冬の漢詩 「土牀(どしょう)」 北宋 楊時(ようじ)
[訳:蓬田修一]
[漢文]
土牀 北宋 楊時
土牀煙足紬衾暖
瓦釜泉乾豆粥新
万事不思温飽外
漫然清世一閑人
[書き下し]
土牀(どしょう) 北宋 楊時(ようじ)
土牀(どしょう)煙(けむり)足(た)りて紬衾(ちゅうきん)暖(あたた)かなり
瓦釜(がふ)泉(いずみ)乾(かわ)きて豆粥(とうじゅく)新(あらた)なり
万事(ばんじ)温飽(おんぽう)の外(ほか)を思わず
漫然(まんぜん)たり清世(せいせい)の一閑人(いちかんじん)
[現代語訳]
土牀(どしょう=オンドル)には熱い煙が満ち 紬(つむぎ)のふとんは暖かい
素焼きの釜では泉のように沸いていた水も(蒸発して)なくなり 豆粥(まめがゆ)が煮えたところ
温かいことと腹いっぱい食べることのほかは何も考えない
気ままな太平の世の閑人(ひまじん)
[ひとこと解説]
土牀(どしょう)はオンドルのこと。この詩で作者は、衣食が足りればそれで満足であると詠む。その裏には、出世や利益を追求する世の中の風潮に対する作者の批判がある。
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