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パリの全体像に迫りながら、社会と美術作品の関係を考える


来場者数1万5000人以上
フランス・パリの全体像に迫る「19世紀パリ時間旅行-失われた街を求めて-」が、東京の練馬区立美術館で2017年4月16日から6月4日まで開催されました。

文学者の鹿島茂氏のコレクションを中心した出品物で、会場は構成されました。

第1章 パリ、変貌の歴史
第2章 タブロー・ド・パリ
第3章 ナポレオン3世とセーヌ県知事オスマンのパリ大改造
第4章 1870年、新しいパリ

という4章構成で開催された今回の展覧会は、鹿島氏の連載「失われたパリの復元」(芸術新潮)をもとに展開されたものです。

展示品を見ていくと、社会の変化は芸術作品に大きく作用することが分かります。

練馬区立美術館 学芸員の小野寛子氏は、同展のカタログの中で「美術作品と対峙する際、美術史の文脈を意識することはあっても、社会の変化がどのように芸術活動に作用しているかについては見落としがちではないだろうか」と書いています。

社会の変化と美術作品の関係を考えるのに、大いに参考になる展覧会でした。

もちろん、約300点にも及ぶ展示作品を通して、19世紀パリの姿をイメージすることもできました。

来場者数は、鹿島氏のツイッターによれば、1万5000人を超えたと言います。

自治体の美術館で開催される美術展としては、異例の人数ではないでしょうか。

かねがね、美術作品を深く楽しく鑑賞するには、作品が生まれたときの社会的・歴史的な背景が大切だなと思ってきました。

今回の美術展にたくさんの人がつめかけたのは、そうした思いを持っている人がたくさんいることを物語っているのかもしれません。




Posted on 2017-06-08 | Category : アートに誘われて, コラム | | Comments Closed
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