【第99回】ICTキャンパス 和歌山大学「地元企業や官庁と連携 データサイエンス教育」 2022年7月4日
左から、株式会社紀陽銀行頭取 松岡靖之氏、国立大学法人和歌山大学学長 伊東千尋氏、紀陽情報システム株式会社代表取締役社長 島慶司氏
全学部生を対象に遠隔授業を実施
和歌山大学は、全学部の学生を対象にデータサイエンス教育を行っている。
1年次を対象とした「データサイエンスへの誘いA/B」は文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)」に認定。リテラシーレベルの授業で、統計の基本的内容、エクセルなどの分析ツールを用いた統計処理、社会での活用事例などを学ぶ。
2年次に履修する「データサイエンス基礎」は、Pythonのプログラミングとデータ分析の方法を学ぶ。
「データサイエンス応用」では、テキストマイニングが中心だ。テキストの特徴抽出や分類などを、SNS、新聞記事、書籍、論文などのテキスト情報を使って行う。
これら「データサイエンスへの誘いA/B」「データサイエンス基礎」「データサイエンス応用」は、全学部を対象としており、オンデマンド型の遠隔授業で行っている。
週1回、動画を含む教材を配信。学生は1週間以内に教材を学習し、課題を提出しなければならない。
3年次「数理・データサイエンス・AI活用PBL」は、異なる学年、学部の学生が協力してデータ分析を行い発表するものだ。このほか人工知能についての講義も開設されている。
学生へのサポートには力を入れており、特に「データサイエンスへの誘いA/B」は、複数の教員(各授業3名)と、大学院生ティーチングアシスタント(各授業5~6名程度)がチームで対応する。
Microsoft Teamsを用いて、学生からの質問や相談にオンラインで対応。独自開発のLINEボットアプリも活用している。
「Teamsは自動応答機能や、質問や相談の内容(学生と教員のやりとり)をほかの受講生と共有できる機能を備えており、授業でのコミュニケーション増加につながっているようです」(和歌山大学データ・インテリジェンス教育研究部門長 吉野孝教授)
使用するデータは匿名加工済み
同学では、官公庁や企業と連携・協力して企業データなどを活用し、学生の能動的な活動を促すような取組に力を入れており、地元である和歌山市に本社を置くチェーンスーパーである株式会社オークワから、匿名加工済みの商品販売データ(POSデータ)の提供を受け、授業で活用している。
システム工学研究科及び経済学研究科の大学院生向けの「実践的データマイニング1」でも、オークワのPOSデータを活用。講義にオークワの情報分析担当者が常駐し、実際のデータ分析により近くなるようサポートする。
「実践的データマイニング2」では、地元銀行の紀陽銀行から提供を受けた匿名加工済みのデータを利用している。こちらも講義中、紀陽銀行の担当者が常駐。実際の問題解決につながることを目指したデータ分析を行う。
官公庁関連では、総務省統計データ利活用センターの協力により、公的統計データを利活用して具体的な事例をもとにした講義を行っている。
地域の生データで学生の能動的活動促す
吉野教授は「さまざまな企業や経済団体などと協働し、地域に潜在するデータなどから、教育に利用可能なリソースを発掘して、学生が触ることができる魅力的な公開資源として整備することが重要だと考えています」と話した。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年7月4日号掲載
(執筆 蓬田修一)
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