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【第83回】ICTキャンパス 関西学院大学「病気療養中の子供に5G、VR、ARで遠隔授業」 2021年3月1日





富士通と協力してプロジェクト推進
関西学院大学教育学部の丹羽登教授は、富士通などとともに、病気療養中の子供などに向けて、次世代無線高速回線(5G)、VR、AR(Augmented Reality)を活用した遠隔授業プロジェクトを進めている。

これまでも、病気療養中や不登校などで通学困難な児童や生徒に対して遠隔教育の弾力的な運用などが行われてきた。しかし、こうした児童・生徒の実態や環境は多様で、個々の子供の実情に応じた効果的な遠隔授業は、今なお課題の1つ。そこで今回は「らくらくホン」に代表される使いやすい機器の開発や、知的障害児向けにアプリ開発などを手掛けてきた富士通とプロジェクトを進めることとなった。

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VRゴーグルを装着 して、水中ドローン を操作

水中ドローンで遠隔校外学習
2019年度は、次の3つの事業に取り組んだ。

① 最新技術で教員研修
遠隔地からの円滑な教員指導を目指し、大阪と東京を5Gで結び、模擬授業の実施と視聴を行った。関西学院大学と京都ノートルダム女子大学の学生が授業者役と生徒役に分かれてドコモ大阪5Gラボで、模擬授業を実施。その様子を全天球カメラで撮影し、東京のドコモ5Gラボ四谷にいる学識経験者が視聴。模擬授業が行われた大阪5Gラボでも、教育委員会指導主事らが視聴した。

② 遠隔校外学習で水中ドローンを操作
神奈川県立横浜南養護学校(院内学級)と八景島シーパラダイスを結び、子供が病院内の教室から水族館の大水槽内に設置した水中ドローンを操作した。

操作する子供はVRゴーグルを装着。ドローンのコックピットにいるかのように、上下左右を見渡しながら操作できる。周囲の子供は、水槽前に設置したカメラから、水槽の様子を見ることができる。送信側である水族館は光回線、受信側である養護学校はLTE回線を使用した。

③ 沖縄の水族館を遠隔で見学
沖縄の水族館と東京都立光明学園そよ風分教室(病院内の学級)を5G回線で結び、水族館の職員がゲストティーチャーとして遠隔で分教室の子供にレクチャー。子供は、ゲストティーチャーがジンベイザメに餌付けしている様子を見た後、VRゴーグルやタブレット端末を使い、サメの水槽などの全天球映像を各自の好きな方向から見た。

産学連携でICT活用を提案
今後は、空中ドローンの遠隔操作や、海での水中ドローンの遠隔操作を実施する予定だ。

なお今年度は新型コロナウイルス感染拡大のため実施は中止した。

丹羽教授は「今の子供はYouTubeやTikTokなどで動画配信が簡単にできる環境で育ち、配信方法を試行錯誤しながら身につけています。しかし、学校教育はその大きな変化に応じた指導を行うことができていません。新技術を活用した授業を、多忙を極める学校の教員に今すぐ求めるのは難しいでしょう。病気療養中の子供だけでなく、学校教育全体においても、大学の教員が企業等と連携しながら、ICTを活用した取組を提案し、協力していくことは必要だと考えています」

今回の丹羽教授らのプロジェクトは、政府が企業や団体を表彰する「第4回ジャパンSDGsアワード」で「パートナーシップ賞(特別賞)」を、また一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会の「国際デザイン賞2020」で「金賞」を受賞している。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年3月1日号掲載

(執筆 蓬田修一)







Posted on 2025-12-05 | Category : コラム, 大学教育 | | Comments Closed
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