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夏の和歌 あかねさす 紫野行(むらさきのい)き 標野行(しめのい)き 額田王(ぬかたのおおきみ)


こんにちは
宮川です。

今回も、夏の和歌を鑑賞して参りましょう!

あかねさす 紫野行(むらさきのい)き 標野行(しめのい)き 
野守(のもり)は見(み)ずや 君(きみ)が袖振(そでふ)る

作者は、飛鳥時代の皇族(天武天皇、天智天皇の側室)、額田王(ぬかたのおおきみ)です。

この作品は万葉集に収められています。

意味は

紫草の栽培されている野に行って、標野へも行きながら
野の番人が見はしないでしょうか、あなたが袖を私に振っているのを

「あかねさす」は紫にかかる枕詞です。

「紫野行き 標野行き」のところが韻になっていてリズミカルで、明るい感じがします。

「標野」とは、皇室や貴人が持っている野のことです。

この歌の詞書には、「大海人皇子(天武天皇)が蒲生野で狩りをしたときに、額田王が詠んだ歌」と記されています。

この歌は教科書にも採られていて、有名な歌です。

でも、詳しいことは分かっていません。

研究者の間でもいろいろな説があります。

額田王は始め天武天皇と結婚(側室)しましたが、のち天智天皇と結婚(側室)しました。

天武天皇と天智天皇は兄弟です。

当時も、兄弟と同時に結婚することは許されていないようでしたので、天武天皇と別れて、天智天皇と結婚したのでしょう。

そうした状況で詠まれた歌です。

別れた妻に対して、手を振っている元夫。

手を振られた元妻のほう、別れたんだから、そんな親しみ持たれてもと、とまどうんじゃないかしら?

この人間関係については非常に興味あるところです。

いかがでしたしょうか?

これからも素敵な歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!




Posted on 2020-07-09 | Category : コラム, 和歌とともに | | Comments Closed
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