【第88回】ICTキャンパス 東京藝術大学 最先端技術・クローン文化財で「芸術のDNA」を復元・継承 2021年8月3日




最先端デジタル技術と芸術家の感性を融合
絵画や宗教芸術などの文化財は、状態を保ちながら保存していくことが求められる。

その一方で、文化財の価値を広く知ってもらうため、作品を公開していくことも大切だ。しかし、公開すれば作品の劣化が進んでしまう。

この矛盾を解決させたのが、東京藝術大学が開発した、高精度な文化財複製技術「クローン文化財」および「スーパークローン文化財」だ。

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クローン文化財で甦ったゴッホ自画像と法隆寺金堂壁画(写真提供=東京藝術大学COI拠点)

クローン文化財とは
クローン文化財は、オリジナルの作品に使われている材料を分析。作品の制作技法、文化的背景、思想的背景など「芸術のDNA」までをほぼ同一素材で再現する。単なるコピーや複製品とは一線を画す技術だ。

最先端デジタル技術(高精細デジタル写真撮影、近赤外線反射撮影、三次元計測、蛍光X線分析など)と、芸術家の経験値から得た感性や手技などのアナログ的な保存修復技術を融合することで、素材の質感や年月を重ねた古色まで正確かつ短時間で表現する。

スーパークローン文化財
クローン文化財が「いかにオリジナルに近づけるか」に主眼を置くのに対し、「いかにオリジナルを超えるか」を目指すものが「スーパークローン文化財」だ。

消失したり欠損したりした文化財を、美術史的見地や過去の文献などを参考にしながら、作成当初の姿に甦えらせようとするものだ。

文化財の流出問題
解決して文化を継承

「我々があえてスーパークローン文化財に挑戦しているのは、世界各国に分散している流出文化財の平和的解決法について考える良いきっかけになるのではないかと思っているからです」(東京藝術大学COI拠点)

現在、世界中の博物館や美術館において、多くの流出文化財が、様々な理由によって展示されている。

しかし、それらの文化財は、いずれは元々あった場所に返すべきだとの意見が出始めている。

スーパークローン文化財は、この問題解決に役立つという。オリジナルとは別に、オリジナルの欠損部分などを補修して文化を共有するという考え方だ。

そごう美術館でクローン文化財展
東京藝術大学は2020年、横浜のそごう美術館とともに、同館を会場にして、クローン文化財の意義を考える「東京藝術大学スーパークローン文化財展 最先端技術がつくる未来」を開催した。

法隆寺の焼損した金堂壁画や間近で鑑賞することができない釈迦三尊像をはじめ、爆破されたバーミヤン東大仏天井壁画、保存のために一般公開が困難な高句麗江西大墓や敦煌莫高窟、切り取られ流出した後に戦火で失われたキジル石窟航海者窟壁画などの再現・復元作品および映像を約50点展示した。

今年は第2弾として8月31日まで、同館で「謎解き『ゴッホと文化財』展 つくる文化∞つなぐ文化」を開催。「文化財を知る・楽しむ」をテーマに、ゴッホを中心に、オルセー美術館の油彩画やボストン美術館の浮世絵のクローン文化財など約30点を展示。

1945年、空襲で焼失したゴッホの幻の作品「芦屋の《ひまわり》」も、クローン文化財で甦り、初公開した。

従来の展覧会が「見る展覧会」であるのに対して、初心者でも分かりやすく文化財について理解できるよう、様々な角度から作品を体感してもらい、五感を働かせて考えられる展覧会になっているのが特色だ。

東京藝大COI拠点は「文化財は保存も大切ですが、それよりもっと大切なのは、文化の継承です。それぞれの国々が独自の文化の尊厳を継承し、世界の国々がその文化を共有し結ばれることこそが、世界の平和につながると考えています」と話した。

(蓬田修一)

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年8月3日号掲載

(執筆 蓬田修一)







Posted on 2025-12-08 | Category : コラム, 大学教育 | | Comments Closed

【第86回】ICTキャンパス 関西外国語大学「世界屈指の米国IR企業から最新マネジメントを学ぶ」 2021年6月8日




グローバルに活躍できるリーダーを育成
関西外国語大学は2021年3月、外国語学部2年次生を対象に「KGU×MGM エデュケーションプログラム」をオンラインで実施した。

