春の漢詩 「京中正月七日立春」 梁 羅隠
[訳:蓬田修一]
[漢文]
京中正月七日立春 梁 羅隠
一二三四五六七
万木生芽是今日
遠天帰雁払雲飛
近水遊魚逬氷出
[書き下し]
京中(けいちゅう)正月(しょうがつ)七日(なぬか)立春 梁(りょう) 羅隠(らいん)
一二三四五六七
万木(ばんぼく)芽を生ずるは 是(これ)今日(こんにち)
遠天(えんてん)の帰雁(きがん) 雲を払(はら)って飛び
近水(きんすい)の遊魚(ゆうぎょ) 氷(こおり)を逬(とば)して出(い)ず
[現代語訳]
京中(けいちゅう)正月(しょうがつ)七日(なのか)立春 梁(りょう) 羅隠(らいん)
正月を迎え、一日、ふつか、みっか、よっか、いつか、むいか、なのか きょうは待ちに待った、なのかの日だ
この日は立春 万木(ばんぼく)は芽吹く
遠い空には北へ帰る雁(かり)は 雲をうち払うように飛び去り
近くの川に泳ぐ魚は ゆるんだ氷を突き破って泳ぐ
[ひとこと解説]
題名の「京中(けいちゅう)正月(しょうがつ)七日(なぬか)立春」は、咸通(かんつう)九(八六八)年の正月七日のこと。この日がちょうど立春にあたった。
数字を並べただけの起句が印象的な作品。数字が順番に並んでいるだけだが、待ちに待った立春の到来の気分がよく出ている。
作者の羅隠(らいん)は科挙の試験に落第し続け、七十歳近くになってようやく合格した。
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