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[七十二候]第二十二候 蚕(かいこ)起きて桑(くわ)を食(は)む 


第二十二候 (小満初候) 

蚕(かいこ)起きて桑(くわ)を食(は)む

平成二十九年(2017年)五月二十一日から二十五日まで
平成二十八年(2016年)五月二十日から二十五日まで
平成二十七年(2015年)五月二十一日から二十五日まで

四季:夏
二十四節気:小満(しょうまん)

小満(しょうまん)は、陽気が良くなり、万物の命が満ち始めていく頃。

「蚕(かいこ)起きて桑(くわ)を食(は)む」は、小満(しょうまん)の初候。

蚕(かいこ)も活動を始め、桑(くわ)の葉を食べて成長します。

※二十四節気(にじゅうしせっき)は、1年を24等分して、季節を現す名称を付けています。
※七十二候(しちじゅうにこう)は、二十四節気をさらに5日(または6日)に分け、それぞれ初候、次候、末候とし、気象や動植物などの変化を知らせる短文として表現しています。

蚕の繭(まゆ)の中、ふたりで死にたい
蚕を詠んだ和歌をご紹介してみます。『伊勢物語』にこんな歌があります。

主人公在原業平(ありわらのなりひら)が東国へ下ったとき、業平と出会った田舎の女性が業平に贈った歌です。

なかなかに 恋に死なずは
桑子(くわこ)にぞ なるべかりける
玉の緒(を)ばかり

なまじ 恋こがれで死ぬよりも
蚕(かいこ)に なってしまいたい
ほんの短いあいだでも

「桑子(くわこ)」とは蚕のこと。「玉の緒」は玉を繋ぐ紐のことで、短いものの譬えです。

どうせ死んでしまうなら、叶わぬ恋に焦がれて死ぬよりも、ほんの短い時間でも、蚕になってしまいたい。蚕の夫婦は仲睦まじいというので、というのが歌の趣旨でしょうか。

あるいは、ふたりで蚕の繭(まゆ)に閉じこもって死んでしまいたい、というのかもしれません。こちらのほうがロマンチックで、個人的には気に入っています。

いずれにしても、恋する気持ちを蚕に例えて表現するのは、田舎の娘にしてはかなりいいセンスです。

業平はそんな娘のことが気に入り、その後一夜を共にしています。
[text:M&C 蓬田修一]



Posted on 2015-01-20 | Category : コラム, [七十二候] 自然とともに日本暦 | | Comments Closed
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