本プログラムは、サービス・ホスピタリティ業界でグローバルに活躍するリーダーを育てる目的で、同大学と世界屈指のIR(統合型リゾート)企業MGMリゾーツ(以下MGM)との共同で、2020年から始まったものだ。

20年はラスベガスでIR施設を見学するなどのプログラムが組まれたが、今年は新型コロナウイルスの影響により、オンラインでの実施となった。

プログラムには関西外大生22人に加え、京都大学経営管理大学院観光経営科学コースの院生7人も参加した。

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学生はMicrosoft Teamsを使い、IR産業の最先端を学んだ

大量の英文資料を読み
英語のレクチャーに臨む

学生は6日間のプログラムでIRの最先端を学んだ。

初めの4日間はMGMの各部門の責任者のレクチャーをオンラインで受講。学生はレクチャーを受けるまでの限られた時間で、大量の英文資料を読んでから、英語で行われるレクチャーに臨んだ。各レクチャーは60~75分で、毎日3~4コマ実施された。

内容は、ホテル運営、新型コロナウイルスに対する取組、環境に配慮した施策、大規模ビジネスイベント、エンターテインメントについてなどだ。

5日目は、プログラムの集大成として、MGMが運営する5つのIRについて、それぞれの強みや特徴をリサーチし、グループごとに発表した。

6日目の修了式では、MGMの人材開発分野の責任者から、リーダーシップについての基調講演が行われた。

今回使用したオンラインツールはMicrosoft Teams。手軽に使え、チャット機能や手を挙げるサインなどのインタラクティブ機能も備えており、意思表示や質問などが自由に行えた。

オンラインミーティングでの意見発表は、ほかの参加者から注目を浴びる中、1人で、英語で話さなければならず、初めは緊張していた学生もいたが、徐々に慣れていったという。

関西外国語大学入試広報企画部担当者は「巨大IRのマネジャーから直接講義を受けられたことで、最前線のリーダーシップやマネジメントを学ぶことができ、学生自身のモチベーションアップにつながりました」と話す。

世界のIR専門家約30人とダイレクトに交流
オンラインでの実施となったことで、教育的価値が高まった面もあった。

1つ目は、多くのIR専門家から学べた点だ。前回は講師が実際にラスベガスに来なければならなかったが、今年はラスベガスのみならず、マサチューセッツ州、メリーランド州、マカオ、東京など世界各地から約30人のIRスペシャリストがオンラインで参加できた。

2つ目は、デジタルデバイスの活用スキルが身に付いた点だ。ビジネスにおけるオンライン活用は日ごとに「前提」になりつつあり、ビジネス上必須のスキルになった。MGMの責任者によるレクチャーなどを通して、学生は実地で学ぶことができた。

学生は今回のプログラムで、IRに関する財務やマーケティング業務についても知り、ラスベガスで本物のIRを見たいという希望を持つようになったという。
「現地の雰囲気を味わうとともに、現地で行われているエンターテインメント、新型コロナウイルス感染症に対する取り組み、大規模なビジネスイベントなどを目の当たりにしたいという意見が多数ありました」

今後は、オンラインとリアル双方の学びを結び付けることで、さらに効果的な学習を実現させていく考えだ。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年6月8日号掲載

(執筆 蓬田修一)







Posted on 2025-12-08 | Category : コラム, 大学教育 | | Comments Closed

【第85回】ICTキャンパス テンプル大学ジャパンキャンパス「米国MindEdgeと連携 生涯教育をハイブリッドで提供」 2021年5月3日




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いつでもどこでも生 涯にわたり「学び続ける」ことが求めら れている

従来プログラムに加え170コースを追加
テンプル大学ジャパンキャンパス(東京都世田谷区、以下TUJ)の「TUJ生涯教育プログラム」は語学、ビジネス、プロフェッショナルトレーニング、芸術・文化など幅広い分野において、200を超える講座を、対面およびオンラインで開設している。

授業は英語で行われ、受講生の国籍は多彩だ。専門分野の知識だけでなく、国際感覚を養うこともできると評価されている。

このほど、受講生の様々なニーズに応えるため、アメリカの大手オンライン学習プロバイダーMindEdge社とパートナー契約を締結。2021年2月から新たに同社の170コースの学習プログラムの提供を開始した。

「受講生それぞれの異なる学習スタイルに対応することができるよう、学習内容の選択肢をさらに広げ、対面でもオンラインでも利用できるようにするために、MindEdge社の学習プラットフォームの提供を始めました」(TUJ広報)

