春の和歌 「世の中に 絶(た)えて桜の」 古今和歌集 在原業平朝臣(ありはらのなりひらあそん)
[訳:蓬田修一]
渚院(なぎさのゐん)にて桜をよめる
世の中に 絶(た)えて桜の なかりせば
春の心は のどけからまし
古今和歌集 在原業平朝臣(ありはらのなりひらあそん)
[現代語訳]
渚院(なぎさのいん)で桜を詠んだ歌
世の中に まったく桜が なかったとしたら
春の気持ちは のどかなものであったに違いない
[ひとこと解説]
渚院(なぎさのいん)は、惟喬(これたか)親王の別邸があった場所。業平は親王におともし、別邸に行った際、この歌を詠んだ。
業平は親王と親しく交誼を結んでいた。
惟喬(これたか)親王という人は悲運の人で、文徳天皇の第一皇子であるから、本来だったら皇太子になってもよかったのだが、母親が当時、権勢を誇っていた藤原家の出身ではないため、皇太子にはなれなかった。
この歌は、桜への思いをそのままストレートに歌に託すのではなく、「なければ、どんなにか人の心は穏やかだろうに」と逆説的に詠んでいる。
現代でも、好きな異性が目の前に表れたとき、恋いこがれて気持ちが上の空になってしまい、「あの人がいなければ、どんなにこころが楽だろう」と思うのと似ている。
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