【春の歌】いかなれば 源季遠(すゑとほ)
贈左大臣(ぞうさだいじん)の家に歌合し侍りけるによめる
いかなれば
氷は解くる
春風に
結ぼゝるらむ
青柳の糸
卿匡源季遠(すゑとほ)
わたしはこの歌にユーモアを感じた。
歌の意味は、こんな感じだと思う。
「思う」と書いたのは、実は意味がはっきりとはつかめないのだ。
900年も前の人が詠んだ歌であるし、しかも詠んだ人は都にいる貴族であるから、わたくしとは時代も身分も違うし、当然考え方やセンスだって違う。
だから、歌の意味や詠んだ人の気持ちが100%分かるわけではない。
その一方で、時代は違えど、今使っている日本語と同じ日本語を、昔の人とはいえ日本人が詠んでいるのだから、いまのわたくしに分からないはずはない、という気持ちで古い歌を鑑賞している。
どうしてなのだろう
春風は
氷を解かすというのに
青柳の糸(枝)を
結んでしまうのは(芽が出ないのは)
歌の意味がもし違っていたら教えてください。
この歌のようなセンスを発揮する人って、わたくしの回りにもいる。
みんなと同じものを見ても、ちょっと違う角度からの意見を発言して、それが嫌味ではなくて、ユーモア感も漂わせることのできる愛嬌のある人。
歌を詠んだ源季遠(すゑとほ)もそんな人柄であったのだと想像する。
「糸」というは、この時代、柳の枝を糸に例えていた。
「春風が氷を解かす」という言い回しは、儒教の経典ともいうべき書物のひとつ「礼記」からの引用だ。
礼記にこうある。
孟春の月、東風氷を解く
実際に風が吹いて氷が解けるわけではないが、季節が暖かくなってきたこと、春が近づいたよろこびが感じられて、なかなかによい文学的表現である。
この歌は「詞花和歌集」に収められている。
「詞花和歌集」は仁平元年(1151)、崇徳院の院宣により編纂された。
崇徳院は保元の乱に敗れ、讃岐に遷りになり、かの地で崩御された。
歌集の撰者は藤原顕輔である。彼は、950年ごろから詞花集編纂までのおよそ200年間から和歌を選んで歌集を編んだ。
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