MindEdge社は1988年、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の教育者によって設立された。

学術的なコースだけでなく、ビジネスや能力開発に関するコースも提供しており、これまでに全世界で250万人が受講している。

米国でも多くの大学が同社の学習プログラムを活用しているという。

1コースの価格帯は3000円~9万円
今回のパートナー締結により、新たに17カテゴリーのオンデマンド型オンライン学習プログラムが提供される。

授業時間は、短いコースでは1・5時間で終了できるものから、80時間かけて学ぶものまである。

手頃な価格帯のコースも多く、例えばComputer Applications カテゴリーのGoogle Drive Basicsというコースは、 授業時間1・5時間、アクセスできる期間は90日間、価格は4246円だ。

授業時間やアクセスできる期間が長くなると価格も高くなる。例えば、Women in BusinessカテゴリーのCertificate in Leadership for Women in Businessは、授業時間23時間、利用期間は1年間、価格5万4325円だ(価格はいずれも3月23日現在。為替レートなどにより変動がある)。

日本円でも支払うことができる。

人生のあらゆる段階で意味あるプログラムを
今回のパートナー締結により、受講生はより多岐にわたる講座から、自分の関心に沿ったものを選んで学習することができる。

「例えば、以前は物流やサプライチェーンに関連したコースは提供されていませんでしたが、MindEdge社のプログラムから学べるようになりました。また、従来のプログラムにあわせて本プログラムを学ぶことで、より知識を深めることができます。例えば、従来プログラムでデジタルマーケティングを学び、さらに本プログラムで、ペイパークリック広告やSEO(検索エンジン最適化)に関連したコースを受講するといったことも可能です」

生涯学習の重要性はますます高まっていくものと思われる。

TUJ広報は「人生やキャリアのあらゆる段階において、意味のある学習プログラムを提供できるようにするため、これからも新しい分野、新しいパートナーシップ、新しい提供方法を継続的に模索していきたい」と話している。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年5月3日号掲載

(執筆 蓬田修一)







Posted on 2025-12-07 | Category : コラム, 大学教育 | | Comments Closed

【第84回】ICTキャンパス 共立女子大学・ 共立女子短期大学「知識伝達型講義をオンデマンド化 全教室の授業を録画・中継」 2021年4月6日




コロナ対策でデジタル化が促進
共立女子大学・共立女子短期大学は2021年2月、「Kyoritsu教学DX推進プラン」を策定し、教育のデジタル化を強化している。

同学ではこれまでも、2017年度から授業支援システムを積極導入。2019年度には同システムを高度化したLMS(Learning Management System 学習管理システム)に更新するなど学習環境のDX化を進めてきた。
2020年度に新型コロナウイルス感染症対策として、オンデマンド型を中心にした遠隔授業の展開を進めたことで、学修環境のデジタル化が飛躍的に進んだ。

「Kyoritsu教学DX推進プラン」はデジタル化の動きをさらに加速させるために策定したものだ。
「このプランは、学修活動における種々のデータのデジタル化を「徹底」「蓄積」「可視化」して、教職員と学生が利活用することで、学修環境を総体としてさらに向上させることを目標にしています」(共立女子大学 大学企画課)

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デジタル化により、1人ひとりの学生にとって最適な学修環境が整備されつつある

授業を中継・録画
授業内容の分析も

今回の推進プランから、2021年度に注力する施策を2つ紹介する。

●オンデマンド型オンライン授業
学生に対してオンライン授業に関する2回のアンケート、および教員へのヒアリングを行ったところ、知識定着型の基礎科目については、オンデマンド授業で授業動画や資料を繰り返し確認することで、学期末における理解度が向上したという声が得られた。

そこで、知識定着を学修目標とする教養教育科目(全学部対象)26科目、大学5学部・短期大学2科の専門教育科目48科目を、オンデマンド授業として導入することに決めた。

学修リズムを定着させるため、週1回のペースで確認テストなどを実施する予定だ。

●講義室にWebカメラを設置してハイフレックス授業を実現
一斉講義スタイルの授業もDX化を進める。

オンデマンド授業の「何度でも復習可能」という利点を対面授業でも実現するため、大学・短期大学校舎のすべての講義室にWebカメラを設置してWeb会議システムにより授業を中継する。

