夏山(なつやま)の 影(かげ)をしげみや 紀貫之(きのつらゆき)
こんにちは
宮川です。
今回も、夏の和歌を鑑賞して参りましょう!
夏山(なつやま)の 影(かげ)をしげみや
玉(たま)ほこの 道行(みちゆ)き人(ひと)も 立(た)ちどまるらむ
作者は、平安時代前期から中期にかけての貴族で歌人の紀貫之(きのつらゆき)です。
「玉鉾の」は「道」にかかる枕詞です。
この作品は「拾遺集」に収められています。
意味は
夏の山の木陰が生い茂っている
道行く人も立ち止まっているだろう
以前、このブログで「清水流るる柳陰」が登場しましたが、この歌は「夏の山」の木陰。
生い茂る山の木は夏の強い日差しをさえぎり、柳の木陰と違って、濃い日陰をつくることでしょう。
道行く人にとっては、ここも絶好の休憩ポイントですね。
この歌は、藤原定国という人物の四十歳のお祝い行事のために、貫之が詠んだ歌だそうです。
生命力を感じさせる夏山の大きな木、その木が作り出す陰を求めて集まる人々。
藤原定国さんはきっと、活力があって、人望も厚い方だったのでしょう。
「夏山の陰」には、そんな藤原定国さんへの繁栄を祝う気持ちが込められているのだなと思いました。
いかがでしたしょうか?
これからも素敵な歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!
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