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夏の和歌 夏山(なつやま)に 恋(こい)しき人(ひと)や 入(い)りにけむ 紀秋岑(きのあきみね)


こんにちは
宮川です。

今回も、夏の和歌を鑑賞して参りましょう!

夏山(なつやま)に 恋(こい)しき人(ひと)や 入(い)りにけむ
声(こえ)ふりたてて 鳴(なく)く 郭公(ほととぎす)

作者は平安時代前期の歌人、紀秋岑(きのあきみね)です。

この和歌は「古今和歌集」に収められています。

意味は、

夏の山に恋しい人が入ってしまったのだろうか
ほととぎすが声をふりしぼって鳴いている

「けむ」は「~たのだろう」という意味です(過去の行為を推量すること)。

「ふりたてて」は「声を張り上げて」という意味です。

ほととぎすがよく響く声でしきりに鳴くので、山に入ってしまった恋人を恋しがってでもいるのかと思いをめぐらせたのでしょうね。

ほととぎすの漢字表記は、今回の和歌にある「郭公」のほかにも、「時鳥」「不如帰」など、二十を超す異名が存在します。

古くから和歌に詠まれている夏の風物詩の代表です。

「万葉集」には、なんと「鶯」の3倍、153首の歌に「ほととぎす」が詠まれているそうです。

ほととぎすの人気ぶりがうかがえますね。

いかがでしたしょうか?

これからも素敵な歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!




Posted on 2020-06-21 | Category : コラム, 和歌とともに | | Comments Closed
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