新春の漢詩 「歳初(さいしょ)皇甫侍御(こうほじぎょ)が至るを喜ぶ」 中唐・厳維
[text:蓬田修一]
[漢文]
歳初喜皇甫侍御至 中唐 厳維
湖上新正逢故人
情深応不笑家貧
明朝別後門還掩
脩竹千竿一老身
[書き下し]
歳初(さいしょ)皇甫侍御(こうほじぎょ)が至るを喜ぶ 中唐 厳維(げんい)
湖上(こじょう)新正(しんせい)故人に逢(あ)う
情(じょう)深くして応(まさ)に家の貧(ひん)なるを笑わざるべし
明朝(みょうちょう)別後(べつご)門(もん)還(ま)た掩(おお)わば
脩竹(しゅうちく)千竿(せんかん)一老身(いちろうしん)
[現代語訳]
年の初め、皇甫侍御(こうほじぎょ)の訪れを喜ぶ 中唐 厳維(げんい)
湖畔に 新たな年が訪れ 懐かしい友と会う
思いやりが深く 我が家の貧しさを笑ったりはしない
明朝 別れて後に 再び門を閉ざせば
伸びた竹が千本と 老いた身ひとつ残るだけ
新年に、旧友の「皇甫侍御(こうほじぎょ)」が貧しい暮らしをしている我が家を訪れる。作者の厳維(げんい)は至徳二年(至徳は粛宗皇帝の即位とともに改元した元号)の進士(科挙の合格者)。すでに四十歳を超えていたという。厳維が会った「皇甫侍御(こうほじぎょ)」とは皇甫曾(そう)のこと。侍御史となっていたので、皇甫侍御と呼ばれた。
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