夏の和歌 蓮葉(はちすは)の にごりの染(し)まぬ 心もて
こんにちは
宮川です。
今回も、夏の和歌を鑑賞して参りましょう!
蓮葉(はちすは)の にごりの染(し)まぬ 心もて
なにかは露を 玉と欺く
この和歌は古今和歌集に収められています。
作者は、平安時代前期の僧・歌人の遍昭(へんじょう)です。
六歌仙および三十六歌仙のひとりで、桓武天皇の孫にあたり、素性の父親でもあります。
歌の意味は、
蓮の葉は、濁った水の中に生えていなが、濁りに染まらない清らかな心を持っている。
なのに、葉に置く露を玉に見せかけて、人の目を欺くのはどうしてだろうか。
です。
この歌は『法華経』の中のある経文を典拠としています。
それは、従地涌出品の「世間の法に染まざること、蓮華の水に在るが如し」です。
「はちす」は「はす」の古い呼び方です。
確かに、はすの花托の形は蜂の巣のようです。
「なに」は副詞で、「どうして」という意味です。
「かは」とくっついて「どうして(なぜ)…か」という意味になります。
蓮の花は、とくに仏教では、泥水の中から生じ、美しい花を咲かせる姿が、仏の智慧や慈悲の象徴とされています。
ほかにも、蓮は泥の中から、綺麗な花を咲かせる。
人間もドロドロとした世間の中からでも、美しい花を咲かすことができるという考えもあります。
蓮の葉の置かれている露を、玉に見立てるのはよくあることです。
でもこの歌は、清らかな心を持つはずの蓮が、人をだますのはどうしてか?と、蓮の矛盾を歌っています。
そこが遍昭ならではの目の付け所ですね。
上野公園の不忍池には、蓮がたくさん生えています。
大きな蓮の葉に載っている水滴を見たことがありますが、光を浴びて本当に玉のようでした。
はすは7~8月に花が咲きます。
咲くとき「ぽん」と音がする、というのは本当なんでしょうか?
早朝に咲くというので、近所に蓮がないので真偽は分からず。いつか確認したいと思っています。
いかがでしたしょうか?
これからも素敵な和歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!