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夏の和歌 ほととぎす 鳴(な)きつる方(かた)を ながむれば 


こんにちは
宮川です。

今回も、夏の和歌を鑑賞して参りましょう!

ほととぎす 鳴(な)きつる方(かた)を ながむれば 
ただ有明(ありあけ)の 月(つき)ぞ残(のこ)れる

作者は平安時代後期から鎌倉時代初期にかけての公卿・歌人の徳大寺実定(とくだいじさねさだ)です。

百人一首では、後徳大寺左大臣として知られています。

この和歌は「千載和歌集」に収められています。

意味は、

ほととぎすの鳴いた方向を見渡しすと
ただ明け方の明るい月だけが残っている

です。

「鳴きつる」は、ここでは「鳴いた方角」という意味です。

「有明の月」とは、夜が明ける頃になっても空に残って輝いている月のことです。

ほととぎすは和歌では、初夏を表す人気のモチーフです。

ほととぎすの鳴き声に気付いて探してみたけれど、姿は見えない。

かわりに、夜明けの空にぽっかり浮かんでいた月と目が合った、みたいな感じでしょうか。

ほととぎすは夏の訪れを知らせる鳥であり、平安時代には初音(はつね=季節に初めて鳴く声)を聴くことがブームでした。

初音で言えば、私はうぐいすの鳴き声が好きで、春になると、いまかいまかと待ち遠しく思っていたものです。

鳴き声がしないと「ああ、もう来なくなったしまったか」と悲しくなり、鳴き声を聞いて「今年も来てくれた」と一喜一憂していました。

平安の人もきっと、ほととぎすに対して、そんな思いを抱いていたのかもしれませんね。

いかがでしたしょうか?

これからも素敵な歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!




Posted on 2020-06-22 | Category : コラム, 和歌とともに | | Comments Closed
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