これにより、新型コロナウイルス感染症等の事由で通学できない学生も自宅から授業に参加できる。

また、学生は講義録画データを事後学修として利用することができるようになる。

将来的には、事前に講義動画を視聴してから授業に参加し、ディスカッションなどで理解を深める反転授業への活用を目指す。

LMSなどで個別最適な支援
20年度はコロナ禍対応のため、多くの科目でオンライン授業を実施した。

これによりLMSの活用が大幅に促進された。

授業資料のデータ配布を始め、視聴時間の把握、小テスト、アンケート、学期末テストなどがLMS上でデータ化されるため、授業に関するデータ収集がより効率的にできるようになった。

今後は、授業をデータ分析等により授業内容の改善やカリキュラム改革といったFD(Faculty Development)活動などへの活用も考えている。

大学企画課では「これまでアナログであった講義授業をデータ化することにより、グッドプラクティス授業の共有や質の保証が可能となります。また、反転授業の導入は、リーダーシップを発揮する女性の育成を目指す本学の教育の質を大きく向上させると考えています」と話す。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年4月6日号掲載

(執筆 蓬田修一)







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【第83回】ICTキャンパス 関西学院大学「病気療養中の子供に5G、VR、ARで遠隔授業」 2021年3月1日




富士通と協力してプロジェクト推進
関西学院大学教育学部の丹羽登教授は、富士通などとともに、病気療養中の子供などに向けて、次世代無線高速回線(5G)、VR、AR(Augmented Reality)を活用した遠隔授業プロジェクトを進めている。

これまでも、病気療養中や不登校などで通学困難な児童や生徒に対して遠隔教育の弾力的な運用などが行われてきた。しかし、こうした児童・生徒の実態や環境は多様で、個々の子供の実情に応じた効果的な遠隔授業は、今なお課題の1つ。そこで今回は「らくらくホン」に代表される使いやすい機器の開発や、知的障害児向けにアプリ開発などを手掛けてきた富士通とプロジェクトを進めることとなった。

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VRゴーグルを装着 して、水中ドローン を操作

水中ドローンで遠隔校外学習
2019年度は、次の3つの事業に取り組んだ。

① 最新技術で教員研修
遠隔地からの円滑な教員指導を目指し、大阪と東京を5Gで結び、模擬授業の実施と視聴を行った。関西学院大学と京都ノートルダム女子大学の学生が授業者役と生徒役に分かれてドコモ大阪5Gラボで、模擬授業を実施。その様子を全天球カメラで撮影し、東京のドコモ5Gラボ四谷にいる学識経験者が視聴。模擬授業が行われた大阪5Gラボでも、教育委員会指導主事らが視聴した。

② 遠隔校外学習で水中ドローンを操作
神奈川県立横浜南養護学校(院内学級)と八景島シーパラダイスを結び、子供が病院内の教室から水族館の大水槽内に設置した水中ドローンを操作した。

操作する子供はVRゴーグルを装着。ドローンのコックピットにいるかのように、上下左右を見渡しながら操作できる。周囲の子供は、水槽前に設置したカメラから、水槽の様子を見ることができる。送信側である水族館は光回線、受信側である養護学校はLTE回線を使用した。

③ 沖縄の水族館を遠隔で見学
沖縄の水族館と東京都立光明学園そよ風分教室(病院内の学級)を5G回線で結び、水族館の職員がゲストティーチャーとして遠隔で分教室の子供にレクチャー。子供は、ゲストティーチャーがジンベイザメに餌付けしている様子を見た後、VRゴーグルやタブレット端末を使い、サメの水槽などの全天球映像を各自の好きな方向から見た。

産学連携でICT活用を提案
今後は、空中ドローンの遠隔操作や、海での水中ドローンの遠隔操作を実施する予定だ。

なお今年度は新型コロナウイルス感染拡大のため実施は中止した。

丹羽教授は「今の子供はYouTubeやTikTokなどで動画配信が簡単にできる環境で育ち、配信方法を試行錯誤しながら身につけています。しかし、学校教育はその大きな変化に応じた指導を行うことができていません。新技術を活用した授業を、多忙を極める学校の教員に今すぐ求めるのは難しいでしょう。病気療養中の子供だけでなく、学校教育全体においても、大学の教員が企業等と連携しながら、ICTを活用した取組を提案し、協力していくことは必要だと考えています」

