【新春の和歌】あたらしき 年の始めに 古今和歌集
おほなほひの歌
あたらしき 年の始めに かくしこそ
千年(ちとせ)をかねて たのしきをへめ
古今和歌集 巻第二十 大歌所御歌(おほうたどころのおほんうた)
[現代語訳]
おほなほひの歌
新しい年の初め このように
千年もの先も 毎年楽しきことを存分になしつくそう
こんにちは 蓬田です!
この歌は、古今集の最後の巻「大歌所御歌(おほうたどころのおほんうた)」の巻頭に収められています。
「大歌所(おおうたどころ)」とは、儀式や神事で演奏する音楽を司り、楽師の養成をした役所です。
詞書にある「おほなほひ」とは、新嘗祭(五穀豊穣を感謝し、神とともに新穀をいただく神事)の際に行われる宴です。
「大歌所御歌(おほうたどころのおほんうた)」の巻に載せられているところからすると、歌の本来の意味は、「あたらしき年」というものの、お正月、新春という意味ではなく、新穀が収穫され、次の年も五穀豊穣を願うということのように考えられますが、どなたかご存じの方、ご教示いただけたら有難いです!
最後の句「たのしきをへめ」ですが、「へめ」が「つめ」になっていることもあります。
「へめ」だとやりつくそう、「つめ」だと積み重ねよう、という意味になります。
和歌はいろいろな人によって書き写されて伝わってきたのです、誰かが写し間違えると、そのあとはずっと間違った表現が伝わっていくことになります。
和歌が本によって違うことがあるのはそういうわけです。この歌も、誰かがどこかで書き間違ったようです。
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