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冬の漢詩 「省中」  宋 王安石



[訳:蓬田修一]

[漢文]

省中  宋 王安石

大梁春雪満城泥
一馬常瞻落日帰
身世自知還自笑
悠悠三十九年非

[書き下し]

省中(しょうちゅう)  宋 王安石(おうあんせき)

大梁(たいりょう)の春雪 満城の泥
一馬 常に落日を瞻(み)て帰る
身世 自(みずか)ら知り 還(ま)た自ら(みずか)笑う
悠悠(ゆうゆう)三十九年の非(ひ)

[現代語訳]

役所  宋 王安石(おうあんせき)

汴京(べんけい)の春の残雪 溶け始めて町中がぬかるむ
一頭の馬にまたがる私 いつも落日を見ながら役所から家へ帰る
これまでの人生 それがどんなものか自分でも分かっている そして自分で自分を笑うのである
あてどもないこれまでの三十九年 ダメな人生だった
   

[ひとこと解説]

題名の省中(しょうちゅう)とは役所のこと。
大梁(たいりょう)は宋の都・汴京(べんけい)の古名。戦国時代の魏(ぎ)のときの呼び名。

王安石、失意のころの詩。この後、宰相となり「新法」を実施。地主や豪商などの利益と衝突するため、猛烈な反撃を受ける。文章家としての有名で、唐宋八大家のひとり。


Posted on 2015-01-19 | Category : コラム, 漢文のこころ | | Comments Closed
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