【第71回】ICTキャンパス 筑波大学「データサイエンス 全学生が必修 国内初」 2020年3月2日
国内初の取組 世界でも先駆的
筑波大学は、2019年度以降に入学したすべての1年次学生(約2100人)を対象に、必修科目「データサイエンス」を開講している。
幅広い領域の学部を擁する大規模総合大学において、すべての学生が必修科目として、講義形式とコンピュータ演習を組み合わせてデータサイエンスを履修するのは、同学によると、国内初。世界的にも先駆的な取組だと言う。
必修科目「データサイエンス」は50クラスを開講。同学情報学群を中心とする教員が授業を担当する。
授業では、コンピュータを1人1台で利用できる環境を整えている。
「データサイエンス」は全学生が必修。50クラスを開講している
基礎的技術から活用事例、倫理観まで
授業で扱う内容は、主に次の3点だ。
▼統計学およびデータ工学に基づく、コンピュータを利用したデータの収集、管理、可視化、分析に関する基礎的な技術の習得 ▼データサイエンスにおける人権の考え方やプライバシー保護など、データを扱う上で必須となる倫理観の学習 ▼介護・医療、生命、芸術、体育、人文、数学など各分野におけるデータサイエンスの活用事例。
活用事例はビデオ講義で学習。IoT、サイバーフィジカルシステム、人工知能など高度な情報技術を紹介している。なお、これらのビデオ講義は、オープンコースウェアとして一般にも公開されている。
多様な背景を持つ学生への動機付け
カリキュラム作成にあたり、大規模総合大学ならではの課題もあった。
同学「情報」推進室長を務める佐久間淳教授は「筑波大学は人文・理工から体育・芸術まで幅広い専門分野を学ぶ学生が在籍していますが、データサイエンスを学ぶ必要性を必ずしも感じていない学生が多くいると考えられ、多様な背景を持つ学生にデータサイエンスを学ぶ動機を与えることが課題でした」と話す。
そこで、スポーツ、介護、生命、メディアアート、人文学、数学の各分野において積極的にデータを活用した研究を行っている教員が、データサイエンスの重要性を啓蒙するビデオ講義を作成。
初回の授業において、学生の背景に応じてアラカルト形式でビデオを視聴してもらい、データサイエンスに興味を持ってもらえるよう工夫した。
教育効果を検証 人材育成に役立てる
同学は2019年度から3年間にわたって、必修科目「データサイエンス」の教育効果について調査していく考えだ。
調査内容は、授業の履修前後における、データサイエンスに関する基礎的知識の理解度や、データサイエンスを学ぶ動機の変化などを予定している。
およそ2100人に及ぶ様々なバックグラウンドを持つ学生の調査結果が得られることから、データサイエンスの教育効果を高める要因についての知見が深まることを期待している。
調査結果は学外とも共有し、日本におけるデータサイエンス人材育成の推進に役立てていく予定だ。
佐久間教授は「データサイエンスに主体的に取り組んでもらうためには、生きたデータを活用した実習課題を用意することが重要です。今後は、様々な専門分野を志す学生の興味に合わせたデータと実習課題を作成していければ」とこれからの展望を話した。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年3月2日号掲載
(執筆 蓬田修一)
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