今回の丹羽教授らのプロジェクトは、政府が企業や団体を表彰する「第4回ジャパンSDGsアワード」で「パートナーシップ賞(特別賞)」を、また一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会の「国際デザイン賞2020」で「金賞」を受賞している。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年3月1日号掲載

(執筆 蓬田修一)







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【第82回】ICTキャンパス 武蔵野大学「起業ノウハウではなく起業家精神を育む」 2021年2月1日




ヤフー伊藤羊一氏が学部長就任予定
武蔵野大学は2021年4月、新学部「アントレプレナーシップ学部」を開設する。

同大学によれば、「アントレプレナーシップ」を冠した学部の開設は日本で初。学部長には、ヤフー(株)コーポレートエバンジェリストでYahoo!アカデミア学長の伊藤羊一氏が就任予定だ。

学生定員は60名。60名を1クラス20名の3クラス、それをさらに小グループに分け、クラス担任も付けて、1人ひとりきめ細かく教育を行っていく。授与する学位は学士(ビジネス)。

武蔵野大学は東京・江東区に有明キャンパス、西東京市に武蔵野キャンパスがあるが、アントレプレナーシップ学部の学生は4年間、武蔵野キャンパスで学ぶ。

専任教員はベンチャー企業経営者やNPO創業者など実務家が中心で、19名。毎週、授業に起業家を招聘することも予定されている。

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学部長就任予 定の伊藤羊一 氏(ヤフー)

社会の最前線と学びでつながる
「授業では極めて高いレベルでの『社会の最前線とのつながり』を実現する予定です。実践しながら、マインドとスキルを鍛える教育を行っていきます」

学部長就任予定の伊藤氏は、アントレプレナーシップ学部紹介ビデオの中でこう語る。

同学部が目指すのは、自分の思考と行動で、世界をより良い場所にできると、本気で信じる人を増やすこと。

起業の方法ではなく、起業家精神(アントレプレナーシップ)を現役実務家から学べるのが特色だ。

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自らの意思で「ことを成す」を学ぶ
カリキュラムはプロジェクト型の「実践科目」を中心に、社会に対する好奇心や挑戦する情熱を育む「マインド科目」、アイデアを実行し、カタチにするための「事業推進スキル科目」の3つの柱で組まれる。

3年次には実際に起業を経験し、自身の意思で「ことを成す」を学ぶ。
「マインド面では、譲れない思いは何か、何をやりたいか、どうありたいかなどを深堀りしていきます。事業推進スキル面では、考えて決める力、コミュニケーション力、テクノロジーやSDGsについての知識、ビジネススキルなどを育成。実践面では構想する、踏み出す、振り返り改善するなどの力を育成します」(伊藤氏)

1年生全員が学生寮に入寮するのも大きな特色だ。寮生活では、仲間とともに内省と対話を通して、基礎スキルや好奇心を育む土台作りをしていく。

新たな価値を創造
武蔵野大学は「世界の幸せをカタチにする。」というブランドステートメントを掲げている。この実現のため、事業を通して社会課題を解決する人を増やそうと、アントレプレナーシップ学部の構想が生まれた。

同学部では、アントレプレナーシップを「高い志と倫理観にもとづき、失敗を恐れず踏み出し、新たな価値を創造していくマインド」と定義している。伊藤氏は「アントレプレナーシップ学部で学んだからといって、必ずしも起業しなければいけないということではない。(起業するしないにかかわらず)新たな価値を創造していくマインドを持つ人になるよう育てていきたい」と抱負を語っている。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年2月1日号掲載

(執筆 蓬田修一)







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【第81回】ICTキャンパス 早稲田大学大学院「AI作曲新感覚コンサートでファン増やす」 2021年1月1日




3万以上の楽譜を学習
音楽理論から自動作曲

早稲田大学大学院 経営管理研究科の川上智子教授と川上研究室の学生は、エール管弦楽団とともに、新感覚のクラシックコンサート「エールマジックオーケストラ」を2020年8月、東京・晴海トリトンスクエア内の第一生命ホールで開催した。

コンサートでは、AI(人工知能)の「AIVA(エイバ)」が作曲したクラシック曲「エールのための交響曲 Symphony for Aile」が世界初披露された。

AIVAは、楽譜をMIDIデータに変換して学習し、楽譜に特徴的なパターンから、自動で作曲する。フランスの職業音楽家組合「SACEM」に認められた初めてのバーチャル作曲家でもある。

