「ミュシャ展」:「民族の自決」を考える機会

多くの来場者で賑わう「ミュシャ展」。撮影可能エリアで撮影した1枚。


圧巻の《スラブ叙事詩》全20作品
国立新美術館で開催されている「ミュシャ展」(会期:2017年3月8日~6月5日)。会期終盤の土曜日、見に行きました。

お昼頃に美術館に着きましたが、会場に入るまでに40分待ちでした。

最大縦6m、横8mにも及ぶ圧倒的なスケールで描き出された作品が、20点まとめて展示されている空間は感動的ですらあります。

ミュシャ(本名アルフォンス・ミュシャ チェコ語発音ムハ 1860~1939)は、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家のひとりです。

美しい女性像や華やかなデザインで、洗練されたポスターなどを数多く手掛けました。

商業芸術家として認知されていることが比較的多いと思いますが、故郷チェコや自身のルーツであるスラブ民族をアイデンティティをテーマにした作品も数多く残しています。

その集大成となるのが、今回展示されている《スラブ叙事詩》です。

スラブ民族の苦難と栄光の歴史を描く本作品は、ミュシャ最高傑作であると同時に、チェコ近代美術史上、最も重要な作品に位置付けられています。

全20作品がまとめて公開されるのは、チェコ国外では初めてです。

ミュシャは《スラブ叙事詩》をチェコ国民の自信を高め、チョコとスラブの歴史と精神性を世界に広めるために描きました。

私たち日本人にとっても「民族の自決」とは何か、改めて考えるきっかけになりました。
(TEXT&PHOTO:M&C 蓬田修一)




Posted on 2017-05-22 | Category : コラム, 日本と世界 | | Comments Closed

習近平の次は胡春華?

習近平 VS 胡錦濤
2017年(平成29年)5月5日発信の石平(せきへい)さんのメルマガ「石平のチャイナウォッチ」は「見えてきたポスト習近平」と題する記事でした。

サブタイトルは「背後に胡錦濤派と習近平派の暗躍が・・・」。ポスト習近平の中国を考えるにあたって、とても興味深い内容でした。メルマガの内容に拠りつつ、ポスト習近平について考えてみたいと思います。

中国の政治や外交は、中国共産党内での権力闘争が大きな影響を及ぼします。その権力闘争の軸のひとつが「習近平 VS 胡錦濤」だととりあえず大きく捉えておくと、中国政治の理解が深まると思います。

さてメルマガですが、冒頭、次のような情報を紹介しています。

「4月12日、中国共産党広東省党委員会機関紙の『南方日報』が1面トップで、習近平国家主席が広東省党委員会・政府の活動に対して「重要指示」を下したと伝えた」

続いてこう書いています。

「この「重要指示」の中で、習主席は、第18回党大会以降の広東省党・政府の活動ぶりを「十分に評価」した上で、広東省が今後「小康(いくらかゆとりのある)社会の全面建設」「社会主義現代化建設の加速化」において「前列に立って走る」ことを期待すると語ったという」

中国では5年ごとに党大会が開かれ、今年11月に第19回が開催されます。引用文の中にある第18回党大会は、5年前の2012年に開催されました。

石平氏は、党総書記・国家主席の習近平氏が広東省にだけ「重要指示」を下したことは異例だと言います。

しかも、その指示の内容は、広東省の活動を十分に評価し、さらに今後も全国の先頭に立って走ってほしいというものです。

習近平氏はなぜこのような「重要指示」を出したのでしょうか。

まず考えられるのは、広東省はかつて習近平氏が要職を努めたなど、縁が深い省ではないかということです。しかし、習近平氏は地方勤務時代、広東省に深く関わったことはありません。

では、習近平氏の子分が広東省のトップの職に就いているのでしょうか。しかし、これもそうではありません。

石平氏はこう書いています。

「注目すべきなのは、現在、広東省のトップである党委書記の任に当たっているのが共青団派の若手ホープ、胡春華氏である点だ」

共青団とは中国共産主義青年団のことで、中国共産党の指導のもと、青年が共産主義を学習する場と言われています。まず共青団に入団し、その後中国共産党に入党するのがエリートコースのひとつです。「共青団派」は共青団出身者で構成されている派閥。習近平氏とは対立関係にある集団です。

ちなみに、習近平氏は「太子党」と呼ばれるグループに属しています。太子党とは、中国共産党の高級幹部の子弟たちのことです。

石平氏が指摘する胡春華氏とは、第18回党大会で内蒙古自治区の党委書記として政治局員に抜擢された人物です。当時48歳。その直後に、重要行政区のひとつ広東省の党委書記になっています。

