ロシアがあこがれたフランス美術 「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」

今回の目玉作品のひとつ《聖杯の前の聖母》。胸の前で両手を重ねる聖母マリアは、視線を聖杯の上の聖餅に向けている。聖母マリアの腹部の前にある聖餅は、神の子を懐胎する奇跡を連想させる。2013年●月●日のプレス内覧会で撮影
[text/photo:蓬田修一]
モスクワのプーシキン美術館は世界屈指のフランス絵画コレクションで知られている。同館コレクションから珠玉のフランス絵画を集めた「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」が2013年、愛知県美術館(名古屋市)を皮切りに、横浜美術館、神戸市立博物館で開催された。
この展覧会は2011年の開催が予定されていたものの、同年3月に起きた東日本大震災と原発事故の影響を受けて急遽中止となったものだ。主催者間で協議を重ね、当初予定と同じ3会場で開催することとなった。
ロシアにおけるフランス美術の蒐集は、17世紀ロマノフ王朝の大帝ピョートル1世に始まると言われる。18世紀後半に王朝の全盛期を築いた女帝エカテリーナ2世も、ロシアの富と文化的洗練をヨーロッパ諸国にアピールするため、体系的なコレクションの形成に力を注いだ。
1917年にロシア革命が起こると、コレクションの多くは国有化され、1920年から30年代にはロシア国内の美術館の間で大規模な美術品の再分配が行われた。プーシキン美術館の最大の補充源のひとつとなったのが、レニングラード(現サンクトペテルグルク)の国立エルミタージュ美術館だ。数百点もの名画が、エルミタージュ美術館からプーシキン美術館へと移管された。
ロシアは国家の歩みと連動するように、同時代のフランス文化に常に目を向け、結果として300年にわたるフランス美術の変遷をたどれるほどの質と量を誇る作品群を蓄積した。
今回の「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」では、17世紀に古典主義を確立したプッサンから、18世紀のロココ美術を体現するブーシェ、フランス革命後に活躍したアングル、ドラクロワ、19世紀後半の印象派・ポスト印象派のモネ、ルノワール、セザンヌ、ファン・ゴッホ、ゴーギャン、20世紀美術の巨匠マディス、ピカソに至るまで66点の作品で構成される。どの作品も第一級の質の高さだ。
これらの作品の中には、伝説的なコレクターであるセルゲイ・シチューキンとイワン・モロゾフが●集した近代絵画のコレクションが多数含まれていた。また、出品作の半数以上が日本初公開だ。選りすぐりの66点で、フランス絵画300年の歴史が体感できる貴重な展覧会であった。
(2013年12月8日)
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