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【秋の和歌】川風の すずしくもあるか 紀貫之


皆様こんにちは
宮川です。

今回も、秋の和歌を鑑賞して参りましょう!

川風(かわかぜ)の すゞしくもあるか 
うちよする 浪(なみ)とゝもにや 秋(あき)はたつらむ

作者は、平安時代前期から中期にかけての貴族、紀貫之です。

この作品は貫之が撰者を務めた古今和歌集の巻第四・秋歌上に収められています。

歌の前には

秋立日、うへのをのこども、加茂の川原に川逍遥しける、ともにまかりて、よめる

という詞書(ことばがき)があります。

立秋の日、殿上の男ども、賀茂の河原に河遊びした供に参って詠んだ歌です。

歌の意味は

吹いてくる川風、涼しいことよ
この風に吹かれて打ち寄せる波とともに、秋は立つのだろうか

「うちよする」は「打ち寄せる」の意味です。

「秋立日」は立秋のことで、太陽暦では8月7日ごろです。この日から立冬(11月8日ごろ)の前日までが秋です。

「立つ」は秋が「立つ」のと、波が「立つ」のとを掛けています。

季節の変わり目が見つかると、うれしいものですよね。

私は「秋が立つ」という言い方は、ちょっと新鮮な表現に感じました。

そういえば昔、松田聖子の名曲にも「風立ちぬ」がありましたね。

季節や自然現象は「立つ」という表現もするのですね。

昔の言い方を勉強すると、感性も豊かになっていくような気がします。

これからも素敵な歌を、ご一緒に鑑賞して参りましょう!
 
 
 




Posted on 2020-08-26 | Category : コラム, 和歌とともに | | Comments Closed
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