬田修一]
スタジオには必ずと言っていいほど設置してあるマーシャルアンプ。
ジミ・ヘンドリックス、ジミー・ペイジ、リッチー・ブラックモアなど伝説のロックギタリストが愛用してきた。
マーシャルアンプの歴史はロックの歴史と言ってもいいだろう。
甘く太く、そしてふくよかに歪んだ音は、ロックやブルースの音楽には欠かせない。
今回は、このマーシャルアンプで音を出すための、最低限の扱い方をお伝えしたい。
(ここではスタジオによく置いてあるJCM2000で説明する)
大型アンプに慣れていないうちは、スタジオに置いてあるマーシャルアンプをどう扱ったらいいのか、困ってしまうこともあるだろう。
心配は無用。いくつかの注意点に気を付ければ、扱い方はとても簡単だ。
まず、最初にすることはスイッチを入れること。
注意するのは、マーシャルアンプには赤と黒の2つのスイッチがあるので、順序を間違えないこと。
始めに赤のPOWERスイッチを入れ、3~4分たったら黒のSTANDBYスイッチを入れる。
スタジオに入ったら、まずは赤のPOWERスイッチを入れ、それからギターやエフェクターなどのセッティングをして、それから黒のSTANDBYスイッチを入れるという順序のくせを付けておくといい。
音色は、BASE、MIDDLE、TREBLE、PRESENCE(プレゼンス)という4つのつまみで決める。
PRESENCEというのは、超高音域を調整するつまみだ。
今回は「まず音を出す」ということが主眼なので、BASE、MIDDLE、TREBLEは12時の位置に、PRESENCEは0にとりあえずしておく。
この4つのつまみで音作りをするわけだが、音作りについては、別の機会に書いてみたい。
ロック、ブルースには欠かせない歪みは、VOLUME(ボリューム)つまみとGAIN(ゲイン)つまみを調整して作る。
JCM2000にはチャンネルA「CLASSIC GAIN」と、チャンネルB「ULTRA GAIN」の2種類が搭載されているが、チャンネルB「ULTRA GAIN」を使って歪みの音を作るといい。
目安として、リードギターの場合は、ボリュームを3くらい、ゲインを6くらいにすると、ロックっぽい歪みの音になる。
バッキングの場合は、もう少しゲインを下げて、歪み具合を少なくする。
気を付けたいのは、ゲインを上げすぎないこと。ハウリングの原因になる。
あとは、必要に応じてリバーブのつまみを回して、残響を与える。
これでロック、ブルースギターの歪みの(とりあえずの)完成だ。
ボリュームとゲインのつまみを調整して、好みの歪み音を作ろう。
ウクレレを買いたい初心者へ 安いウクレレはチューニングが難しい
[text/photo:蓬田修一]
ウクレレを演奏したい人、多いのではないだろうか。
ポロロンと弦を鳴らしたときの、癒されるような響きはとても魅力的だ。
私もウクレレの魅力にとりつかれたひとりで、長い間「弾きたいな~」と思っていたが、昨年(平成二十六年)ウクレレをようやく買った。
ここでは、これからウクレレを買ってみたいと思っている初心者の方に向けて、私の経験をもとに少し書いてみたい。
楽器を買うとき、どれくらいの値段のものを買ったらいいか悩むものだ。
私も悩んだ。ウクレレの知識はゼロで、いくらくらいなのか分からない。
そこでアマゾンを見たら、驚くほど安かった。
安い楽器は使い物にならないのでは、という不安もあったが、レビューを読むと、結構、高評価だったので買ってみた。3,682円のウクレレだ。
色はサンバーストで、想像していたのよりは良かった感じだ。
チューニングしてポロロンと鳴らすと、ウクレレの音がして(当たり前だが)、「お~」という感じでテンションが上がった。
音はこの値段の楽器で、いいの、悪いの言ってみても仕方がない。
でも、ウクレレの雰囲気は十分に味わえる。
外見や音は値段の割にそこそこOKだったが、問題もあった。それはチューニングがしにくいことだ。
理由は、ペグ(弦を巻き付ける部分)がストレートタイプだから。
ストレートペグは、弦を1周巻き付けるのに、ペグを1周回す。つまり1:1の比率だ。
ペグにはもうひとつのタイプ、ギア式がある。ギターに付いているタイプのペグだ。
こちらは弦を1周巻き付けるのに、14周回す。つまり1:14の比率だ。
ストレートペグは1:1の比率なので、例えば2ミリ動かしたら、弦も2ミリ分音程が変わる。
一方、ギアペグは比率が1:14なので、2ミリ動かしても、音程はわずかして変化しない。ストレートペグよりも正確なチューニングがしやすいのだ。
実際、私が買ったウクレレでも、ペグを少し動かしただけで、音程が大きく変わるため、チューニング作業はとても難しかった。しかも、一旦チューニングを合わせても、弾いているうちに狂ってきやすい。
結局、正確にチューニングすることはあきらめた。何となく音が合っていればOKとした。
しかし、たとえチューニングは正確でなくても、ウクレレを弾く楽しさは十分に堪能できる。
これからウクレレを買おうとしてる初心者の方へ。
安いウクレレでも予想以上に雰囲気は味わえるので、買ってみてもいいと思う。
ただし、チューニングは事実上できないので、ライブでの演奏は厳しい。
とは言っても、仲間や家族の前で弾くといった、プライベートな場での演奏だったら問題ないことが多いだろう。
ウクレレに興味があるのだったら、1回安いものを買ってみて、本格的に弾きたくなったら、もっと高いモデルを選んだら良いと思う。
