新春の和歌 「新しき年の初めは」 万葉集 大伴家持
[訳:蓬田修一]
天平勝宝(てんぴやうしようほう)三年
新(あらた)しき 年の初めは いや年に
雪踏(ふ)み平(なら)し 常(つね)かくにもが
右の一首の歌、正月二日に、守(かみ)の館(むろつみ)に集宴す。ここに、降る雪殊(こと)に多く、積みて四尺あり。即(すなは)ち主人(あろじ)大伴宿禰(すくね)家持この歌を作る。
万葉集 大伴家持
[現代語訳]
天平勝宝三年
新しい 年の初めは 年ごとに
雪を踏んで平らにし いつもこうありたい
右の一首の歌は、正月二日に、守(かみ)の館(やかた)で宴を催した。このとき、降雪がことのほか多く、積もること四尺にもなった。そこで主人の大伴宿禰家持はこの歌を作った。
[ひとこと解説]
天平勝宝三年は751年。家持34歳。正月の大雪は吉兆の前触れ。雪踏み平しは、大勢の人たちが家持のもとを訪れ、大雪が積もった道も平らかになること。
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