総合免税店LAOXが好調な理由
「外国人がほしい商品」をすべて揃える総合免税店
2014年(平成27年)2月24日の夕方5時半くらい、取材先に向かうため東京・銀座の大通りを歩いていた。街は買い物客で賑わっていたが、歩道をすれ違う人の4分の3くらいが中国語を話している旅行者だった。
私は大学で中国語(標準語)を学んだので、標準語なら聞き分けられる。また、台湾で2年間生活していたので、台湾人が話す「台湾語」は聞けばそれと分かる。中国には地方ごとに独自の言葉があって、北京には北京の言葉、上海には上海の言葉、福建には福建の言葉がある。北京の言葉と福建の言葉では意思疎通が十分にできないほどその違いは大きい。
銀座の街ですれ違う人たちの中には、標準語でも台湾語でもない言葉で話している人たちも多かった。私には聞き取れなかったが、中国のどこかの地方の言葉のようだ。
私は銀座4丁目の交差点から新橋の方へ向かっていたが、新橋方面に進むにつれて、だんだんと中国人旅行者が多くなる。大通りには大型バスが数珠つなぎになって停車している。そして、中国人旅行者の数が最高潮に達した場所がLAOX銀座本店の前だ。
同店は2013年11月に開業したLAOXの旗艦店。LAOXと聞くと家電量販店というイメージがあるかもしれないが、2009年に訪日外客を対象にした免税店に方針を転換し、現在は国内に17店舗を構えている。銀座本店は、最先端の家電から、化粧品、日本の民芸品まで「外国人がほしいと思う商品」をすべて揃える総合免税店だ。
同店の来店客でもっとも多いのが中国人だ。その理由は中国人がほしいと思う商品を揃えていること、ホテルのようなサービスを提供するコンシェルジュが常駐していることが挙げられる。
こうした「品揃え」「サービス」以外に来店客増加に大きな役割を担っているのが、中国での集客施策だ。LAOXの親会社は中国最大の量販店である蘇寧雲商(蘇寧電器から2013年に社名変更)。来店客にとっては、蘇寧雲商の提携店ということで安心感がある。
加えて、蘇寧雲商の店舗や中国で展開するLAOXでは、延長保証対象商品のアフターサービスを受け付けていることも、来店客にとっては購入動機となっている。
LAOX銀座本店は、目標年商30億円を大幅に上回るペースで成長しているという。中国人旅行者がほしいと思う品揃え、日本ならではのきめ細やかなおもてなしサービス、蘇寧雲商との提携による知名度と安心感の3点が、LAOXの好調な理由だと感じた。
[text/photo:蓬田修一]