吉野屋 並盛80円値上げ380円に すき家はどうする!?
[text/photo:蓬田修一]
2014年12月9日、牛丼チェーンの吉野家は、牛丼並盛の価格を300円から380円に大幅値上げすることを発表した。値上げとなるメニューは牛丼並盛だけでなく、他の牛丼類、定食類、カルビ類の合計25品目。メニュー全体に占める割合は、季節による変動もあるが、およそ65%にものぼる。吉野家は今年4月に牛丼並盛を280円から300円に値上げしているから、今回の価格改定は再値上げとなる。
12月12日付け東洋経済オンラインは、今回の値上げの理由について「牛肉の需給バランスの崩壊」(吉野屋・河村社長)と伝える。2012年にアメリカで発生した干ばつの影響で、主原料でアメリカ産牛肉の出荷量が激減。その一方で、アジアの新興国を中心に、牛肉の需要が世界的に急増したという。
その結果、米国産牛肉の冷凍ショートプレート(バラ肉)の価格は、2013年9月の1キログラムあたり550円から、2014年10月には1080円まで高騰。「企業努力だけで牛丼を安定的に供給することが困難な水準に達してしまった」(河村社長)
牛肉調達先については、アメリカ以外にも検討していくが、「穀物肥育牛で吉野家が求めるスペックを、吉野家が求める量で確保するには、アメリカ産にならざるを得ない」と河村社長は12月9日の記者会見で話している。
値上げ発表から3日後の12月12日、自宅近くにある吉野家京成船橋店に食事に行った。午後2時頃に入ったが、店内は遅めの昼食を取る人でほぼ満席だ。ざっと見たところ男性客が100%。小さな店舗だがテーブル席もあり、そこではビールとともに牛鍋を食べている年配男性もいた。
価格改訂は12月17日15時から実施する。値上げ後、吉野家の客足はどうなるのか。
また、ライバル店はどう動くか。松屋はすでに関東1都6県で「プレミアム牛めし」を380円で販売している。一方、すき家は「牛丼」を291円で販売。今後はすき屋の動きが注目だ。
(2014年12月12日)