これまで学習した楽譜は、バッハ、モーツァルト、ベートーベンなどのクラシックのほか、ロック、ポップス、ジャズなど3万以上におよび、アルバムもリリースしている。

川上教授は「モーツァルトが8歳のときに作曲した交響曲第1番を聞いていただき、演奏後にどちらがお好みかを聴衆の皆様に挙手でお尋ねしました。6対4でモーツァルトが少し多い感じでしたが、ほぼ均衡していました。AIの曲を好まれた方が思いのほか多かったのです」と話す。

コンサートではほかにも、モーツァルト作曲「トルコ行進曲」の超絶技巧演奏、サン・サーンスの交響詩「死の舞踏」とマジックとのコラボなどが展開された。

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視聴中に詳細情報を確認できる

テクノロジー融合で芸術の新市場を創造
川上教授のゼミでは2017年から、首都圏の音大生が中心メンバーとであるエール管弦楽団と、共同研究プロジェクト「クラシカエール(暮らし・変える)」をスタート。五感やテクノロジーを組み合わせた新感覚のクラシック音楽を提供している。

クラシカエール発足の背景には、クラシック音楽団体は利益率が低く、若年層の観客が少ないといった問題があった。

2018年の第1弾コンサートはプロジェクション・アートとのコラボ、翌19年の第2弾は、空手とテクノロジーとのコラボといった従来のクラシックコンサートの枠を超えたプログラムを実現させ、新たなファンを開拓してきた。

「クラシック音楽のノンカスタマー(非顧客)層である20代・30代の男女をメイン観客に考えています。独身・既婚・子供ありなど、多様なライフスタイルの方が想定されます。未就学児入場可で、小学生まで半額としています。いわゆるお子様向けコンサートではなく、空手とクラシックなど意外な組み合わせで、視覚で楽しみながら、クラシック音楽を聴いて頂くことを大事にしています。将来、クラシック音楽のコンサートに足を運んで頂きたいためです」(川上教授)

コンサートをマルチアングルで配信
今回のコンサートは本来20年2月に開催予定で、予約では約600席の会場が満席であったが、コロナ禍で開催が延期。8月に感染対策を徹底し、席数を制限して開催。さらにオンラインで生配信と見逃し配信も行った。

配信では、さまざまなカメラアングルで構成された4画面で公演を視聴できるマルチアングル方式を導入。好きな奏者を追ったり、手元をクローズアップで見たりして楽しむことができた。

視聴中に詳細情報が確認できる「TIG Live(ティグ ライブ)」配信も同時に行なった。次回コンサートは21年3月6日に第一生命ホールで開催する予定だ。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年1月1日号掲載

(執筆 蓬田修一)







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【第80回】ICTキャンパス 立教大学 校友会「ホームカミングデー」全面オンライン実施で参加者増 2020年12月7日




オンライン化で24歳以下の参加者増加
立教大学は10月18日、ホームカミングデーを、同大学では初となる全面オンラインで実施した。ホームカミングデーとは同窓生やその家族などがつながるイベント。企画・運営の同大学校友会事務局に取材した。

事務局によると、ホームカミングデーへの参加者は年々増加。2019年度は過去最高の約8800人を記録した。

今年度は新型コロナウイルス感染症の拡大を避けながらも、楽しみを共有できる形態を検討した結果、全面オンラインでの実施となった。

「視聴した遠方在住の方からは、初めてホームカミングデーに参加できて嬉しかったというお声をいただきました。様々な理由で大学まで来ることができない方が、潜在的に多くいることを再認識しました」

参加者はこれまで60代以上が中心だったが、全面オンラインにしたことで、24歳以下の男性の視聴回数も増えたという。若い世代の参加をどう促すかについては長年の課題だったが、オンライン化により集客効果を上げることができた。

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2020年度は全面オ ンラインで開催。若い 人たちの参加・視聴が 増えた

YouTube LiveとZoomで展開
今回のホームカミングデーは「世界の校友と共に」のテーマのもと、全プログラムをYouTube Live2チャンネルとZoom1チャンネルの合計3チャンネルで展開した。

YouTube Liveチャンネル1では「世界の校友と同時中継!まさにいま現地の様子は?」や「宇賀なつみのカンパイ!赤裸々生トーク」など、ライブで配信。ゲストを招いた番組も配信した。

