美術展にデジタルサイネージ

中国企業日本法人が美術館に売り込み
最近、美術館や博物館の展覧会を見ていて気づくのは、展示技術や手法が進歩していることです。

先日、幕張メッセで開催された見本市「デジタルサイネージジャパン2017」を取材したとき、美術品の展示に関する面白い出品物を見つけました。

「IoTインタラクティブ透明ディスプレイシステム」という製品です。(下の写真)

展示ケースの正面ガラス部分がデジタルサイネージになっていて、ガラスに映っている案内を指でタッチすると、いろいろなコンテンツ(作品の詳細解説など)がガラスに表示されます。

また、ガラスにはデジタル処理された展示作品の画像も映し出されて、画像を指で回すことで、いろいろな角度から作品を見ることができます。

出品者は中国企業の日本法人BOEジャパン。ブースにいた同社の社員に話を聞くと、中国では、すでに北京の故宮博物館には導入されているとのことです。

日本の美術館や博物館に対しても、いま売り込み中だそうです。

こうしたインタラクティブ性が高い展示手法は、特に子供向けの展示には、とても有効だと思います。

もちろん、おとなが対象の美術展でも、活用アイデアによって導入効果が高いでしょう。

美術館や博物館の展示ツールには、今後、大きく変化していく可能性があると改めて思いました。

(text & photo:M&C編集部 蓬田修一)

※2017年6月24日発行の「M&Cメールマガジン」に記載した文章を、一部変えています。

Posted on 2017-12-13 | Category : しあわせマーケティング, アートに誘われて, コラム | | Comments Closed

美術展では列に並んで見る?

皆さんは美術展で作品をどのようなスタイルで鑑賞していますでしょうか?

何人かのメルマガ読者の方から、作品の前に列になって作品を鑑賞するスタイルがどうも納得できないという旨のご意見をいただきました。

私も鑑賞するときは、基本的に列には並びません。

会場に入ったら全体を見渡して、目に入った気になる作品に向かって一直線。

そのあとは、気になった作品を見るために、会場の中をあちこち移動するような感じで鑑賞しています。

お目当ての作品の前に列ができているときは、列に並んでいる人の肩越しに作品を見る場合も多いですけれど、別に私は気にしません。

超人気作品で「作品の前で立ち止まらないでください」と係員が呼びかけている作品は、残念な気持ちもありますが見ません。

列に並んで見ている人たちの頭越しや肩越しでも、本物を近距離で見られたというだけで感動することも多いです。

鑑賞スタイルは人それぞれで宜しいと思いますが、お目当ての作品まで、列に並びながらいっしょに来た人とおしゃべりして、お目当ての作品はチラリと見るという人たちもいるらしいです(メルマガ読者の方が教えてくれました)。

並んでいる途中、ほかの作品も見てあげたらいいのになぁ、と思ってしまいました。
(text:M&C編集部 蓬田修一)

※2017年7月31日発行の「M&Cメールマガジン」に記載した文章を、一部変えています。

Posted on 2017-12-10 | Category : アートに誘われて, コラム | | Comments Closed

仏像を美術館で鑑賞するということ

東京国立博物館で開催された「運慶展」が大変な人気でしたね。

同展の特設ツイッターなどでは、会場に入るまでの待ち時間が随時告知されていました。

たまたま見たときは、金曜日でしたが夜7時の時点でも20分待ちでした。

私は土曜日の夜に行ったのですが、幸いその日は待つことなく入れました。

仏像には詳しくありませんが、展示されていた仏像の素晴らしさは心に響いてきましたが、正直を申しますと、違和感を覚える部分もありました。

それは、本来はお寺の中にある仏像を、美術館で鑑賞するという行為についてです。

仏像の展覧会については、仏像は拝むものであって、美術館においては、どういう気持ちで鑑賞したらいいのか、よく整理がつかない面がありました。

今回の「運慶展」の会場でも、ある中年の男性はひとつひとつの仏像に対して、鑑賞する前に正面から手を合わせて拝んでいました。

私はそれを見て「そうだよな~ それが本来だよな~」と思いながらも、そうする勇気も信仰心もなく、それでも展示されていた仏像の素晴らしさに心打たれて帰宅したのですが、どこかすっきりしない気持ちも残っていました。

数日後、「日本美術 傑作の見方・感じ方」(田中英道著)を読んでいたところ、その本の中に、宗教的作品について「宗教的な、あるいは「文化財」的な意味での価値は、現代に生きる私たちにとって二次的な要素にすぎません」と書かれていました。

