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中国共産党は、なぜ「え?」と思う発信を堂々とするのか





2025/02/26
M&C・蓬田修一

最近のニュースを見ていると、中国政府、特に中国共産党の発言に対して「それはさすがに無理があるのでは?」と感じることがあると思います。歴史の話や国際ルールについて、世界の多くの国が共有している考え方と、かなり違う主張をしているからです。では、なぜ中国共産党はそうした発信をためらわずに続けるのでしょうか。

まず大事なのは、中国共産党は、ふつうの「政権を担当する政党」とは違う、という点です。中国共産党は今でも自分たちを「革命を進める政党」だと考えています。つまり、「自分たちは社会を正しい方向に導いている」「歴史の流れを分かっている存在だ」という意識がとても強いのです。そのため、事実そのものよりも、「党にとって正しい考え」を優先する傾向があります。外から見ると事実を曲げているように見えても、本人たちは「正しい主張をしている」と本気で考えている場合があります。

次に、中国の発信は、外国よりも国内の人たち向けであることが多い、という点も重要です。中国では長い間、「中国は外国から不当に扱われてきた」という考え方が教育やメディアを通じて広められてきました。そのため、強い言い方で外国に反論する姿は、「国を守っている」「頼れる政府だ」というイメージにつながります。世界からどう見えるかより、中国国内でどう受け止められるかの方が大切なのです。

さらに、今の中国では権力が一人の指導者に強く集まっています。上の人の考えに逆らうことはとても難しく、政府の関係者は「正しいかどうか」よりも「指導者の考えに合っているか」を重視して発言するようになります。その結果、発言がどんどん強くなり、現実とかけ離れてしまうこともあります。

最後に、とても大事なポイントがあります。それは、中国共産党には「矛盾をきちんと整理して修正する」という考え方があまりない、という点です。

私たちはふつう、間違ったことを言ったら訂正したり、説明を加えたり、場合によっては謝ったりしますよね。でも中国共産党の場合、そうした対応はあまり取られません。なぜかというと、中国共産党の考え方の土台には、レーニン主義と呼ばれる思想があり、「論理的に正しいか」よりも「政治的に効果があるか」が重視されてきたからです。

そのため、過去の発言とつじつまが合わなくなったり、事実と食い違っていると批判されたりしても、「それは間違いでした」と修正するのではなく、さらに強い言葉で新しい主張を出して上書きするというやり方がよく使われます。矛盾を直すのではなく、「別の物語」を出して乗り越えようとするのです。

外から見ると、「前と言っていることが違う」「説明になっていない」と感じることが多いのは、このためです。でも中国共産党の中では、「党の立場を守ることができれば、それでよい」という考え方が優先されます。

この点を知っていると、中国の強気な発言や、国際的な批判をまったく気にしないように見える態度も、「なぜそうなるのか」が、かなり理解しやすくなると思います。国際ニュースを見るときには、「論理よりも政治効果を重視する文化がある」という視点を持つことが、とても役立ちます。

こうして見ると、中国共産党の発信は「変だから」「うそだから」と片づけるより、「そういう考え方と仕組みを持った組織だからだ」と理解した方が、ニュースが見えやすくなります。国際情勢を考えるときは、「誰が、誰に向けて、何のために言っているのか」を考えることがとても大切です。




Posted on 2025-12-26 | Category : コラム, 国際情勢 | | Comments Closed
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