日常の中の「美」を再発見 「ルーヴル美術館展」
[text/photo:蓬田修一]
東京・六本木の国立新美術館で「ルーヴル美術館展 日常を描く-風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」が開催中だ(会期=2015年2月21日~6月1日)。日本でのルーヴル美術館の絵画展は6年ぶりの開催である。
今回の展覧会は風俗画にフォーカスして構成されているのが特徴だ。風俗画とは何を指すか、専門的には定義するのが難しい面もあるようだが、ここではひとまず“日常を描いた作品”としておきたい。
会場にはルーヴル美術館の膨大なコレクションから厳選された約80点が、「労働」「恋愛」「田園」「女性」などのテーマごとに紹介されている。
日本人にとって風俗画=日常を描いた作品というのは身近な存在であったと思う。江戸時代には日常の様々な場面を切り取り作品として成立させた浮世絵があった。庶民は浮世絵を買い求め鑑賞して楽しんだ。
文学でも、エッセイは人気のあるジャンルの読み物だが、これは日常を描いた作品だと言えるだろう。
最近はソーシャルメディアが活発だ。フェイスブックやツイッターではユーザーが描写した日常のひとこまが投稿され、つながっている友人たちは投稿に共感し、感想をやりとりしてコミュニケーションを楽しんでる。今回の展覧会を見て、日常の風景を表現することの可能性と、そこに生まれる「美」を改めて感じた。
会場の様子(2015年2月20日に行われたプレス内覧会で撮影)
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