「高額」というアプローチから考える現代アートの展覧会

マーク・クイン《神話(スフィンクス)》2006年 塗装したブロンズ ヤゲオ財団蔵 「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより」の出品作。会期終了後も2015年春まで、国立近代美術館のエントランス前に展示されている。
[text/photo 蓬田修一]
2014年6月20日(金)から8月24日(日)まで、東京国立近代美術館を会場に「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより」という、ちょと風変わりなタイトルの展覧会が開催された。
会場には展示されたのは、40作家、約75点の作品。フランシス・ベーコン、ザオ・ウーキー、アンディ・ウォーホル、ゲルハルト・リヒター、アンゼルム・キーファー、杉本博司、ジェフ・クーンズ、蔡國強、ロン・ミュエク、ピーター・ドイグ、マーク・クインなど、現代アート分野における蒼々たる作家の作品が並んだ。
今回の展覧会はヤゲオ財団コレクションから構成された。ヤゲオ財団とは、台湾資本の大手パッシブ電子部品メーカー、ヤゲオ・コーポレーションCEOを務めるピエール・チェン氏と彼の家族およびヤゲオ・コーポレーションからの寄付金によって設立された団体。台湾では「國巨基金會」と呼ばれている。
ヤゲオ財団のコレクションにはふたつの軸があり、ひとつは西洋の近現代美術、もうひとつは中国の近現代美術だ。特に現代美術コレクションは世界的にも著名で、「ARTnews」という雑誌が毎年、世界トップ・テンのコレクターを選んでいるが、ピエール・チェン氏は2012年と2013年の2回選ばれている。
展覧会のタイトルにある「ハードコア」とは「中核」という意味だ。タイトルにはふたつの意味が込められている。ひとは、現代アート作品は、市場価格または保険評価額的において「世界の宝」だということ。現代アートの分野においては、ひとつの作品が数十億という超高値を付ける作品も少なくない。もうひとつは、美術史的な意味における「世界の宝」。これについて、東京国立近代美術館の担当学芸員の説明を紹介しよう。
「優れたアーティストとは、いま表現すべきことを、これまでのアートの歴史を踏まえつつ、未来においても色あせることのない形で表現しようとする人のことです。彼らの作品は、たとえちょっと滑稽に見えたとしても、今を生きる私たちと無縁ではありません。 そして、さまざまな表現が世の中にあふれかえっている中で、時代の試練に耐えて訴えかけ続けようとするものなのです。ですから、やはりそれらは、「世界」にとってかけがえのない存在だと言えるでしょう。」
会場は「ミューズ」「ポップ・アート」「サンユウ(常玉)」「中国の近代美術」「崇高」「リアリティ」「記憶」「実存的状況」「新しい美」の10テーマで構成。
アート作品を「価格」というアプローチから迫った意欲的な展覧会であった。
東京国立近代美術館での開催後は、古屋市美術館(2014年9月6日(土)~10月26日(日))、広島市現代美術館(2014年12月20日~2015年3月8日(日))、京都国立近代美術館(2015年3月31日(火)~5月31日(日))を巡回する。
(2014年8月30日)
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