新春の漢詩 「富士山」 江戸 石川丈山
[訳:蓬田修一]
[漢文]
富士山 江戸 石川丈山
仙客来遊雲外巓
神龍栖老洞中淵
雪如紈素煙如柄
白扇倒懸東海天
[書き下し]
富士山 江戸 石川丈山(いしかわじょうざん)
仙客(せんかく)来(きた)り遊ぶ雲外(うんがい)の巓(いただき)
神龍(しんりゅう)栖(す)み老(お)ゆ洞中(どうちゅう)の淵(ふち)
雪は紈素(がんそ)の如(ごと)く煙は柄(え)の如し
白扇(はくせん)倒(さかしま)に懸(か)かる東海(とうかい)の天(てん)
[現代語訳]
富士山 江戸 石川丈山
仙人が舞い降りて遊ぶ 雲の上にそびえる富士山の頂き
神龍がひそんでそのまま老いてゆく 洞穴(ほらあな)の淵(ふち)
(山頂の)雪は練り絹のように白く 立ち上る噴煙は扇の柄(え)のように長い
白扇がさかさまに懸かる 東海の空
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