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SNSの匿名性がモチーフ 投稿の生々しさを表現


都美セレクション新鋭美術家2015

左に立っているのは、作家の高松和樹氏。右に見えるのは高松氏の作品。


[text/photo:蓬田修一]
私は毎日SNSに接している。私の場合、SNSでは本名を明かしている。つながっている友人たちも、本名を明らかにしている人がほとんどだ。

私のように本名でSNSを使う人がいる一方で、匿名で投稿しコミュニケーションを楽しむ人たちも数多くいる。彼らのプロフィールアイコンには、アニメのキャラクターやイラストが使われることが多い。

この「プロフィールアイコンにアニメのキャラクターやイラストが使われること」をモチーフにしたアート作品に出会った。

「都美セレクション新鋭美術家2015」(会場:東京都美術館、会期2015年2月19日~3月15日)で展示されていた高松和樹氏の作品だ。

白と黒(ブルーブラック)の2色で表わされた、アニメの少女キャラクターを思わせるプロポーションの女性たち。光も影も排除され、グラデーションで表現されている。

高松氏は「アニメのキャラクターやイラストを使ったアイコンの投稿は、そこで語られている年齢や性別も事実かどう分からない。それゆえに投稿する人の人間性や本音が出やすく、アイコンのイメージとは裏腹に生々しさを感じる。そんなアイコンのイメージと言葉の生々しさを作品に取り入れた」と解説する。

「情報ハ強制的ニ与エ続ケラレル」「慎ましく密やかなる抵抗」「人形ニダッテ救エル事モアル」などといった作品タイトルも印象的だ。高松氏の言う「言葉の生々しさ」が感じられる。

私は本名でコミュニケーションしているので、匿名のSNSの世界は経験していない。でもこの作品を見て、SNSにおける匿名性の世界を感じることができたのは、貴重な経験だった。




Posted on 2015-02-19 | Category : アートに誘われて, ギャラリー, コラム | | Comments Closed
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