夏の和歌 小高(こだか)くは かつて木(き)植(う)ゑじ 万葉集
こにんちは
宮川です。
今回は、夏の歌を鑑賞して参りましょう!
小高(こだか)くは かつて木(き)植(う)ゑじ
ほととぎす 来(こ)鳴(な)きとよめて 恋(こひ)増(ま)さらしむ
万葉集 巻十
作者は不明です。
歌の意味は、
こんもりとは 決して木を植えないようにしよう
ほととぎすが来て、しきりに鳴いて 恋をつのらせるから
意味がよく分からない言葉を確認しておきましょう。
かつて
打ち消しの表現をともなって、「決して」という意味です。
とよめて
「とよむ」は、響き渡るの意味。
増(ま)さらしむ
文末の「しむ」は使役の意味。直訳すれば「増さらせる」。
ほととぎすは、夏の季節の到来を告げる、代表的な渡り鳥です。
渡ってすぐは、夜昼かまわず鳴くという特徴があります。よく響く鳴き声です。
鳴き声はYoutuneでも聞けると思います。どんな鳴き声か忘れてしまった人は、ぜひ聞いてみてください。
わたしも、この歌をご紹介するにあたって、改めてYoutuneで聞いてみました。
高原か近所の雑木林で聞いたことのある鳴き声でした。
透明感がある声です。
明るい緑の葉や、澄んださわやかな空気が思い起こされます。
自分の家の庭で、昼夜問わず鳴かれたら、気になるかもしれませんね。
歌にあるように、ほととぎすの鳴き声を聞いて恋しい気持ちが募ると胸が苦しくなるから、ほととぎすが来ないように木は植えないで、心の平静を保つのもうなずけますね。
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