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【展覧会レビュー】現代美術の世界的アーティスト 「ピーター・ドイグ展」



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現代アート界を代表するアーティスト
ピーター・ドイグ。皆さんはこのアーティストの名前を聞いたことがあるでしょうか? 

1959年(昭和34年)、スコットランドのエジンバラ生まれ。ロマンティックかつミステリアスな風景を描く画家として知られています。

1994年に、主にイギリスで活躍する現代アーティストに贈られる「ターナー賞」にノミネート。以来、テート(ロンドン)、パリ市立近代美術館、スコットランド国立美術館(エジンバラ)、分離派会館(ウィーン)などで個展が開催されてきました。

「現代アートのフロントランナー」として、世界的な活躍を続けてきて、同世代、後続世代のアーティストに多大な影響を与えているといいます。

美術マーケットでも極めて高く評価されています。彼の代表作のひとつ《のまれる》は、2015年のクリスティーズ・オークションで、約2600万ドル(当時約30億円)という高額で落札されました。

一般にはあまり有名ではありませんが、世界の美術マーケットおよび美術関係者の間では有名なアーティストです。現代アートの世界を代表するアーティストのひとりと言っていいでしょう。

そんな彼の大規模個展が、2020年(令和2年)2月26日(水)から6月14日(日)まで、東京・竹橋の東京国立近代美術館で開催されています。

初期作から最新作まで、選りすぐりの作品を紹介しています。大型がメインとなっていることもあり、展示作品数は72点と比較的少数です。

個人的にですけれど、大型作品で作品数が少ないと、会場を見ていて疲労があまりなく、鑑賞する集中力も持続します。ストレスなく楽しめる展覧会でした。

巷間に流布している平凡なイメージを参照
ピーター・ドイグの作品に話を戻して、なぜ彼の作品は、わたしたちにとって親しみやすく感じるのでしょうか?

ピーター・ドイグ展の図録に掲載されている、東京国立近代美術館の枡田倫広主任研究員の論考をもとに、簡単に紹介してみます。

ひとつは、
「巷間に流布している極めて平凡なイメージを参照してい絵を描いているから」

映画、絵はがき、新聞広告などをもとにして描いています。紋切り型の広告的な図像を、「絵画的な不明瞭さ」に変換して、特異な風景として表現するのがその一例です。

もうひとつの理由は
「西欧の絵画史を踏まえて絵画が制作されている点」

ムンクの色彩や描き方、ミレーやゴッホを思わせる作品、ゴーギャンを思い起こさせる画面構成など、絵画史との密接なつながりが、どことなく見たことがある印象を与えています。

ピーター・ドイグについては、まだまだ語ることがたくさんありますが、ひとまずここまでにしたいと思います。

現代美術を代表する世界的アーティストの作品がどんなものか、気になりませんか? もし関心がおありでしたら、ぜひ展覧会で見てみてください。

ピーター・ドイグ/ Peter Doig
1959年、スコットランドのエジンバラ生まれ。カリブ海の島国トリニダード・トバゴとカナダで育ち、90年、ロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで修士号を取得。94年、ターナー賞にノミネート。02年よりポート・オブ・スペイン(トリニダード・トバゴ)に拠点を移す。 
 

ピーター・ドイグ展
会期
 令和2年(2020年)2月26日(水)から6月14日(日)まで
休館日 月曜日(ただし3月30日、5月4日は開館)、5月7日(木)
会場 国立近代美術館1階 企画展ギャラリー
観覧料 一般1700円(1500円)、大学生1100円(900円)、高校生600円(400円)、中学生以下無料
※( )内は20人以上の団体料金

 

以下の画像は2月25日に実施されたプレス内見会での会場のようすです。
 
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Posted on 2020-02-26 | Category : アートに誘われて, コラム | | Comments Closed
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