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漫画(マンガ)研究の学問的論点を具体例とともに





漫画(マンガ)は現在、学問の世界でも活発に研究の対象となっている。

研究分野は多岐にわたり、文学、メディア論、ジェンダー論、社会学、美術史、文化研究などと密接に関わる。

以下、主な学問的論点を具体例とともに紹介する。

① ナラティブ(物語)構造の分析

■論点:漫画独自の時間・空間の表現方法、コマ割り、視線誘導などが、どのように物語を構築しているか。

■具体例:手塚治虫『火の鳥』シリーズは、コマ割りを通して時間の流れや哲学的主題を表現し、文学的・視覚的にも高度な作品とされている。

→ 「視覚的文法(visual grammar)」としての漫画表現が分析対象となっている。

② ジェンダーと表現の研究

■論点:漫画における性別・セクシュアリティの表現は、現代のジェンダー論と深く結びつく。

■具体例:『ベルサイユのばら』(池田理代子)は、1970年代に少女漫画で「男装の麗人」オスカルを描き、フェミニズム的文脈で再評価されている。

また、BL(ボーイズラブ)漫画は異性愛中心の社会に対する一種のカウンター文化としても研究される。

③ 戦争・記憶・歴史との関係

■論点:漫画は国家や社会の記憶・歴史を語るメディアでもあり、ナショナル・アイデンティティの形成にも関与している。

■具体例:水木しげる『昭和史』や『総員玉砕せよ!』などは、戦争体験と語りの伝承において重要な資料とされ、歴史学や記憶研究で参照される。

④ グローバル化と文化輸出

■論点:日本の漫画が世界中に広がる中で、翻訳・受容・文化的誤読などがどのように起こるのか。

■具体例:『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』は、海外での人気を通じて日本文化のソフトパワーの一端を担っており、国際文化論の中で分析されている。

⑤ メディア産業と読者文化

■論点:漫画はメディア産業の一部であり、出版形態、読者とのインタラクション、ファン活動との関係性も研究対象。

■具体例:『ジャンプ』など週刊誌文化は、「読者アンケートによる人気競争」や「連載打ち切り制度」といった商品化と作家の創作活動の緊張関係が論じられる。

また、二次創作文化(同人誌など)も社会学的に研究されている。

⑥ 日本文化とアイデンティティ

■論点:「日本らしさ」や「伝統と現代性の融合」がどのように漫画を通じて表現されているか。

■具体例:『夏目友人帳』や『もののけ姫』などは、妖怪や自然観を通じて日本の文化的無意識を表現しているとされ、文化人類学的な視点で注目される。

(M&C編集部 2025/8/4)




Posted on 2025-08-04 | Category : コラム, マンガの現在 | | Comments Closed
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