チャンネル2では「RIKKYO COOKING CLASS」や「理学部実験教室」など、動画で学べるプログラムで構成した。

一方、Zoomでは「DJ OSSHY LIVE RIKKYO FAMILY DISCO」を中継。

再生回数は、ホームカミングデー終了時は、3チャンネル合計で約1万回。ホームカミングデーが終わったあとも視聴があり、現在でも再生回数は伸びている(チャンネル2の各動画は、終了後アップし直したため、再生回数は少なく表示されている)。

「チャンネル1は配信時、最大で500名近い方が同時にアクセスしていました。これまでのホームカミングデーでは、1つのイベントに500名集まることは少なかったので、オンラインにしたことによって多くの方に見てもらうことができたと考えています」

オンライン開催 メリットを実感
全面オンライン開催するにあたり、悩みもあった。

「コロナ禍で、学生もなかなかキャンパスに来られず、様々な制限を強いられている中で、卒業生向けに楽しさを求めるイベントを企画してもよいのか、という葛藤はありました。しかし、自粛ですべての動きを止めてしまうよりも、学生たちにも学びとなり、楽しめるコンテンツ作りをしようという方針で準備を始めました。終了後もオンライン視聴できることには歓迎の声が多く、非常に嬉しく思いました」

校友会では、今回のオンラインホームカミングデーで経験したことを活かし、ほかの校友会行事(若手校友を対象に行っていた「若手校友交流会」や「ヨガ教室」など)においても、オンラインで再開していくことを検討している。

事務局には、次回以降のホームカミングデーも、オンラインと対面を併用した開催を望む声が多く寄せられている。

「対面で楽しめないことは寂しいことですが、オンライン開催のメリットを多くの方が実感した結果だと思っています。どのような状況においても校友とのつながりを継続していくことが校友会の使命です。どのようなことができるのか、さらに検討していきたいと考えています」

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年12月7日号掲載

(執筆 蓬田修一)







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【第79回】ICTキャンパス 神田外語大学「オンラインで2021年度入学者選抜 Zoomや専用システムなどで実施」 2020年11月2日




新設学部も対象に
10月3日・4日に実施

オンラインによる入学相談や説明会が増えている。

千葉市にある神田外語大学は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として、10月3・4日の2日間、2021年度の入学者選抜をオンラインで実施した。

オンライン入学者選抜を行ったのは、外国語とグローバルリベラルアーツの両学部。1987年に開学した同学は、これまで外国語学部のみであったが、2021年4月、グローバルリベラルアーツ学部が新設される。

外国語学部では、英語テスト(英語リスニング、英文法)を、専用のオンライン試験システムを使って実施した。

グローバルリベラルアーツ学部では、リフレクションシート(振り返り)の記入をGoogleフォームを使用して実施。

それに加え、両学部共通の試験として、プレゼンテーション、質疑応答、面接を、Zoomで行った。

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Zoomや専用システム・Googleフォームでオンライン入試を行った

自宅の個室で受験
不正防止にAI活用

受験生は、自宅などで受験した。受験生は事前に、ウェブカメラとマイクの環境が整ったノートPCまたはデスクトップPCを準備。スマートフォンの使用は原則として禁止とした。

英語リスニングや質疑応答・面接を行う際、明瞭な音声を確保するため、受験生にはイヤホン、ヘッドホンあるいはヘッドセットを使用するよう伝えた。

また、予期しないアクシデントに備えるために、電話連絡が可能な固定電話や携帯電話などの連絡手段の確保も求めた。

受験生に安心してオンライン試験に臨んでもらうため、9月30日と10月1日に、事前接続テストを行うと共に、オンライン英語テスト体験サイトや試験ガイドラインも公開した。

受験当日は、個室で受験することとし、試験中の第三者の同席や、途中退席は認めない。

大学側が指定した受験環境が保持できれば、自宅だけでなく、自宅以外の場所でも受験可能とした。

AIが監視する試験システムを導入
外国語学部において行った英語リスニングと英文法からなる英語テストは、早稲田大学発のベンチャー企業である株式会社空間概念研究所が開発したオンライン試験システムを利用。

