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夏の和歌 彦星(ひこぼし)に 恋(こい)はまさりぬ


こんにちは
宮川です。

今回も、夏の和歌を鑑賞して参りましょう!

彦星(ひこぼし)に 恋(こい)はまさりぬ
天(あま)の河(かわ) へだつる関(せき)を 今(いま)はやめてよ

この和歌は、『伊勢物語』第九十五段「彦星」に収録されている、有名な夏の和歌です。

主人公の男が、愛しい女性に向けて詠みました。

意味は、

彦星の恋心よりも、あなたへの思いは勝っています
二人の間を隔てている、天の川の関のような簾や机帳を、取り除いてください

「伊勢物語」は、現存する日本の歌物語の中で最古の作品です。

作者も成立年代も不詳でありながら、「竹取物語」と並ぶ、創成期の仮名文学の代表作です。

多くが「むかし男ありけり」の冒頭句をもつことでも知られていますね。

在原業平を思わせる男が主人公で、主人公の恋愛を中心とする一代記的物語です。

この彦星の話は、二條の后に仕えている「男」が、同じ宮中で仕えている女に好意を抱いてアプローチするという内容です。

男は女になかなか会うことができず、でも、なんとか仕切り越しに会うことが叶いました。

簾や机帳をはさんでの対面時に、詠んだのがこの歌です。

七夕の織姫と彦星のラブストーリーを引き合いに出して、

彦星の恋心よりも私のあなたへの思いのほうが勝っています。

だから、天の川のように二人を隔てている簾や机帳を取り除いてください。

と、自分の気持ちをアピールしたのです。

おかげで男の気持ちが女に伝わって、見事、関を取り払い、女と会うことができました

昔に作られた物語ではありますが、「伊勢物語」は今なお古さがなくて、不思議なくらいです。

また、「伊勢物語」から季節の和歌を紹介できればと思います。

いかがでしたしょうか?

これからも素敵な歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!




Posted on 2020-06-19 | Category : コラム, 和歌とともに | | Comments Closed
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