Home > コラム, 漢文のこころ > 新春の漢詩 「富士山」 江戸 石川丈山 

新春の漢詩 「富士山」 江戸 石川丈山 


[訳:蓬田修一]

[漢文]

富士山 江戸 石川丈山

仙客来遊雲外巓
神龍栖老洞中淵
雪如紈素煙如柄
白扇倒懸東海天

[書き下し]

富士山 江戸 石川丈山(いしかわじょうざん)

仙客(せんかく)来(きた)り遊ぶ雲外(うんがい)の巓(いただき)
神龍(しんりゅう)栖(す)み老(お)ゆ洞中(どうちゅう)の淵(ふち)
雪は紈素(がんそ)の如(ごと)く煙は柄(え)の如し
白扇(はくせん)倒(さかしま)に懸(か)かる東海(とうかい)の天(てん)

[現代語訳]

富士山 江戸 石川丈山

仙人が舞い降りて遊ぶ 雲の上にそびえる富士山の頂き
神龍がひそんでそのまま老いてゆく 洞穴(ほらあな)の淵(ふち)
(山頂の)雪は練り絹のように白く 立ち上る噴煙は扇の柄(え)のように長い
白扇がさかさまに懸かる 東海の空


 

Posted on 2014-12-26 | Category : コラム, 漢文のこころ | | Comments Closed
関連記事