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【展覧会インプレッション】作品ボリューム満点!「ハプスブルク展」


ハプスブルク展

個人的に、数年前から「ハプスブルク」や「神聖ローマ帝国」「オーストリア=ハンガリー二重帝国」などに関心を寄せて、本を読んだり自分なりにいろいろと考えてきたので、今回の「ハプスブルク展」は、とても楽しみにしていた。

日本も戦争に負けるまでは「大日本帝国」という「帝国」だったし、第一次大戦が終わるとオスマン帝国、ロシア帝国、そしてオーストリア=ハンガリー二重帝国と、世界(と言ってもヨーロッパ圏だが)の主な帝国が消滅してしまうが、それら「帝国」の歴史にも関心がある。 

そんなこんなで、かつての帝国のひとつ“ハプスブルク帝国”のコレクションはどんなものだろうかと、開催が待ち遠しかったのである。

で、早速見的ました!出品作品は当然ながらどれも素晴らしい! ウィーン美術史美術館コレクションからの出品が主で、ハプスブルク家のコレクションは、ウィーン美術史美術館に引き継がれているんだと、改めて認識した。

大作が多いのだが、大作って描かれている情報量も膨大で、細部まで見るといろいろな発見があり非常に面白い。

ただ、いつまでも絵の前で立っているわけにもいかず、いつも中途半端な気持ちで絵を後にするんだよな。

展覧会場の展示構成はこのようになっていた。

1章 ハプスブルク家のコレクションの始まり
2章 ルドルフ2世とプラハの宮廷
3章 コレクションの黄金時代:17世紀における偉大な収集
4章 18世紀におけるハプスブルク家と帝室ギャラリー
5章 フランツ・ヨーゼフ1世の長き治世とオーストリア・ハンガリー二重帝国の終焉
国立西洋美術館のコレクションとハプスブルク家ゆかりの作品

ほかの展覧会にも言えることで、個人的にはいつも思うんですが、出品点数って多すぎないかい??(今回は約100点が出品されている)

俺はひとつの作品をじっくり見たい派なので、作品を見るのにすごくエネルギーを使う。絵を感覚的に見て、「元気をもらう」とか「幸せな気持ちになる」とかよりも、「絵を読む」って感じで、絵からの情報を読み取ったり、描かれた背景などをあれこれ考えるのが好きなんですよね。

なので、5作品くらい見ると、集中力が明らかに低下してきて、気力・体力ともにかなりダウンします。ほかの人は集中力やテンションをどう保って見ているんだろう、といつも不思議な気持ちになる。

会場の空間設計についてちょっと言及すると、エントランスを入ると、すぐに階段を下りて、「1章ハプスブルク家のコレクションの始まり」の展示エリアに行くようになっている。

この1章の展示室が天井高がある大空間になっていて、巨大なタペストリーや、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の甲冑などの大物作品が展示されている。今回のハイライトみたいな感じです。ハイライトを最初にドーンと見せた、っていうふうにも言える。そして、見終わったら、また階段を上がり、2章からの展示を見るという導線設計だ。

階段を下がったり上がったりするのは面倒な感じもする(階段ですぐ近くを上っていた男性は「こういうふうに下がったり上がったりするのは嫌だな~」と言っていた)。

その一方で、細い階段を歩き、そして広い展示会場に出ると、気持ちがリセットされ、展示品に対するテンションも一気に上がるから、効果的な空間演出だ。

ところでいま、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで「リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」が開催されている。リヒテンシュタイン侯爵家はかつて神聖ローマ皇帝に仕えた。

こちらの展覧会もあわせて見ると、オーストリア、ハプスブルク、神聖ローマ帝国、リヒテンシュタインなどの名門貴族など、ヨーロッパについての理解が深まると思う。ご関心ある方はこちらもぜひ!

日本・オーストリア友好150周年記念
ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史
会期 2019年(令和元年)10月19日(土)から2020年(令和2年)1月26日(日)まで
会場 国立西洋美術館




Posted on 2019-10-21 | Category : アートに誘われて, コラム | | Comments Closed
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