それを読んでからは、自分の宗教美術に対する気持ちが少し整理されたような気がしています。

これからは、仏像も信仰の対象としてだけではなく、美術品としてもその美的価値を自分なりに捉えていけたらと思っています。
(text:M&C編集部 蓬田修一)

※2017年11月24日発行の「M&Cメールマガジン」に記載した文章を、一部変えています。




Posted on 2017-12-09 | Category : アートに誘われて, コラム | | Comments Closed

パリの全体像に迫りながら、社会と美術作品の関係を考える

来場者数1万5000人以上
フランス・パリの全体像に迫る「19世紀パリ時間旅行-失われた街を求めて-」が、東京の練馬区立美術館で2017年4月16日から6月4日まで開催されました。

文学者の鹿島茂氏のコレクションを中心した出品物で、会場は構成されました。

第1章 パリ、変貌の歴史
第2章 タブロー・ド・パリ
第3章 ナポレオン3世とセーヌ県知事オスマンのパリ大改造
第4章 1870年、新しいパリ

という4章構成で開催された今回の展覧会は、鹿島氏の連載「失われたパリの復元」(芸術新潮)をもとに展開されたものです。

展示品を見ていくと、社会の変化は芸術作品に大きく作用することが分かります。

練馬区立美術館 学芸員の小野寛子氏は、同展のカタログの中で「美術作品と対峙する際、美術史の文脈を意識することはあっても、社会の変化がどのように芸術活動に作用しているかについては見落としがちではないだろうか」と書いています。

社会の変化と美術作品の関係を考えるのに、大いに参考になる展覧会でした。

もちろん、約300点にも及ぶ展示作品を通して、19世紀パリの姿をイメージすることもできました。

来場者数は、鹿島氏のツイッターによれば、1万5000人を超えたと言います。

自治体の美術館で開催される美術展としては、異例の人数ではないでしょうか。

かねがね、美術作品を深く楽しく鑑賞するには、作品が生まれたときの社会的・歴史的な背景が大切だなと思ってきました。

今回の美術展にたくさんの人がつめかけたのは、そうした思いを持っている人がたくさんいることを物語っているのかもしれません。




Posted on 2017-06-08 | Category : アートに誘われて, コラム | | Comments Closed

驚くべき見世物小屋ワールド

今回の展示会場の外観。実際の見世物小屋のように、周囲を壁で囲んで絵看板を掲出し、見世物小屋の雰囲気を醸し出している。

今回の展示会場の外観。実際の見世物小屋のように、周囲を壁で囲んで絵看板を掲出し、見世物小屋の雰囲気を醸し出している。


安田里美「人間ポンプ」映像が見られる貴重な機会
昭和の中頃まで、全国各地のお祭りや縁日には、見世物小屋が建ちました。私が子どもの頃(昭和40年代)、近くの大きなお寺では、境内に見世物小屋が建ち、恐ろしげな絵看板をいくつも高く掲げて興行していました。

大学に入ってからも、新宿の花園神社の境内には、見世物小屋が建ち、呼び込み口上が響いたのを覚えています。

私は、中に入ってみたい気持ちがあった反面、子どもの頃は怖くてとても入る勇気はなく、大学生の頃はいかがわしさも感じていたのでしょうか、結局、小屋の中に入ることはありませんでした。

今思うと、見世物小屋の世界を体験しておけばよかったと残念な気持ちです。そうした気持ちもあって、見世物小屋の興行が途絶えて以来、ずっと気にかかっていました。

そうしたところ、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)で、見世物小屋をテーマにした展覧会が開催されていることを知り、早速見に行きました。(展覧会名称:特集展示「見世物大博覧会 現代編」、会期:2017年4月18日(火)~7月17日(月祝))。

会場には、実際の見世物小屋で使用されていた絵看板(看板絵師の志村静峯の作品)やチラシ、切符などのほか、安田里美(大正末期から現在まで続く見世物小屋の興行主、安田興行社の2代目)芸で使っていた小道具も展示されています。

中でも注目は、安田里美が演じる「人間ポンプ」の映像放映です。飲み込んだ金魚を、釣り針を使って釣り上げる芸など、安田里美の往年の芸が見られます。

今回の展覧会は「特集展示」ということで、通常展示室の中に特別に作られた部屋で行われています。展示エリアは1部屋のみの小さな規模ですが、展示品はほかでは見る機会がほとんどない貴重なものばかりです。

今回の展覧会で、長年見たいと思いながら叶わなかった見世物小屋の芸を見ることができ、また、展示してある史料も、イベントの歴史的な観点から、あるいはデザインの観点から興味深く、大変に見応えがありました。

