夏の和歌 葛(くず)の花(はな) 踏(ふ)みしだかれて 色(いろ)あたらし
こんにちは
宮川です。
今回も、夏の和歌を鑑賞して参りましょう!
葛(くず)の花(はな) 踏(ふ)みしだかれて 色(いろ)あたらし
この山道(やまみち)を 行(ゆ)きし人(ひと)あり
釈迢空
この和歌は、歌集「海やまのあひだ」の中に収録されています。
作者の釈迢空ですが、誰かと思ったら、日本の民俗学者として有名な(私も知っているのですから)折口信夫(明治20年~昭和28年)でした。
彼は、詩人・歌人でもあったのですね。
歌の意味は、
行き逢う人もない山道に、葛の花が踏みにじられて、あざやかな赤紫の色を土ににじませている
この山道を、自分より先に通った人がいるのだなあ
「葛」は、マメ科クズ属のつる性の多年草で、葛粉や漢方薬の原料です。秋の七草のひとつですね。
花は8~9月に、濃紺紫色の蝶形の花を房状に密集して咲かせます。甘い芳香がするそうです。
とても繁殖力が強く、成長も早いそうです。
絡みつく相手を求めながらつるを長く伸ばして、広い範囲で根を下ろします。
除草剤にも強くて、根絶は困難らしいです。
葛はか弱い植物だと思っていました。意外です。
この歌の舞台についてですが、どこかの島の山のようです。
葛がはびこるような草木がうっそうと繁る、どこかの島の山。
あってないような山道をひとり歩いていたら、あざやかな赤紫の葛の花が、踏みにじられていて、その鮮烈な色が目に飛び込んできたのでしょう。
たったひとりと思っていたところ、ああ、この山道を、自分より先に通った人があるのだ、となんだかうれしくなってしまったのはないでしょうか。
いかがでしたしょうか?
これからも素敵な和歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!
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