腎臓透析と国防


先日、あるビジネスセミナーに参加しました。7つくらいの短いプレゼンテーションを聞きましたが、その中に、国立大学医学部教授のプレゼンがありました。

教授の専門は腎臓疾患で、医学部付属病院で患者の治療にあたるとともに、予防・治療のための最先端の研究をしています。

プレゼンの中で、腎臓透析の話題が出ました。透析は週に3日、1回数時間かかり、患者さんにとっては心身ともに大変な治療です。

医療費も高額(年間540万円ほど)ですが、全額が国の予算で賄われ、患者さんは負担の必要はありません。

現在、腎臓透析を受けている患者さんは全国におよそ33万5000人ほどいて、透析治療にかかる予算は約1兆5000万円です。

ところで先日、令和2年度の国防予算について発表がありましたが、約5兆3000万円です。

腎臓透析に1兆5000万円、国防に5兆3000万円。ふたつを比べたとき、正直「なんかバランス的に悪いんでは??」という印象を受けました。

もちろん、腎臓透析にかける予算額が多すぎる、とかいうことではありません。腎臓疾患に悩み苦しんでいる患者さんたちを、個人の金銭的負担をかけずに治療できるのは素晴らしいことです。

それに比べて、国民が生きていく基盤、国民全員の命、財産、人権など、日本を守っていくための予算が、現状の金額でどうなんだろう??適切なんだろうか??と考えたわけです。

令和2年度の防衛予算を報じる、ニュースのテイストは「過去最高」「7年連続増加」といった見出しが付いていて、予算額に対して否定的(多すぎる)とも取れるます。

現在、日本を取り巻く状況は、極めて厳しいと言わざるを得ません。日本の国力を削ぎ、日本の伝統文化を壊し、日本人の誇りを持たせないようにする勢力が国外だけでなく国内にもあると思います。

しかし、先の戦争の時代と違い、今は先進国同士がガチンコで砲火を交えるという戦争は、戦争を仕掛ける国にとってもリスクが大きく、起こりにくいでしょう。

その代わり、静かな攻撃が始まっており、現に進行中です。サイバーテロ、空港など重要施設周辺の土地取得、メディアを使った国民の洗脳などなど。

しかも、もし緊急の事態になった場合、自衛隊の方が頑張ってくれますが、制度上それだけでは限界があり、アメリカ軍に頼ることになります。

腎臓透析の話を聞いたとき、腎臓透析患者を大事に考えるように、日本国民や日本の伝統文化のことも、もっと真剣に考えてにいいのではと改めて思いました。
(M&C 蓬田修一)




Posted on 2019-11-01 | Category : コラム, 日本と世界, 日本の文化 日本のこころ | | Comments Closed
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