見世物小屋に入ったことのある年配の人にとっては懐かしく、見世物小屋を知らない世代の人にとっては驚きの展覧会だと言えるでしょう。

マーケティングやイベントの仕事に関わる人には、かつて行われていた見世物小屋という歴史的事実を通して、新たなヒントやインスピレーションが湧いてくるかもしれません。

また、展示されている絵看板や資料は、今見るとデザインがとても魅力的です。イラストレーターなどのビジュアル関係の人にとっても感性に響く展示品が並んでいると思います。
(TEXT:Media &Communication 蓬田修一)

特集展示「見世物大博覧会 現代編」
会期 2017年(平成29年)4月18日(火)から7月17日(月・祝)まで
会場 国立歴史民俗博物館 第4展示室 副室
観覧料 一般420円(350円)、高校生・大学生250円(200円)、中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
※総合展示もあわせて観覧できます。
※毎週土曜日は高校生は入館無料

Posted on 2017-05-17 | Category : しあわせマーケティング, アートに誘われて, コラム | | Comments Closed

GINZA SIX 売り場面積4万7000㎡ 目標年商600億円

GINZA6

松坂屋の売り場はなし
2017年(平成29年)4月20日、松坂屋銀座店(2013年6月に閉店)の跡地にGINZA SIXがオープンしました。

地下2階~地上6階と13階の一部が商業施設で、売り場面積は約4万7000㎡、7階~12階と13階の一部はオフィスです。館内には国内外の241ブランドがテナントとして出店しています。

上の写真は、GINZA SIXの中央通り沿いの外観です。写真にはすべて写っていませんが、中央通り沿いには6つの高級ブランド店が並び、各店のファサードデザインが異なっています。

写真に見える角の店舗はFENDIです。ファサードデザインがロマネスク様式の建築物のようであり、中国などアジア各地にある仏教の石窟寺院のようでもあります。

松坂屋は、商業モールとしてのGINZA SIXの運営を行い、事業収益を上げていきます。GINZA SIXには松坂屋の売り場はありません。ちなみに、GINZA SIXの事業主体は、J.フロント リテイリンググループの中核企業である大丸松坂屋百貨店、森ビル、L キャタルトン リアルエステートおよび住友商事の4社の共同出資によるGINZA SIXリテールマネジメントです。

GINZA6 草間彌生

吹き抜けの天井には、芸術家草間彌生の大きな作品がディスプレイされています(上の写真)。

館内には、ほかにもアート作品がディスプレイされているほか、6階には蔦谷書店があり、GINZA SIXはアートや文化にも力を入れています。地下3階には能楽堂もあります。

GINZA SIXの目標年商は600億円で、年間来館者は2000万人が目標です。

目標年商についてですが、単純計算すると、2000万人の来館者全員がひとり3000円買い物すると600億円になります。

ただ、来館者全員が買い物をするわけではありませんし、目標年商には外商や法人営業なども含まれているでしょう。どのくらいの年商を上げていくのか注目したいです。
(TEXT、PHOTO:Media &Communication 蓬田修一)




Posted on 2017-05-16 | Category : しあわせマーケティング, アートに誘われて, コラム | | Comments Closed

約4000点のアート作品が揃う「Amazonファインアート」

Amazonファインアートのトップページ


[text:蓬田修一]
アマゾンジャパンは2015年(平成27年)3月19日、アート作品を取り扱う「Amazonファインアート」のサービスを開始した。

オリジナル1点物あるいは数量限定(エディション数300以下)の作品のみを扱う。作品カテゴリーは、絵画、版画、写真、ドローイング、混合メディアの5つ。数千円の手頃な価格から数百万円の高額商品まで約4000点のアート作品が販売されている。

協力ギャラリー(2015年3月19日時点)
1. @GALLERY TAGBOAT
2. DMOARTS
3. FOIL GALLERY
4. G/P gallery
5. HOUSE OF ART
6. imura art gallery
7. KIDO Press
8. MORI YU GALLERY
9. SCAI THE BATHHOUSE
10. WALLS TOKYO
11. Yoshiaki Inoue Gallery
12. ギャラリーファインアート
13. ザ・トールマン コレクション
14. 小宮山書店
15. 小山登美夫ギャラリー
16. 双ギャラリー
17. 泰明画廊




Posted on 2015-03-23 | Category : アートに誘われて, ギャラリー, コラム | | Comments Closed

「上野東京ライン」開業記念 「UENO WELCOME PASSPORT」 東京国立博物館など上野3ミュージアムお得な共通入場券

上野パスポート

[text:宮川由紀子]

JR東日本「上野東京ライン」の開業を記念し、東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館の3館がお得な料金で入れる共通入場券「UENO WELCOME PASSPORT」が、2015年(平成27年)3月14日(土)に発売されます。