同社は、東京・新宿区に本社を置き、第二言語習得に関わる教授法や、次世代型の検索エンジンなどの開発を行っている。

今回の英語試験で導入したシステムは、不正防止のためAIを活用。システムが受験生の様子を撮影し、不審な動きがないかAIが判断するようにした。

事前登録した顔写真と同一人物が受験しているかもAIが確認する。

1問ずつ制限時間を設け、時間内に解答がなかった場合は、自動的に次の問題に移行する仕様。

Zoomでプレゼン・質疑応答・面接
プレゼンテーションはZoomを活用。データ化した資料を見せながらプレゼンを進めるときは、Zoomの「画面共有」機能で映すようにした。

GLA学部においては、プレゼン終了後に、自身のプレゼンを振り返るリフレクション(振り返り)を行った。

受験生はリフレクションした内容を、大学側が指定したGoogleフォームに入力し送信した。その後、質疑応答・面接をZoomで行った。

11月にも、オンラインでの入学者選抜を実施していく。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年11月2日号掲載

(執筆 蓬田修一)







Posted on 2025-12-05 | Category : コラム, 大学教育 | | Comments Closed

【第78回】ICTキャンパス 龍谷大学「進化するオープンキャンパス 27時間オンライン放送で参加者増」 2020年10月5日




受験生向けアプリDLが2・5倍に
龍谷大学は今年(2020年)8月1日から2日にかけて、27時間連続オンライン放送のオープンキャンパス「Ryukoku 27 hours Live」を実施した。総視聴数は約5万7000。昨年同時期のオープンキャンパス参加者数1万4684人を大きく上回った。

一部イベントの参加に必須となる同学独自の受験生向け入試情報アプリ(ru navi)のダウンロード数は、2日間合計で約5000件。昨年同時期のオープンキャンパス比で約2・5倍となった。

今回のオープンキャンパスを担当した龍谷大学入試部では「アプリをダウンロードしているのは純粋に高校生である可能性が高く、例年より多くの高校生と接点構築できたと考えています」と、実施効果について話している。

告知・集客は、大学公式アカウント、イベントに登場してもらった著名人、有志の在学生からなる運営サポートチーム(呼称:アドミッション・サポーター)のSNS(Twitter、LINE、Instagramなど)が中心だ。

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27時間連続オンライン放送オープンキャンパス「Ryukoku 27hours Live」の配信の様子

大学認知のきっかけをより広く提供
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、オンラインによるオープンキャンパスを行う大学は多い。その中で「27時間連続オンライン放送」とした理由について、「コロナ禍により、大学と高校生の接点が難しい現状で、まずは大学を知ってもらうきっかけを広く提供する必要性があると考え、他大学や従来イベントとは異なる切り口で、オンラインの特性を活かして本学の魅力を発信したいと考えました」と語る。

番組は、キャンパスの様々な場所からのライブ配信と収録映像により構成した。

外部からの視点を取り入れた企画が人気
入試情報などの受験生ニーズに直結するテーマだけでなく、高校生が興味を持つような音楽、スポーツ、グルメなど多彩なテーマによるコンテンツを配信した。

時間や場所の制約が少ないオンラインの特性を活かして、普段のオープンキャンパスでは見せることが難しい、ライトアップされた夜のキャンパスの様子も中継した。

視聴した高校生から特に人気の高かった番組は「キャンパス探訪」や、教員の研究内容を深掘りする企画だ。

いずれの企画も、各方面で活躍している著名人と、在学生・教員の掛け合いで番組が展開された。

「普段のイベントでの大学紹介とは違う、外部からの視点を取り入れたことで、高校生の興味・関心をうまく引き出せたと感じています」

オンラインとリアルのハイブリッド型目指す
例年のオープンキャンパスで、参加者の満足度が一番高いのは、先輩学生との交流だ。

今回も人同士のパーソナルなつながりを大事にしたいという想いから、アドミッション・サポーターに企画・運営面において全面的に参加してもらいながら、高校生と先輩学生との交流企画を積極的に展開した。

参加した高校生の属性については、従来のオープンキャンパスと比べ、居住地に大きな変化がないものの、3年生の比率が高まった。

「コロナ禍で受験に不安を抱える高校生の積極的な視聴があったことが要因と考えられます」
次年度以降のオープンキャンパスについては、オンラインイベントの利点を取り入れながら、リアル開催とのハイブリット型を想定し、具体化していく計画だ。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年10月5日号掲載

(執筆 蓬田修一)







Posted on 2025-12-04 | Category : コラム, 大学教育 | | Comments Closed