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夏の和歌 曇(くも)りなき 青海(あおみ)の原(はら)を とぶ鳥(とり)の 曾禰好忠(そねのよしただ)


こんにちは
宮川です。

今回も、夏の和歌を鑑賞して参りましょう!

曇(くも)りなき 青海(あおみ)の原(はら)を とぶ鳥(とり)の
かげさへしるく てれる夏(なつ)かな

作者は、平安時代中期の曾禰好忠(そねのよしただ)です。

性格が悪く、自尊心も強かったため、周囲の貴族らからはよく思われていなかったようです。

実際、円融上皇の和歌の催しに、招待されていないのに、強引に催しの席に着き、追い出されたという逸話が伝わっています。

でも、和歌は評価されており、勅撰集に合計九十二首、採られています。

この作品は、自選集とみられる「好忠集(よしただしゅう)」に収められています。

意味は

曇りのない青い海原を飛ぶ鳥の
姿さえはっきりと照らす夏であることよ

「しるく」の意味は、はっきりと。

「てれる」は、照らし出すという意味です。

夏のスカーンと晴れた広い青い海。

海面は静かで、鳥の影さえ映って見えたのですね。

大海原と小さな鳥の対比。ダイナミックです。

平安時代の歌とは思えない、すごく現代の感じがします!

夏の海とくれば白い波、サーファー、パラソル、水着の男女など、海水浴場が浮かんできます。

この和歌を読んで、サスペンスドラマに出てくるような海の見える旅館に泊まってみたくなりました。

これからも素敵な歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!




Posted on 2020-07-13 | Category : コラム, 和歌とともに | | Comments Closed
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