この入場券は、2015年3月14日(土)から5月31日(日)の期間中、3館の常設展/総合文化展が各館1回観覧できるものです。3万部の限定販売です。3つのミュージアムと上野観光連盟が協力して、今回初めて実現しました。

「パスポート」をイメージした小冊子の形状で、上野にあるさまざまな文化施設、商業施設を含めて楽しんでいただけるよう、主要な文化施設の情報などが掲載されているほか、入国審査のようなスタンプラリー(オリジナルプレゼント付)も盛り込まれています。購入すると、江戸すごろくを模した上野周遊マップの付録も付いてくるそうです。

今回発売される共通入場券は、各館の大人料金で入場される方を対象としたものですが、3館とも中学生以下は無料となっていますので、この機会に「パスポート」を持って、親子で「文化の街・上野」を巡ってみるのもオススメです。

共通入場券「UENO WELCOME PASSPORT」概要
販売および利用期間
 2015年3月14日(土)~5月31日(日)
※限定30,000部、売切次第販売終了
販売場所 各館の窓口及びエキュート上野、浅草文化観光センター 他
販売価格 1,000円(税込)
利用対象館 東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館




Posted on 2015-02-27 | Category : アートに誘われて, ギャラリー, コラム | | Comments Closed

日常の中の「美」を再発見 「ルーヴル美術館展」

[text/photo:蓬田修一]

東京・六本木の国立新美術館で「ルーヴル美術館展 日常を描く-風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」が開催中だ(会期=2015年2月21日~6月1日)。日本でのルーヴル美術館の絵画展は6年ぶりの開催である。

今回の展覧会は風俗画にフォーカスして構成されているのが特徴だ。風俗画とは何を指すか、専門的には定義するのが難しい面もあるようだが、ここではひとまず“日常を描いた作品”としておきたい。

会場にはルーヴル美術館の膨大なコレクションから厳選された約80点が、「労働」「恋愛」「田園」「女性」などのテーマごとに紹介されている。

日本人にとって風俗画=日常を描いた作品というのは身近な存在であったと思う。江戸時代には日常の様々な場面を切り取り作品として成立させた浮世絵があった。庶民は浮世絵を買い求め鑑賞して楽しんだ。

文学でも、エッセイは人気のあるジャンルの読み物だが、これは日常を描いた作品だと言えるだろう。

最近はソーシャルメディアが活発だ。フェイスブックやツイッターではユーザーが描写した日常のひとこまが投稿され、つながっている友人たちは投稿に共感し、感想をやりとりしてコミュニケーションを楽しんでる。今回の展覧会を見て、日常の風景を表現することの可能性と、そこに生まれる「美」を改めて感じた。

会場の様子(2015年2月20日に行われたプレス内覧会で撮影)




Posted on 2015-02-22 | Category : アートに誘われて, コラム | | Comments Closed

SNSの匿名性をモチーフにアート作品

都美セレクション新鋭美術家2015

左に立っているのは、作家の高松和樹氏。右に見えるのは高松氏の作品。


[text/photo:蓬田修一]

私は毎日SNSに接している。私の場合、SNSでは本名を明かしている。つながっている友人たちも、本名を明らかにしている人が多い。

その一方で、匿名で投稿しコミュニケーションを楽しむ人たちも数多くいる。彼らのプロフィールアイコンには、アニメのキャラクターやイラストが使われることのが特徴だ。

この「プロフィールアイコンにアニメのキャラクターやイラストが使われること」をモチーフにしたアート作品に出会った。
「都美セレクション新鋭美術家2015」(会場:東京都美術館、会期2015年2月19日~3月15日)で展示されていた高松和樹氏の作品だ。

白と黒(ブルーブラック)の2色で表わされた、アニメの少女キャラクターを思わせるプロポーションの女性たち。光も影も排除され、グラデーションで表現されている。

高松氏は「アニメのキャラクターやイラストを使ったアイコンの投稿は、そこで語られている年齢や性別も事実かどう分からない。それゆえに投稿する人の人間性や本音が出やすく、アイコンのイメージとは裏腹に生々しさを感じる。そんなアイコンのイメージと言葉の生々しさを作品に取り入れた」と解説する。

「情報ハ強制的ニ与エ続ケラレル」「慎ましく密やかなる抵抗」「人形ニダッテ救エル事モアル」などといった作品タイトルも印象的だ。高松氏の言う「言葉の生々しさ」が感じられる。




Posted on 2015-02-19 | Category : アートに誘われて, ギャラリー, コラム | | Comments Closed