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【愛国の歌】大和には 舒明天皇


大和(やまと)には
群山(むらやま)あれど
とりよろふ
天(あま)の香具山(かぐやま)
登り立ち
国見(くにみ)をすれば
国原(くにはら)は
煙(けぶり)立ち立つ
海原は
鷗(かまめ)立ち立つ
うまし国そ
蜻蛉島(あきづしま)
大和の国は

舒明天皇

「とりよろふ」はいろいろな意味に解釈されているが、ここでは、とりわけ立派な姿をしたの意味にとっておく。

舒明天皇は香具山に登り、国見(国の姿をご覧になること)をされた。

国見は国の姿をご覧になることでもあるが、同時に、国が豊かにならんことをお祈りになる儀式でもある。

香具山からご覧になると、広々とした平野には、カマドの煙があちこちに立っている。

広がる水面には、かもめが飛び交っている。

素晴らしい国である、この大和の国は。

いま香具山から眺めると、広がる水面が見えるのだろうか。

わたしは香具山に登ったことがないので分からない。

当時は水面が広がっていたのかもしれない。

この歌は一見すると、天皇が眼前の風景を詠んだ歌に思えるがそうではない。

国見は天皇の儀式であり、祈りである。

実際にカマドの煙も立っていて、水面が広がっていたのかもしれないが、民が幸せになり、国が豊かになることを神にお祈りされたのである。

舒明天皇が登られた香具山は、天上界にいる神ともっとも近い場所なのだと思う。

舒明天皇は第三十四代天皇でいらっしゃる。西暦でいうと、7世紀前半である。

21世紀になっても、天皇陛下は民の幸せを、お言葉で述べられたり、歌で詠まれたりしている。

1400年を経ても、天皇のお心は変わらない。




Posted on 2024-03-05 | Category : コラム, 日本の文化 日本のこころ | | Comments Closed
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