【夏の和歌】石麻呂(いしまろ)に 我(われ)もの申(もう)す 大伴家持(おおとものやかもち)
こんにちは
宮川です。
今回も、夏の和歌を鑑賞して参りましょう!
石麻呂(いしまろ)に 我(われ)もの申(もう)す
夏痩(なつや)せに よしというものぞ 鰻(むなぎ)とり食(め)せ
作者は「万葉集」の編纂者として名高い歌人の大伴家持(おおとものやかもち)です。
この作品は「万葉集」第16巻に収められています。
意味は
石麻呂に言います
夏痩せに効くそうだから、うなぎをお食べなさい
平賀源内の名キャッチコピー「本日土用丑の日」を思い起こさせます。
やせ型の友だちを心配して、精の付くものを食べるよう薦めている、友だち思いなんだな。
と思いきや、実はこの和歌、歌の前に嗤笑歌(ししょうか、笑いの歌)と書かれていて、二首並んでいます。もう一首はこんな和歌です。
痩(や)す痩(や)すも 生(い)けらばあらむを
はたやはた 鰻(むなぎ)をとると 川(かわ)に流(なが)るな
痩せていても、生きていればいい
うなぎを獲ろうとして川に流されないでください
やせぎすの石麻呂をからかっているのですね。
和歌には食べ物は詠まれません。
食べる行為は雅ではないとされていますから。
ところで、私は写真撮影が趣味です。
食べることを題材にすることについて昔、「おいしいものを食べるときは、みんないい表情をするから、シャッターチャンスじゃないか」と思っていました。
でも、当時通っていた写真教室の先生から、「食べるシーンは作品になりにくいよ」とアドバイスを受けました。
まあ、それは昔の話。
今は、SNSの投稿に食べ物があふれているご時世ですね。
食べ物の歌も、たくさんあるのかもしれません。
いかがでしたしょうか?
これからも素敵な歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!