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夏の和歌 向日葵(ひまわり)は 金(きん)の油(あぶら)を 身(み)にあびて


こにんちは
宮川です。

今回は、夏の歌の中から、印象派の絵画のような歌を鑑賞して参りましょう!

向日葵(ひまわり)は 金(きん)の油(あぶら)を 身(み)にあびて
ゆらりと高(たか)し 日(ひ)のちひささよ

作者は明治から昭和にかけて活躍した歌人、前田夕暮です。

若山牧水とともに自然主義文学を代表する歌人です。

「夕暮・牧水時代」といわれる時代を築いた後、ゴッホやゴーギャンなど印象派画家の影響を受けた外光派風の作風を経て、昭和初期には口語自由律短歌を牽引し、後の口語短歌の基礎を固めました

この歌は、歌集『生くる日に』収められています。

教科書にも採用実績があるので、知っている方も多いかもしれません。

歌の意味は、

ひまわりの花は、金色の油のようなギラギラな真夏の光を浴びて、
ゆらりと高く咲いている。その大きさから見ると、太陽が小さく見えることだ

というようなものです。

「金の油」は比喩的表現で、日光のことです。

この歌は四句目「ゆらりと高し」のところで一旦文章の意味が切れますので、「四句切れ」の歌となります。

「区切れ」というのは修辞法の一つで、一首の中での大きな意味上の切れ目のことです。

作者はゴッホを愛してやまない歌人として知られており、この歌は、ゴッホの「ひまわり」に強く触発されて詠んだと言われています。

強い夏の日差しのギラギラ感、ゆらりという表現で大きさを誇示するひまわりの存在感

空の太陽が小さく見えるという遠近的表現など、ゴッホの「ひまわり」が思い浮かぶような作品です。

いかがでしたしょうか?

これからも素敵な和歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!




Posted on 2020-06-12 | Category : コラム, 和歌とともに | | Comments Closed
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