参考になれば幸いです。
※ストレートタイプのペグはよくない、みたいな書き方になってしまったかもしれないが、高い価格帯のウクレレでもストレートタイプのモデルはある。
安いウクレレのストレートタイプのペグはチューニングが難しい、ということなので、念のため。
素晴らしい! little Bitts Synth Kit モジュールを組み合わせてオリジナルシンセ
[text/photo:蓬田修一]
マグネットでモジュールを自由自在に組み合わせられるのが素晴らしい。「平成26年度[第18回]文化庁メディア芸術祭」(※1)で見た「little Bitts Synth Kit」(※2)という作品のことだ。
オシレーター、シーケンサー、キーボード、スピーカーなどのシンセモジュールをマグネットでつなげていくだけで、簡単にオリジナルシンセが作れる。アメリカのリトルビッツ社と日本の楽器メーカー・コルグが共同開発した。
シンセサイザーをまったくさわったことがない人は、扱いにとまどうかもしれないが、シンセを少しでもさわったことがある人ならば十分に楽しめる。
さらに、「オシレーター」→「フィルター」→「アンプ」というシンセが音を出す基本的な構造を知っていれば、1日中いじっていても決して飽きずに遊べてしまうことは請け合いだ。
各モジュールはマグネットで、簡単に連結したりはずしたりできるようになっている。使用するモジュールやモジュールを連結する順序を入れ替えるだけで、自分だけのオリジナルシンセができあがる。
超小型ながら、オシレーターやフィルターといった各モジュールは本物なので、音色はシンセそのもの。アナログシンセをいじる醍醐味も味わうことができるのが嬉しかった。
※1:2015年(平成27年)2月4日(水)から2月15日(日)までの会期で、東京・六本木の国立新美術館ほかを会場に開催
※2:この作品は「平成26年度[第18回]文化庁メディア芸術祭」エンターテイメント部門審査委員会推薦作品
音楽好きも必見!文化庁メディア芸術祭受賞作品展
[text/photo:蓬田修一]
2015年(平成27年)2月4日(水)から2月15日(日)までの会期で、東京・六本木の国立新美術館ほかで「平成26年度[第18回]文化庁メディア芸術祭」が開催中だ。
このイベントは、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において、国内外から作品を公募。今回は世界71カ国・地域からの3853作品の応募があった。会場には受賞した全作品と功労賞受賞者の功績などが紹介されている。
私はメディアアートに関心があるので、新しい作品に出会えるこのイベントを毎年楽しみにしている。
アートとエンターテインメントの部門を中心に見たが、私自身、音楽全般と楽器演奏が趣味なので、サウンドや楽器に関連した作品がたくさん紹介されていたことが嬉しかった。
私が見たサウンドや楽器に関連した作品を紹介してみよう。
アート部門優秀賞「センシングストリームズ-不可視、不可聴」
人間が知覚できない電磁波を感知(センシング)して、可視化・可聴化するインスタレーション作品だ。この投稿の上部にある写真だ。
アート部門優秀賞「《patrinia yellow》for Clarinet and Computer」
植物の女郎花(おみなえし patrinia yellow)の一年周期を表現した、クラリネットとコンピュータによる楽曲とそのパフォーマンス。
エンターテイメント部門新人賞「Slime Synthesizer」
上から下へスライムが滝のように落ち、台座にはスライムがたまっていく。スライムの形状は刻々と変化し、一定の形を留めることはない。この不定形のスライムに触れることで音を出すシンセサイザーだ。触れる位置や触れ方で音が変化する。
エンターテイメント部門審査委員会推薦作品「little Bitts Synth Kit」
アメリカのリトルビッツ社と日本の楽器メーカー・コルグが共同開発した、オリジナルのシンセサイザーが作れるキット。オシレーターやシーケンサーなどの電子モジュールをマグネットでつなげていくだけで、簡単にオリジナルシンセが作れる。
音楽好き・楽器好きにとっても、たいへんに楽しい刺激を受けたイベントであった。
楽器フェア2014内に「YMO楽器展2014」 LAツアーのライブセットを完全再現
[text/photo:蓬田修一]
国内最大の楽器イベント「楽器フェア」が2014年11月21日から23日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された。その会場内でYMOファンやシンセサイザーファンの熱い注目を集めたコーナーが「YMO楽器展2014」だ。
これは、YMOワールドツアー35周年を記念して企画されたもの。1979年のロサンジェルスでのライブセットが再現されており、しかも音が出る状態で展示されていた。
展示は実際に使用した機材を含めて、当時の楽器で完全再現。これを見るだけでも眼福だったのに、これらの機材を使って、松武秀樹、小室哲哉、浅倉大介、氏家克典という一流ミュージシャンによるライブ “Behind The Mask”が突然行われ、会場は沸き返った。
アナログシンセの太い音は想像をはるかに越えていた。今のクラブミュージックの音に非常に近いと感じた。