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新春の漢詩 「元日」 江戸 頼山陽


[text:蓬田修一]

漢文

元日  江戸 頼山陽

故紙堆中歳過強
猶余筆削志遍長
東窓掃几迎初日
読起春王正月章

書き下し

元日(がんじつ)  江戸 頼山陽(らいさんよう)

故紙(こし)堆中(たいちゅう)歳(とし)強(きょう)を過(す)ぎ
猶(な)お筆削(ひっさく)を余(あま)して志(こころざし)偏(ひと)えに長し
東窓(とうそう)几(き)を掃(はら)って初日(しょじつ)を迎え
読み起こす春(はる)王(おう)の正月(しょうがつ)の章(しょう)

現代語訳

元日(がんじつ)  江戸 頼山陽(らいさんよう)

部屋に積まれた反故(ほご)の中 歳は四十を過ぎた
今なお原稿に手を入れ 満足なものはできない 志は遥か遠くにある
東の窓辺にある机を掃除し 元日のご来光を迎える
新年の「読み初め」は『春秋』の「春 王の正月の章」

作者の頼山陽(らいさんよう)は広島の人。『日本外史』を著した。この詩は文政4年(1821年)に書かれたもの。山陽42歳であった。

起句の「強」は四十歳のこと。『礼記』によると四十を強という。結句「春王正月章」は『春秋』の巻頭部分「元年春、王の正月」を指す。ちなみに、ここの「元年」とは、魯の隠公元年(西暦紀元前772年)のこと。


 

Posted on 2014-12-23 | Category : コラム, 漢文のこころ | | Comments Closed
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