前党総書記の胡錦濤氏は、この第18回党大会で引退し、党総書記のポストを習近平氏に明け渡しました。

石平氏は、胡錦濤氏は「ポスト習近平」を見据えて、自らの引退と引き換えに、自分の腹心の胡春華氏を抜擢したと分析します。胡春華氏は共青団派のボスです。

「これによって胡錦濤氏は実質上、腹心の胡春華氏を習氏の後継者の地位に押し上げた」

石平氏がこう断言するのは、以下のようなシナリオがあるからです。

今年秋の第19回党大会で、最高指導部が大幅に入れ替わるとき、胡春華氏を政治局常務委員に昇進

5年後2022年の第20回党大会で、習氏は「2期10年」の慣例に従って引退

その時点で59歳の「若手」である胡春華氏が党総書記に就任

つまり、胡錦濤氏は「ポスト習近平」を見据えて、胡春華氏を広東省の党委書記に就けたというのです。

10年以上トップでありた習近平氏
習近平氏は「2期10年」の慣例を破る考えを持っている言われています。

もし、慣例通り第20回党大会で引退するにしても、自分の息がかかった腹心に党総書記のポストを渡そうと思っているはずです。

そこで習近平氏は昨年から、胡春華つぶしに動いたと言います。しかし、それは結局うまくいかなかったようです。

石平氏は「こうした習近平氏の動きに対して、胡錦濤氏は今年1月に広東省を訪問して、胡春華氏へのテコ入れを公然と行った」と書いています。

そして、胡錦濤氏のデコ入れは成功したのでしょう。だから、冒頭に紹介したように、習近平氏は広東省への「重要指示」を行ったと石平氏は分析しています。

「習氏は事実上、胡春華氏を特別扱いし、彼の後継者としての地位を半ば認めることになった」

しかし、これは習近平氏が望むシナリオではありません。石平氏はこう書いています。

「彼(習近平氏)は共青団派と妥協せざるを得なかったのである」

そして、石平氏は次のように記事を結びます。

「そのことは党内における習氏の権力基盤が決して盤石でないことを示した」

繰り返しになりますが、中国の政治を考えるときに大事なのは「権力闘争がすべて」ということを念頭に置くことだと思います。
(TEXT:M&C 蓬田修一)




Posted on 2017-05-20 | Category : コラム, 日本と世界 | | Comments Closed

台南 八田與一像の頭部切断事件の容疑者逮捕

事件の背景についてはまだ不明
台湾の台南烏山頭(うさんとう)ダムのほとりにある八田與一の像の頭部が切り落とされる事件が、2017年(平成29年)4月15日に起きました。

八田與一は、日本の台湾統治時代、現在でも台湾第二の大きさを誇る烏山頭ダムと、嘉南平野に水を供給する大水路(嘉南大圳・かなんたいしゅう)を設計・建設した人物です。

ダムと水路によって、不毛の地であった嘉南平野は台湾最大の穀倉地帯へと姿を変えました。その功績を称え、今でも地元の人たちからは「烏山頭ダムの父、嘉南大圳の父」と呼ばれ慕われています。

台湾の自由時報5月11日の報道によると、頭部を切り落とした人物が逮捕・送検されたとのことです。

逮捕・送検されたのは、中華統一促進党員であり、前台北市議会議員である李承龍と、もうひとり邱晉笋(笋:正しくは草冠。発音が同じ字でとりあえず代用)という人です。

ふたりが頭部を切り落とした理由や、事件の背景などについてはまだ分かっていません。

八田與一の像は嘉南農田水利会、台南市政府、奇美博物館によって修復され、5月8日に除幕式が行われました。

日本からも、八田與一の縁者をはじめ台湾に関わりのある人たち500人近くが参加しました。
(TEXT:Media &Communication 蓬田修一)

Posted on 2017-05-17 | Category : コラム, 日本と世界 | | Comments Closed

シルクロードを軸にインフラ整備進める中国「一帯一路」構想

世界120か国が参加 インドは不参加
中国・北京で2017年(平成29年)5月14日、「一帯一路国際フォーラム」が開催されました。

同フォーラムの中国語の正式名称は「“一帯一路”国際合作高峰論壇」。直訳すると、「一帯一路国際協力サミットフォーラム」。ちなみに英語名称は「BELT AND ROAD FORUM FOR INTERNATIONAL COOPERATION」。

「一帯一路」とは、かつてのシルクロードを軸に、中国が主導して、アジアからヨーロッパに至る広い範囲で、インフラ整備などを進める構想です。

同フォーラムには、世界から29か国の国家元首、130か国の国家代表が参加しました。

「一帯一路建設は偉大なる事業であり、偉大なる実践がに必要である」とフォーラムで挨拶。

日本からは、親中派議員として有名な二階俊博(にかい・としひろ)自民党幹事長が、安倍総理の親書を携えて、榊原定征経団連会長らも参加した訪問団の団長として出席しました。

日本メディアの報道によれば「日本も積極的に協力をする決意をもってうかがってる」「日本は一帯一路に最大限協力する」と述べたようです。

ロイターによれば、インドは「国家主権に危害が及ぶような計画は受け入れられない」として参加しませんでした。
(TEXT:Media &Communication 蓬田修一)




Posted on 2017-05-15 | Category : コラム, 日本と世界 | | Comments Closed